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128、鬼軍曹

「というわけで、私は毛細血管が焼き切れそうになるほど両眼を充血させてくまなく探したところ、一か所疑わしい場所を発見した。知りたいか?」


「……」


 またしても全員無言。だが溢れるほどのムズムズ感を肌で勝手に感じ取った私には、皆の思いが痛いほどよく伝わった……ような気がする。皆の衆、目ん玉かっぽじってとくと拝見するがよかろう!


「相分かった! それではコロニー全国数十匹の子宮に向かってズームイン!」


 決め台詞を叫びながら、モニターを調節し、くだんの部位をクローズアップする。そこは沢山の子宮が蠢き合い、ひしめき合っている場所の左端付近であった。


「どうだ諸君、何か気づいたか?」


『サア……特ニ何モ変ナトコロハ無イヨウニ見エ……ハッ! イエイエ、コレハ……モシカシテ……』


 不用意な発言を再びしそうになった脳みそくんが、手刀を構える私を察知して言葉を選び始める。チッ、さすがに反省したか。


「もしかして、何だ? 言ってみろクズが」


 鬼軍曹と化した私は容赦なくドスを利かせて詰問する。


『ナ、ナニカ違和感ヲ感ジマスネ……エエ、間違イナク』


「具体的には?」


『……』


 ついに黙りこくって貝になりやがった。今晩のメニューはやはりモツ鍋だろうか。


「うーん、ざっと見た感じでは、普通に気持ち悪いだけで何も無さそうですわね……妾はこれでも『〇ォーリーをさがせ』って得意なんですけど……」


「死ぬほど違うわ! 〇ォーリーは触手振り回して粘液ベトベト垂らしまくっちゃいねーよ!」


 返す刀でルーランも切り捨てる。やはり私のパーティーメンバーはポンコツのスカタンばっかりだ。否、ただ一名を除いては……。


「あ、わかりました!」


 誠にタイミングよくスーパーメイドことアロエがポンと柏手を打ち、凍りついた険悪な空気を溶かす。さすが我が自慢の懐刀だ。


「何だ、話して聞かせろ。骨は拾ってやる」


「はい、お嬢様」


 私のきつい物言いにも臆せずに、彼女は勝利の笑みを浮かべた。

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