173、座禅
仕方がない、結局最後は私が考えてやらないといけないようだな、迷える子羊たちのために。深呼吸代わりに短く息を吸い込むと、私は獅子吼した。
「ならばとっととミサイルの発射用意をしろ! ここにいる全員のミサイルをまとめて壁にぶち当てれば、さすがに頑丈な外壁と言えども無傷ってわけにはいかないだろう!」
「なるほど、さすがは我がお嬢様です」
「メイドさんには悪いですが、壁のどこに当てればいいんですの? やみくもに狙いをつけても上手くいく保証はありませんわよ」
ルーランのアホンダラがどこまでも否定してきやがる。
「否定から入るやつは人間関係が破綻するぞ、ルーラン!」
「余計なお世話ですわ.悪役令嬢さん! あなたの駄目な点を指摘して差し上げているだけですわ!」
「お二人とも先ほどから話が進まないので黙って三十秒くらい数えてください。それでもノーブルオブリュージュの持ち主と言えますか?令嬢たる者気高さを忘れないでください」
アロエがすげえ厳粛な面持ちで私を見つめる。いかん、完全にマジでガチなやつだわこれ。ちゃんと間違えず言ってるし。
「「……」」
渋々我々二人は口を閉ざし、座禅のごとき瞑想モードに入る。この緊急時にこんなことしてる場合じゃないような気もするが、アロエを本格的に怒らせると非常にまずい。かつて一回だけそんなことがあったのだが、その時の話は今はしたくない。
(だが待てよ、座禅というのもいいアイディアだ)
自分は脳内でポクポクポクと木魚を鳴らした後、チーンと鈴を振る。理由はよくわからないが、なんかそうすると良い考えが浮かぶとかどこぞで聞いた気がする。そう、後少しで何かが……。
『センナサン、起キテクダサイ! 壁ガ!』
「寝てないわ! うるせえぞデレスケが!」
せっかくのいいところを無粋な脳みそに邪魔されて激怒した私は、イン○ィー・ジョーンズの猿の脳みそみたいにスプーン突き刺して食らってやろうかと一瞬思ったが、モニターを見てそれどころではなくなった。




