恋する女の子は、誰もがショコラティエ
side:五十鈴
2月。
2月14日と言えば…。
初めて手作りチョコを透にあげたのは、中一の冬。
初めて作った割に出来栄えは上々。自分でもよく出来たと思うほど。
透も「美味しい」と言ってくれたから“よし、来年も!”って思ったまでは良かったんだけど…。
「あ~っ!ズルい~!!白澤だけなの?私だって五十鈴からチョコ欲しいーっ!!」
渡した場所が良くなかったの。放課後の教室。
家で渡すより気楽だと思ったんだけど…。
でも、まさか、千星ちゃんが“欲しい”って言うなんて…。
「わ、分かったから~。明日、千星ちゃんの分も作って来るね」
次の日。
透にあげたのと同じチョコを作って千星ちゃんに渡した。
もの凄く、喜んでくれたけど。
(お、女の子から女の子へ…って、変じゃない?)
そして、また次の日。
「五十鈴ちゃん、姉さんにチョコあげたでしょう?」
「え?…うん!“欲しい”って千星ちゃんが言うから…」
光星くんがどこか遣り切れないっていう顔をして話し掛けてきた。
「昨日、姉さんがさ、俺の前で“美味しい!美味しい!”って、食べてたんだけど…」
「そ、そう…」
「で、結局、1個もくれないし…」
「………」
それって、暗に催促…?
「――明日、光星くんも作ってくるから…」
そして、またまた次の日。
「ねぇ、五十鈴さん。昨日、穂高くんがね――」
「!――も、勿論!つかさちゃんの分も作ってくるから、待ってて!!」
「あら、イヤだわ~。私、まだ何も言ってませんわ」
「じ、自分でも言うのもアレだけど、美味しいって好評なの!だから、つかさちゃんも食べてね!」
「ありがとう!では、遠慮無く頂くわ」
つかさちゃんまで、欲しいと思っていたなんて…。
という事で、次の年から人数分のチョコを作る事に決めた。
透、千星ちゃん、つかさちゃん、光星くん。あと、羽澄さんと父の分もちゃんと用意する。
1人分作るのも6人分作るのは、量は違うけど過程は同じ。
そして、今年はレシピもばっちり!
材料も買い揃えて、ラッピングも可愛い物を準備して…。
さて!気合を入れて作るからね!!




