163、偵察
こうして十分間ほど超退屈な環境映像並みのムービーが延々と映し出された。一応何も変化ないかガン見しているのだが、〇番出口以上の難易度ゲームで何一つ違いを見つけられず、しかも寝不足気味も相まってあくびを噛み殺すのが精いっぱいという有様だった。ふあ~。
「ってあくびしてしまってるわ! もう駄目だ……そろそろ帰って来てもらってもいいんじゃない?」
「まだ高々十分ですよ、お嬢様。アニメで言えばAパートすら終わっていません。もうちょっと我慢してください」
「えーっ、もういい加減いいんじゃないの? どうせ何も無さそうだし、いくらやっても時間の無駄よー」
「まったくこのものぐさ悪役令嬢と来た日には……メマリーさんは妾たちのために身体を張ってくださっているんですのよ! 少しはシャキッとしてくださいませ!」
子供のように駄々をこねまくる私に対してあきれ果てたようにルーランがあからさまにつっけんどんな態度をとる。まあ、こいつの場合は元からだけど。
「何よ、あんただってさっきまで地べたで敵にやられたクロ〇ダインとヒュ〇ケルみたいにずっと寝転がっていたくせに」
「だからあれは貴方のせいでしょうが! ぐがああああああああああああ!」
「皆ケンカシナイデ画面ニ集中シテクダサイ! 何カ変デス!」
いつものごとくバトルモードに突入しようとしていた我々二人に対して脳みそくんが脳みその分際で注意喚起する。やれやれ、せっかく同盟解消出来るチャンスだったのに……って、何だこりゃ?
「なんか画面全体が歪んでない? さっきまでこんなに壁が膨らんでいたっけ?」
「ダカラソレガ異変ナンデス!」
脳みそくんがわめく通り、確かに異変が生じていた。真っ直ぐな何の変哲もない直進通路だったのに、いつの間にか両側の壁が丸みを帯びて盛り上がってきていたのだ。つまり……。
「ルーラン! そっち一体どうなってんのよ!?」
「知らねえよ! 急におかしくなってきやがった! もうこれ以上擬態できねえよ! ぐおおおおおお!」
雄たけびと共にボインとサイコロメカが弾き出された。
すみませんが年末の繁忙期のため次回更新は7日後の12月19日予定です。では!




