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花壇にて

今回は少し短めです。

 ぶち、ぶち、ぶち……。


 ただいま花壇の草むしり中。


 そしてあいかわらずの人気ひとけのなさ。


 もうよくね? まじでよくね? 誰もこねーよこんなとこ。


「辰巳君、知ってますか?」


 最初のころのビクつきが嘘のように、萌田は明るく声をかけてきた。


 吃音きつおんも緊張によるもので、慣れれば出なくなるとのことだった。


「ここ、まわりが林で囲まれてて、落ち着いてるでしょう? それでベンチ置いて、色とりどりの花を植えて、薔薇のアーチなんかつくったりしてって計画あるそうなんです。一足飛びではなくて、学校が徐々に出来上がるのと同じように、ここもゆっくりと、生徒の手で一からつくるっていう方針で。いわば、ここの出来上がりはわたしたちにかかってるってことですよね」


 そんな計画があったとは知らんかった。


 つかそんな面倒な計画たてたのは誰だ。


 てゆーか、そんな計画ならもっと人手増やせよ、どんなずぼらで穴だらけの計画だ、おい。


「今からどんなふうになるか、楽しみですよね」


 萌田は実に晴れ晴れとした笑顔でそう言った。


 ……普段のネガティブなビビり状態とうってかわってずいぶんポジティブな考えっすね。眩しくって真っ直ぐ見られねーわ、はあ。


「そういえば、辰巳君」


「あー?」


「ええと、こうして草むしり黙々しててもなんですので」


「で?」


「その……、う、歌でも歌いながら……」


「却下」


「ええ!」


 ……なぜそんな驚く。つか普通断るだろ。


「そ…そうですね。やっぱり歌はちょっと恥ずかしいですもんね。えと、じゃあ、そうだ。わたしになにか質問したいこと……」


「ない」


「えええ!」


 ……だからなぜそんな驚く。


「そ…そうですよね。わたしになんか興味ないですよね……ぐす」


 あ、やべ。なんか泣きそうか? 泣くのはいいが泣かれたら面倒くせえ。


「あの、じゃあ……」


 まだなんか言うのか。意外と根性あるな。でもこれ断ったら本格的に泣き出すよな、この様子じゃ。


「なぞなぞ、なんて、しませんか?」


 ……なぜに?




 結果、しましたが。なぞなぞ。


 しかも、上が大水下は大火事なーんだ、とか。朝は4本足昼は2本足夜は3本足の生き物なーんだ、

とか。


 どこの幼稚園児ですか、というなぞなぞを。


 最後になんで今更こんな、と萌田に聞いてみたところ、「お……お友達ができたら、一度はしてみたくて……」と妙にもじもじと恥じらう様子で答えた。

 確かに女子の嫉妬や男子の勘違いで友達が出来なかった話は聞いてたが。






 …………いったいいつから友達いなかったんだ?

なぞなぞの答えはわかりましたか。

そうです、その答えです。


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