新たな波乱 2
ラストスパート突入です。
そのキー人物登場。
「あっはっはっはっはっはー! それでいついちゃったの? お姫様の弟君!?」
「ええー、御加賀見さんの弟さんなら、とってもかわいいですよね? わ、わたしも、見てみたい、……です」
学校の教室の中、恭弥のことを聞いた幸広と萌田の反応である。
ある意味想像通りだ。
「でー? 今弟君どうしてるのー?」
「とりあえず中学校へ編入させましたわ。あの子、前はアメリカにいたのですが、そちらにいた時はスキップでハイスクールにいたようですの。ですけれど、あれにはまず相応の対人関係を学んでもらおうかと思いまして、普通の公立の中学へ祐史さんと一緒に行ってもらってますわ」
「祐史が監視役でな」
「ああ、たつみんの弟君かー。そりゃ厳しそうだねー。あははははー」
「ゆ、祐史君はお元気ですか?」
「ああ。無駄に」
これ以上兄さんに気軽にへばりつかないよう気合いを入れて面倒みるよ、と笑顔で宣言していた。
うん、気持ち悪さも健在だな。
「でも、実際のところ、お姫様が日常は指導するんでしょー?」
「ええ、まあ」
「そんな時間あるー? お姫様だって一応高校生活してる上、生徒会業務に学校経営、家の仕事もしてるんでしょー?」
あらためてそう聞くとすげえな、御加賀見。
いっそ高校生を辞めたらどうだ。
「一応ってなんですの……。まあ、時間が足りないのは確かですわ。ですから助っ人を呼んでいますのよ」
「助っ人ー? へー、それはどんな……」
そこで突然へらへらした笑いで御加賀見に問いかけていた幸広の表情が、スッと消えた。
その視線は教室の外、いや廊下側か。
俺や御加賀見、萌田はつられるようにそちらを見た。
そこには、誰かが立っていた。
「まあ!」
最初に声を上げたのは御加賀見だった。
「直接こちらに来られたの? 屋敷の方で待っていればいいでしょうに」
御加賀見に声をかけられた人物は、にこりと笑って首を振った。
「いえ、突然来て驚かせようかと思いまして。びっくりしました?」
「しましたわ、もう。あなたは、人が悪いですわね」
「いやー、それほどでも」
ぽりぽりと頭をかくと、首を傾げてみせた。
俺は、思わずふらりと座っていた椅子から腰を上げた。
そんな俺に気がついたのか、そいつは俺に視線を向けた。
それは確かに、昔よく見ていた懐かしい人物のもので……。
「……………………まさか、近衛………………………?」
そんな俺の呟きを肯定するように、そいつは笑みを浮かべた。
「やあ、久しぶりだね、辰巳」
それは確かに、数年前に突然俺の前から姿を消した、俺の親友であった。
予定は未定ですが、この近衛編(今つけた)でこの話は完結させます。
が、そこそこ長さあると思うので、10~20話位は続けると思います。




