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奈落の悪魔と雨に踊れば  作者: 青山喜太
出会い編

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34/63

第34話 合流

「奈落の悪魔……!」


「やぁ、クレナイ様」


 ジンドーは飄々としながらそういう。だがジンドーは余裕を取り繕っているに過ぎないその証拠に漆黒の服はところどころほつれがある、ジンドーは戦ってきたんだ。クレナイ様の仲間とまた私の見えないところで。


「ヒナタさん」


「は、はい」


 不思議と、痛みが消えていた私はジンドーの問いかけに答える。


「いろいろ言いたいことがあるけど、今はいい」


 ジンドーは続けて優しい声色で、言う。


「よく頑張ったね、ヒナタさん」


「うん、来てくれるって思ってた」


 ジンドーには申し訳ないと思った、完全なる賭けだったから。私がわざと連れ去られることで、ジンドーにクレナイ様の位置を知らせる必要があった。


ジンドーは私の位置がわかるのだから逆にいえば私さえクレナイ様の近くにいればジンドーはたどり着ける。

だがこれはジンドーに依存する形の作戦だった。しかし賭けは私達の勝ちだ。

 クレナイ様の本拠地に、こうしてくることができたのだから。


 だが一つ分からないことがある。この場所は……。


「しかしここが、クレナイ様の本拠地? ヒナタさんから前から聞いていた、場所とはだいぶ違うのであるな」


 ジンドーが私の疑問を代弁してくれた。そうここは、夢でみた浅瀬のところつまり、クレナイ様の本拠地だと思ったところとはだいぶ異なっていた。


「当たり前だ……」


 静観を決め込んでいたクレナイ様は言う。


「ここは、私の居場所ははるか昔に埋め立てられた、ここがアガミ市などと呼ばれる前にな」


 私は衝撃を受ける。ここはアガミ市だったのか。全く気がつかなかった。通りで、周りのビルに夜とはいえ活気がないわけだ。


「貴様らは、我々への信仰を忘れた途端、私たちから居場所まで奪ったのだ」


 クレナイ様の声には怒りがこもっていた。それは私のような、人間が募らせるような怒り恨みではない。何十年、いや何百年だろうか。


 常軌を逸した怨念が、口調から伝わってくる。

 私はそれに、気圧される。そこまでの思いを抱きながら、私たちの前に立つ彼女は明らかに私を許すつもりはないようだ。


「わかるか? 恩を忘れ、義理を忘れ、ついには私を忘れた貴様らに私は復讐する!!」


「させると思うのであるか?」


 ジンドーは一歩前に出る。クレナイ様に、敵意をみなぎらせながら刀を構える。


「どうやら、貴様のヒナタさんを苦しめる能力は集中しなければ、発動できないようだな」


 ならば、とジンドーは続けた。


「貴様を止める方法はいくらでもあると言うことだ!」


 ジンドー、ビルの屋上の床を蹴った。床が壊れるほどの威力を発揮した。一瞬で、クレナイ様との距離を詰めたジンドーは、刀を振り下ろす。


 月の光が刀の刀身に映る、クレナイ様は空へと飛んで斬撃を躱す。ジンドーは自身の刀が空を切ると、即座に空へと逃げたクレナイ様を補足し、ジンドー自身も空へと、星空の羽を羽ばたかせ飛翔した。


 ─────────────


「やはり、貴様を倒さんことには、私の幸福は訪れないか」


 クレナイ様は、風を切りながら、空を飛びながらジンドーを睨みつけていた。

 忌々しさと、憎しみが同居したやうな視線をジンドーは投げかけられる。


 しかし当の本人のジンドーは愛刀『天涙』を構えながら、空を急速に加速して、そんな視線を向ける神に対して恐れることなく、刃を首元に向けて放った。


「くっ!」


 咄嗟にクレナイ様は突然来た攻撃にうめきながらも、自らの右腕を巨大な脈動する肉塊に変化させ、刀を受け止め弾き返す。

 攻撃を弾かれたジンドーは、距離を取り空中に静止する。


「あと少し……! あと少しなのだ! あと少しで私は完全な神へと戻れるだというのに!」


 巨大な肉塊とかした右腕を元に戻しながらクレナイ様はいう。


「邪魔をするな! 奈落の悪魔!!」


 クレナイ様は空中を蹴る。そして両手を今度は細長い無数の触手に変化させた。

 細長い血管を思わせるそれは、唸り、風を巻き起こしながらジンドーへと襲い掛かる。


 対するジンドーは刀を構えそして、触手を迎え撃った。

 四方八方からくる、触手をジンドーは一本の刀で切り落としていく。


 だがムチのようにしなるそれらの触手は切り落とされたところから再生していく。


「厄介だな」


 そうつぶやくジンドーは触手の迎撃から、回避へと移る。

 星空の下、ジンドーは光り輝く尾を、自身の羽から出しながらさらに赤い着物の神から距離をとる。


「逃すか!」


 クレナイ様はさらに触手をジンドーに向かって追従させる。

 まるで、食糧を、奪い合う魚群のように触手はジンドーを追い詰める。


 だが、ジンドーは途中で身を翻し、空中に静止する。


「諦めでもしたか! 奈落の悪魔!」


 触手がジンドーへと迫る。しかしジンドーはなんら焦る様子も見せずただ一言、発した。


「天涙……!!」


 愛刀の名を呼ぶジンドー。

 それに答えるかのように、黄金の月のような輝きを刀は放つ。


 そしてジンドーは刀を横一直線に薙ぎ払いを放った。

 剣の軌跡からは黄金の光波が放たれる。

 その光波は触手を焼き払い。そしてクレナイ様の本体にも向かっていった。


「なんだ! この力は!!」


 そのままクレナイ様は、黄金の光に飲まれていった。


 アガミ市上空にて、強大な爆発音と激しい閃光が廃ビル達を照らした。

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