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13.え?私ですか!?

本日、いつもより少し短め

「敵将を20名以上ですか。左翼の活躍は実に素晴らしい物でしたな」


「フハハッ!これで少しでも明日の戦いが楽になると良いけどねぇ!」


私たちの予想通り、敵は一旦引き上げていった。

現在はその後の功績チェック中で、敵の首をかなりの数取っていた私たちが国軍の人から賞賛されている。それに代表という位置づけの伯爵様が応えて、調子に乗った様子を見せているというわけね。


我が家も5人くらい敵将っぽい相手の首は取れたから、これだけでももう充分な働きという事にはしてもらえるはず。

前回と比べても量は多いし、褒められることはあっても文句を言われることはないでしょう。


「さすが伯爵」

「ぜひともそなたたちには明日もその武勇を見せてもらいたいところだ

「きっと敵は、伯爵様のことを恐れて近づくだけで逃げてしまうのでは!?」


この賞賛と調子に乗った言葉を聞いていた多くの貴族が、伯爵様を持ち上げるような言葉を出していく。

特に派閥に所属している者が取り入ろうとして頑張ってるわね。

くわえて、今回私たちの集団に加われなかった派閥に属していない貴族も積極的な気がするわ。明日はこの大きな流れに乗って手柄を立てたいとでも思っているのでしょうね。

このままいけば伯爵の価値はさらに上がっていくから、今以上に公爵様や代官から良い条件を引き出すことができるという風に考えられるわけなんだけど、


「丁度良い機会だから、私はここで宣言させてもらう!」


伯爵の予想外の演説のようなものが開始したことで、周囲はざわめく。

その口ぶりはまるで、どちらかの派閥に所属するという事を明確に言うようなことも展開として読めるものだったから。

公爵様も代官も伯爵に目でこちらへつけと訴えかけているような気がするわ。


当然私も他の貴族も伯爵の動向次第では今後の動きを大幅に変更しなければならない。

そう考えていたところで、


「私、ゲンビー伯爵家当主ルースメミ・ゲンビー及びパール子爵との連名で中立派の創設を宣言する!!」


新しい派閥ぅぅ!!!???

この1番敵の策力で派閥関連が面倒になってるときに、なんで自分から余計な混乱を生むようなことしたぁぁぁ!!!!????

何やってんだこの伯爵は!あと、パール子爵とかいうのも何をしゃしゃり出てきてるのよ!?どうせこれが目立つんだから、連名になんてせずに後からソロッと参加しておけばいいじゃない!子爵家が丈に合わないことをしても潰されるだけよ!?

そのパール子爵とかいうの、バカなんじゃないの!?


…………ん?ちょっと待って。

今、パール子爵って言ったのよね?パーム子爵でもポール子爵でもなく、パール子爵って言ったわよね?

それ、私じゃない!?なんで私が中立派を一緒に始めることになってるの!?


「おお!伯爵様に、子爵まで共同でのものですか」

「パール子爵が参加するというのなら入らないわけにはいきませんな」

「ぜひとも私どもをその中立派へと参加させていただきたく!!」


しかもみんな完全に私が参加すると思って貸し借りの関係の影響で続々と参加表明しちゃってるぅぅぅぅ!!!

こうなると私に逃げ道とか残されてないじゃない!?

今まで派閥の所属を迷っていた貴族だけじゃなくて、表明をしていなかっただけで今までどちらかの派閥に所属しているようなそぶりを見せていた貴族まで声を上げてるのよ!?


なかには、伯爵様よりも上の爵位の侯爵様もいたような気がするわ。

本気でどうなってるの、これ!


もしここで私が入らないと言っても、そうしたら中立派と言うものが明確に出来上がってしまった以上残る選択肢はどちらかの前までにあった派閥に移動するというモノのみ。

絶対派閥争いなんかに関わりたくない私は、そんな選択はできない。

伯爵、ずいぶんと好き勝手やってくれるじゃない!そこまでするのなら私だって自己保身のため、


「皆様、中立派はあくまでも緩衝材の役割をすることを目的としております。明確にどなたがと言うわけではありませんが、現在起きている派閥争いが深刻にならないよう窓口となり続けるためのもの。よって、この派閥に所属したからと言って派閥争いの結果で大きな利益が得られるというわけではありません。そのこと、ぜひともよくご承知いただきたく。また、中立派はあくまでも戦争の火種が明確に見えていることも発足の理由となっておりますので、それがなくなった場合にどうなるかは未定であることもご理解いただけると幸いです」


堂々と中立派に入っても利益は得られないよと言っておく。

全力で私たちは無害だと先に公爵様や代官に示しておくのよ!

こんな関係ないところで睨まれてたまるもんかぁぁ!!!


「なるほど。戦時中だからこそ、ですか」

「確かに平時でもこれを続ければ、逆に派閥争いが長引くだけという事になりかねませんからな」

「状況次第で継続するかどうかは決める、とういうことですか。実に合理的ですね」


幸い表面上は理解を得られた。

この後にどうなるかは分かんらいけど、とりあえず他の派閥に表立って喧嘩を売るような集団ではないという事を理解はしてもらえたはず!

お願いだから共同設立者ってことになってる私を誰も狙わないでぇぇぇ!!!!


「さて、私が言いたいことは言わせてもらったから、今日は休ませてもらう!派閥だからと言ってそこまでまとまりきる必要もないし、好きに他の者と交流して明日に備えるといい!!!」


私が必死になっているところ、伯爵は何も気にしていないという表情で去っていく。

私が好きにやったにもかかわらず余裕の表情で、かなりむかつくわね。

まるで、私の言動すら予想通りと言っているみたいじゃない。


あの伯爵、私をいいように使いやがって!

絶対にいつか泣かす!!!

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― 新着の感想 ―
側から見てればどちらも傑物にしか見えないと言うオチ() そして他の貴族も王族も、戦勲高らかで変に権力争いに加わらず貴族の責務に注力してる連中の方が信用しやすい訳でして()
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