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短編の歴史

鼠と猫

作者: 猫乃つづり
掲載日:2020/06/26

ある日、鼠は猫に喰われたのだ。

鼠の死骸を見る誰か、

道端に集る蝿の群衆

猫は鼠の肉片をその口の中の舌でペロリと平らげると

次の獲物へ探しにいく。

鼠は本来隠れて過ごしたい、されども、

隠れるわけにはいかない。

なぜなら、彼にも子供がいるからだ。

お腹を空かせた子鼠がいる。

名前などあるはずがない。

人間の言葉で鼠と規定しているが、

国によって言い方が違うだけで本質は同じだ。

親鼠が死んだことを受けて、兄鼠が、

餌を取りに向かうために外へ出る。

すると、兄鼠が外に出た瞬間に、

何者かの手が襲い、

兄鼠のものだったのだろう血渋きが

舞い落ちる、この花の名前を何と言うか、

血という名前であることは確かだ。

その兄鼠を喰らう猫は臭いを辿ってきた猫だ。

人殺しならぬ鼠殺し、

人間にとっては有りがたくあり、疎ましくもある野良猫は

またもやペロリと平らげて、彼らの住んでいた場所に手をやる。

逃げる子鼠、隠れる子鼠は震え上がる、逃げるために、目線が合う、一人の生命としてではなく、一つのご飯として見ている。

野良猫も仕方がないのだ。

鼠や虫というら嫌われ者を喰らわなければ、己が果ててしまうのみ、食べずに生きるのは神の域だ。人は神の息で想像されているだけで神の域には達しないのだ。猫も同じ、鼠も同じ、喰われてしまう鼠がいれば猫は子鼠をも喰らうのみ。

満足することなく求める猫は、またもや路上へ出ようとして、車に轢かれて果ててしまうのだった。

路上を歩く人間たちは可哀想だと思えども、自身の生活のために見捨てる。そして、世界は今日も機能する。

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