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113/164

113、マニアック

 しかし馬鹿どもは一旦放っておくとして、様々な形の子宮をつぶさに眺めていると、記憶が刺激されて何かを思い出しそうになった。


「うーん、何だっけ……? 何か見覚えがあるのよね……」


 私は脳裏を検索するも、記憶は曖昧模糊として、ピンクの霞のヴェールに閉ざされていた。


「駄目だ……あと少しなんだけど、思い出せないわ……」


「あーら、センナさん、そんなこともわからないんですの? 勉強中良からぬ妄想でもして頭の中がお花畑だったのではないですか? ホーホホホ!」


 急にルーランのやつがここぞとばかりにマウントを取ってきたので寝不足の私はカチンときた。


「そりゃあんたの方でしょうが角オナオホ声お嬢さんよ! 誰があんたが勉強机に腰を押し当てておめいている姿を流出させてやったと思ってんのよボケ!」


「ま、またそのことを蒸し返すんですかド腐れ悪役令嬢め! コブクロに詰め込んで強火で炒めて料理して差し上げますわ!」


 沸点の低い炎上女はたちどころに火が点き独特な暴言を吐きやがった。


「まあまあ、二人ともそんなことで喧嘩なさらず矛を収めてください。仮にも手を結ばれたばかりでしょう?」


 あわや同盟決裂寸前となった時、アロエが間に割って入った。


「そ、そういえばそうだった。こんなことしてる場合じゃなかったわ。で、何に気づいたっていうのよがり勉さん?」


「仕方ないですわね……がり勉っていうのが一々むかつきますが、教えて差し上げますわ。よろしいですか、生物とは、卵生から胎生へと進化していく過程で子宮という新たな臓器を獲得致しましたが、それはどんどん形を変え、分化していきました。よって今の哺乳類は重複子宮、分裂子宮、双角子宮、単一子宮など、様々な形態の子宮を種によって持っております。おそらく目の前のあれは、それぞれの種類の子宮が巨大化したものだと察せられます」


「はっ、そういえば確か生物学でなんかそんなこと言ってた気がするわ!」


 ようやく私の記憶の扉が開いた。てかマニアックすぎるわ!

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