168、石像
脳内で今までの出来事を取捨選択しつつ子細に思い出す。何か気になる点はなかったか? 違和感はどうだった? 確かメマリーはいくつか変なことを言っていた。例えば……。
「なるほど、そういうことかい。確かにこの辺りはいやに静かな割に壁もずっと薄いしなんか妙だとは思っていたところだ。ひょっとしたらこの先罠か待ち伏せかなんかあるかもしれねえな」
(壁が……薄い?)
確かに再会したばかりの時、彼女はそんなことを口にした気がする。その際は聞き流してしまったが、今思うとかなり妙だ。試合中にアロエから教えてもらったことではあるが、OBSのレースに使用されるような場所は、いくら古くても安全性の確保のためにそれなりの強度は有している必要がある。まあ、昨日の旧宇宙港みたいにところどころ劣化しているような場合もあるが、『ずっと薄い』というのは明らかにおかしい。運営の罠で無いとしたら、一体なんだ!?
(それに……)
更に、以前の自分の思考もたどってみる。私はこの緑色の通路に、なにか既視感を覚えていた。それも多分、ここ一両日中のことだろう。ならばその中にこそ鍵が有るはずだ。
(記憶を探せ……もっと深く……)
「どうしたんですのセンナさん、この大変な時に石地蔵みたいになってしまわれて!? もっとも機体が悪魔タイプですからガーゴイルの方がふさわしいですか!?」
なんか上手いこと言ってやったみたいなルーランからの魔動力通信が耳障り過ぎる。一々相手をしてやるのも面倒になってきたので無視するも、ガーゴイルってなんだっけといらんことが気にかかる。あれって教会の雨樋とかに彫刻されている鳥の怪物の石像だっけ? いや、口ばしが鳥に似ているだけだったっけ? それともノーチラス号とかが出てくる昔のアニメの敵キャラかなんかだったような……って、鳥!?
「それだああああああああああああああ! でかした半天狗! じゃなくてでかしたルーラン! キター!」
「な、なんですの今まで黙っていたと思ったらいきなり!?」
やつの抗議の文句ですら心地よく響いた。
皆様あけましておめでとうございます!今年もよろしくお願いします!母乳!




