167、ダイブ
「何よ、じゃあご聡明で博識のあんたには、なんかこう一発逆転的な素晴らしい起死回生の妙策でもあるっていうわけ!? 否定するだけならち〇かわにだって出来るわよ! 代案持ってこんかいワレ!」
こっちもつい、売り言葉に買い言葉で反応してしまう。きっと寝不足でイライラしているせいだろう。喧嘩上等だこの野郎! べらんめえ芸者!
「うっ」
ルーランのアホは言葉に詰まり、歯ぎしりのみが魔動力通話で聞こえてくる。これ音声のみなのが残念だ。
「放っておくとすぐ決裂寸前になるのはお控えください、お嬢様」
「わーったわよ。まったく、これもそれもこんな悪趣味な罠をお出ししてきたドパコール社のせいだっつーのに」
またもやアロエにたしなめられ、私はフグ顔になる。少しはこっちの味方もして欲しいものだ。
「ですが、本当にこれは主催者の趣向でしょうか? 自分にはそうは思えないんですが……」
「ん?」
なんか今かなり引っかかることをほのめかした気がするぞこのメイド。
「ちょっとどういうことよアロエ!? あの頭おかしいCEOならこれくらいやりかねないでしょ!?」
何しろ今まで殺人シャッターやら爆弾アイテムボックスやら巨大子宮牧場やらでこちらを翻弄してきた運営のことだ。圧死通路など屁でもないだろう。しかしアロエは涼し気な顔で受け流した。
「ですがそれは全て放送や動画配信が可能な状況下での話です、お嬢様。今のような電波環境が悪い中でいくら客に受けそうな衝撃映像が撮れたとしても、主催者側になんのメリットもありません。何か別の思惑が感じ取られます」
「ほう、なるほど……」
言われてみればその通りだ。やはり敏腕メイドの考えは他と一線を画す。ならば、いったいこれは誰の仕業だというのだ!?
「……」
私は両耳に手を当てて一切の雑音を排除し、再び思考の大海にダイブする。時間は砂のように落ちていった。
年内更新はこれが最後です!皆様よいお年を!母乳!




