守り神をロリコンにしてみた
タイトルは完全にネタです。
余りにも、ブーイングが来たら変えるかも……。
「小僧、覚えていろ! 我輩は決して幼い女子が好きではないことを必ず証明してみせるからな」
負け犬ならぬ、負けガーゴイルの遠吠えだな。
シークにすら負けたのに、俺と戦いで勝てるわけないだろ。
確実に戦いの口火を切ったのは俺だけどな。
セシリアは戦いが終わったのを見計らい、座っていた社から立ち上がり、ローブに付いた土埃をはらっている。
表情から呆れた様子が窺える。
「終わったようですね。……ヨウキさん、あまり無駄過ぎる争いの種をまかないでください。正直この戦いに何の意味があったのか、私には理解しかねます」
「つい口がすべったんだよ」
「ですが、彼女を助けたのは単に掃除の恩を返しただけで、ヨウキさんの言うロリコンとやらには当てはまらないのではないですか?」
そこまで言うなら仕方ない。
セシリアに悪者にされるのも嫌だし、ガーゴイルには悪いがロリコンになってもらうか。
「いや、村人からの情報によると、ティールちゃんが襲われた場所にレッドファングの死体はなく、地面に黒い燃え跡が残っていたらしい。こいつはたぶん、レッドファングを倒すために闇の上級魔法を使ったと思うんだ」
ダークブレイズは対象を跡形もなく焼失させる炎を生み出す闇の上級魔法だ。
ランクEのレッドファングに使う魔法じゃない。明らかにオーバーキル過ぎる。
「こいつはティールちゃんを助けるために自分が使える最高の魔法を使ったんだ。それほどに、自分好みの幼女であるティールちゃんを襲ったレッドファングが許せなかったんだろう」
これが俺の推論だ。俺の言葉を聞き納得してしまったようで、ガーゴイルを見るセシリアの目が変わった。
「小僧、でたらめを言うな。 おい、人間の娘、我輩をそんな目で見るでない。 貴様中立の立場ではなかったのか!?」
ガーゴイルが何を言ってもセシリアの目は変わらない。
ガーゴイルロリコン化作戦成功だ。
……成功したけど俺に何のメリットがあるんだろ?
「ぐ……、話が終わったなら我輩はもう寝るぞ。……何度も言うが我輩の正体は話すなよ。特にあの娘にはな!」
社に入り石像に戻った。こいつ逃げたな。
石像の体をぺちぺち叩くが反応はない。
「まあ、これでこいつに害がないことがわかったろ、セシリア」
「……そうですね。一応は」
なんだか違う意味で危険だと思わせてしまったかもしれない。
帰ったら、誤解をといておこう。
……あれ? 本当にロリコンかもしれない可能性は……どうでもいいか。
「ヨウキさんはロリコンとやらではないですよね?」
「大丈夫、俺の好みはセシリアさ」
昨日何もできなかったので、勇気を出してみた。
「なっ!? いきなりそんなこと言わないでください……」
今まで普通に話していたのに、急に顔を背けられた。なんか、成功したっぽいな。キモいとかいわれなくて良かった。
こんなやりとりをしていると急に殺気を感じた。
殺気の発生源は社からだ。守り神である悪魔像の顔がかなり恐くなっている。
たぶん、我輩の前でイチャイチャするなという警告だろう。
仕方ない、退散してやるか。
「じゃあ、シークを迎えにティールちゃんの所に行くか。」
薬を渡すだけだから、もう終わっているだろう。
むしろ、俺達を待っているのに飽きて村の子ども達と遊びに行っているかもしれないな。
未だに照れているセシリアを引っ張りティールちゃんの家に向かった。
「……と言うのが守り神様の魅力なんです。シークくん、聞いていますか?」
「あ〜、うん。聞いてる〜」
家に入ると、ガーゴイルの話しを笑顔で熱く語るティールちゃんとうんざりしているシークがいた。
ベッドの上に仲良く座っている。
「隊長〜」
「待ってくださいシークくん、まだ守り神様について語りたいことがたくさんあります」
「助けて〜」
こちらに駆け寄ってこようとしたシークをティールちゃんががっちりホールドする。
シークは半泣きだ。おそらく、ずっとガーゴイルについて話を聞かされていたんだろう。
外で動いたりするのが好きなシークにとっては地獄だったろうに。
「ヨウキさんにセシリアさん、ちょうど良かった。お二人にも守り神様のすばらしい話を……」
聞かされては帰るのが何時になるかわからない気がする。
「いや、ごめん。今日は忙しいから帰らせて貰うよ。行こうセシリア。ああ、シーク、夕食前には帰って来いよ」
シークには悪いが犠牲になって貰おう。
この場で救出するのは難しいし。
退屈とか言っていたしちょうど良い暇つぶしになるだろう……勝手な言い分だな。
「そうですか、残念です。ではシークくんさっきの話の続きですが……」
「隊長〜」
助けを求めるシークを無視し、ばたんと扉を閉めた。セシリアの手を握って村長の家に帰った。
何故かこの時は自然に手を繋ぐことが出来た。
「……さすがにシークくんが可哀相な気がするのですが」
「シークには昨日たくさん遊ばせてやったからな。これは罰だ」
「ティールちゃんと話すのが罰なのですね……」
「あの反応を見る限り、余り面白い話ではないだろうしな」
「……」
何も言わなくなったセシリア。
あのティールちゃんの狂信っぷりはすごいからな。
シークの奴夕食前に帰れるだろうか? 心配だ。
心配した通りシークは夕食までに帰ってくることができなかった。
どうやら、昨日寝過ぎたようで中々眠たくないという理由から話に付き合わされたらしい。
シークは帰ってくるなり、残しておいた夕食を食べてすぐに寝てしまった。
なんだか今日はガーゴイルにもシークにも悪いことをしたなあ。
反省しよう。
それから数日、村人を治療しつつ、ガーゴイルにちょっかいを出しに行くという日々が続いた。
そして、ミネルバに帰るまであと数日となったある日、山賊が村を襲撃してきた。




