5月は就職セミナーや三者面談の季節だが……
さて、楽しいゴールデンウイークデートも終わればバイトの日々へ戻ることになる。
パラディーゾでクリスマスのデザートつくりを任されてからその後もドルチェはだいぶ任されるようになってきたんだぜ。
「さて、どうしようかな今の旬のフルーツはメロンだから……」
メロンをデザートにするならムースかシャーベットかな?
「とりあえず試作してみるか」
ますグリーンメロンの皮と種を取り除いてをフードプロセッサーでピュレを作る。
その間にボウルに水を入れて粉ゼラチンを振り入れてふやかす。
ボールに卵白とグラニュー糖を入れてハンドミキサーで、泡立てメレンゲをつくる。
それから小鍋にグラニュー糖と水を入れて火にかける甘いシロップを作り、角のたったメレンゲの中に少しづつ入れて混ぜ、バットに入れ冷凍庫で冷やす。
その間にメロンピューレとレモン汁を合わせて混ぜ、ふやかしておいたゼラチンを湯せんにかけて溶かし、溶けたゼラチンの中にメロンピューレを少しずつ入れよく混ぜて冷やす。
生クリームと冷やしたイタリアンメレンゲを合わせ、更にメロンピューレを3回に分けて加え、ゆっくりサクッと混ぜ、メレンゲの気泡が潰れないように気をつける。
後はワイン蔵グラスにそれを流し入れて冷蔵庫で冷やし固める。
最後にミントの葉を上に乗せれば完成だ。
「メロンムースです、試食をお願いします」
オーナーがひとくち食べてニコリと微笑み言ってくれた。
「うん口触りがなめらかでいいね」
チーフは微妙な顔だ。
「うん、まあ悪くないけど、やっぱりありきたりだな」
「うう、そうですか」
「正直に合えばもうひと押しの工夫はほしい」
「そうですよね」
まあ、ありきたりかなーという気はしたけどな。
まあ完全な駄目だしではないしもうちょっとの工夫を考えることにしようか。
定番から大きくハズレずしかもどこか目新しさのあるメニューと言うのは大事だしな。
そしてゴールデンウイークが終われば学校も再開される。
二年時だと就職活動も始まり企業説明会 、職ガイダンスやセミナー、親を交えた三者面談なども行われる。
もっとも高校などと違い三者面談は希望者のみなのだが。
親が近くにいない場合も多いからな。
「俺なんかは就職先を焦って探す必要もないし気楽なもんだけどな」
桜田さんは笑っていう。
「そうよね、もう決まっているようなもんだし。
お父さんも期待してるのよ」
「それはありがたいな」
就職氷河期は終わって今は人材難と言われてるらしいけど、だからといっていいところに就職しょうとするのが大変なのは変わらないからな。
そういう点ではパラディーゾはとてもいい職場だ。
笠羽さんも笑っている。
「私も一時は焦ってましたけど、今はホテルに落ちてよかったと思ってます」
「たしかにそうかもな、パラディーぞはいいとこだと思うし」
まあ、福利厚生とかでは大企業にはかなわないとはおもうけど、その分暖かみがあると思う。
「ところで桜田さんや笠羽さんは三者面談とかあるの?」
俺の質問にはふたりとも首を横に振った。
「私は家のレストランの経営を引き継ぐわけだし」
と言うのは桜田さん。
「私は実家が遠いですからわざわざ来てもらうのは悪いですから」
と言うのは笠羽さん。
「まあ、桜田さんは進路を相談するまでもないよな」
一年のときも7月くらいから就職活動は開始されていたはずなんだけどな。
俺はバイトばかりだったし2年間学校が学ぶからあんまり気に留めてなかったけど。
パラディーゾでそのまま社員として働けそうだし俺はかなり運がいいんだろう。
もちろん駅前のおばちゃんみたいな小さなケーキ屋さんをやることに対するあこがれはまだあるんだけどな。




