169、鬼軍曹再び
「よし、これで絶対いけるはず! では、かつてない名案が浮かんだので今から作戦会議を行う! まず格好いいコード名を決めよう! 文句のあるやつは私自らありがたい根性棒を注入してやるからケツを出せ!」
突如、人格が変わったのかと自分でも驚くほどの迫力に満ち溢れた重低音の怒鳴り声が喉の奥から転がり落ちる。てか根性棒って何だ?
『マタデスカ! テカ時間ナインデスカラコード名ハイラナイデショウ!』
「うるさいクソボケ脳みそが! 沙羅〇蛇の脳みそゴーレムにだって目玉と二本の触手があるくせに何もないだと! いいか、全員返事は『イエス』のみだ!」
「一々鬼軍曹モードにならなくてもよろしいのではないですか、センナさん!? 妾はもう嫌ですわよ!」
ルーランの怯えたようなかすれ声が魔動力通信からノイズのようにかろうじて響く。さっきの子宮触手風呂突き落としアンド放置プレイがよっぽどトラウマ化しているんだろう。チッ、惰弱極まるやつめ。
「何を言う貴様! もののわからぬやからにはこれが一番効果的だ! 緊急時っぽいし!」
「……どうしたんですか、急に?」
一人事情の分からないサラジェンのいぶかしがる声だけが私の怒号の狭間に聞こえた気がするが、説明が面倒くさいので無視することにした。習うより慣れよ、の精神だ。
「軍曹化したということは、また何か、この危機を脱するための妙案が閃かれたんですね、お嬢様! さすが我が永遠の主です! マイロード!」
アロエのこちらを見つめる瞳に妖しげな光と熱がこもってなんかヤベえ! 正直こいつの性癖が一番意味不明で怖いが、今のところ実害はないのでまあいいや。
「うむ、当然のことだ。諸君らの頑張りと、尊い犠牲の結果、ある程度今回のヤマの犯人が絞られた。いいか、今から我々は全力でもってこいつを破壊する!」
私は【ラキソベロン】の黒い拳を握り締めると、側の通路の壁を軽くコツンと叩いた。




