174、突破口
ついに進路の先の緑色の壁が脈打つように波打ち出し、その動きが徐々にこちらに迫ってきたのだ。
「これは、いよいよ魔の壁が我々の存在を抹殺しに来たようですね、お嬢様。それで、いかがいたしますか?」
「今それを絶賛検討中だったってのにうがあああああああああ! タイミング悪すぎるわ!」
私は頭に両手の人差し指を当てる独特な座禅ポーズを再び取るも、せっかく姿を現しかけた名案はとっとと過ぎ去ってしまった様子で、尻尾すら掴めなかった。
「まあ、人生なんてそんなことばっかりですわ。早く攻撃箇所を決めてくださいまし、リーダー!」
「あんた都合のいい時だけリーダー呼びしてない? てかそっちは何も思いつかないのかよ!?」
「知りませんわよそんなこと! そもそもあなたが言い出したことでしょうに! 本当にこのまま何も進まないと、メマリーさんの悪夢の再現になって……」
「ん!?」
魔動力通信で喧々諤々言い合っているうちに、私はルーランの言葉に引っ掛かり、閃いた。ついに逃げ出した名案に追いすがり、捕らえることが出来たのだ。
「そうよそれそれ! メマリーのサイコロ野郎よ、攻略のカギは! ありがとうね、ルーラン!」
「はぁ?」
喧嘩の途中に突然思わぬ礼を言われて、彼女の口撃が止診、戸惑う声が聞こえた。魔動力通信は音声のみで会話相手の姿が見えないのが欠点だが、おそらく目を点にしているだろうことが想像できた。
「話の流れがよくわからないんですが……どういうことですか?」
相変わらず傍観者だったサラジェンが、我慢しかねたように質問してくる。まあ、当然だろう。
「妾もさっぱりわかりませんわよ! ちゃんと説明してください!」
「さっきメマリーのOBSが姿を現したとき、壁をメキメキいう音がしたでしょ? そしてその場所は薄っすらと濡れていた。どういうことかわかる?」
私は得意気に解説モードへと移行した。




