12.お茶会にて
前回から間が空いての投稿となります…
お待たせしてしまい申し訳ございません。
(待っていてくださった方がいらっしゃったのであればの話ですが……)
これから少しずつペース戻して参りますので、
お付き合いいただければ幸いでございます!
麗良の学園生活は変わった。
午前中こそいつもと同じではあったが、お昼になりランチタイムとなると…場所もこれまで同様人気の無い目立たない場所なのだが、そのメンバーたるや…。
時折りクリスティーナと二人だけの時もあれば、ウィルトと二人の時もあった。そしてウィルトとは図書館にも一緒に行く様になり、交友を深めた。
ウェンティーナでの一件を知っているその二人は、あの時のカレンの逆恨みを警戒してくれていたが、カレンが何か言ってきそうな時だとか、些細な嫌がらせを受けた時…麗良は懐からチラッと封筒をチラ見せして彼女達をしっかりと牽制していたのだ…。
「こちらはいつでも投書出来ますからね?」的に。
そうしてブロワ家でのお茶会の日がやってきた。
事前にウィルトから、ドレスを贈ってもよいかと申し出があったが、麗良は丁重に断りシンプルなデイドレスで参加したのだった。
今や時の人であるクリスティーナ主催のお茶会である為、さぞや大規模なものであろうと緊張しながら会場となるブロワ家に着くと、案内された庭園に一つのテーブル。そしてそこには主催者であるクリスティーナとフェルベール…その二人だけが座っていた。
え?と少し驚きつつ隣のウィルトを見やると、笑顔が返ってきたので彼は知っていたのだろう。
「お待ちしておりましたクロシタン様!ようこそブロワ家へ、わたくしどうしてもクロシタン様とゆっくりお話がしたくて無理を言ってしまいましたが、ご迷惑ではなかったですか?」
「いいえっ!わたくしも楽しみにしておりました。
本日はお招きいただきありがとうございますブロワ様」
こうしていつもと変わらないメンバーで、その場所だけを変えたお茶会がスタートした。
香り高い紅茶で喉を潤していた麗良だったが、ふとある事に気付きクリスティーナに問いかける。
「ブロワ様?その……何故ペンとノートを広げてらっしゃるのですか?」
麗羅に問われたように、クリスティーナの前には紅茶やケーキではなく…ノートが広げられており、茶会の席には似つかわしくはなかった。
「あ…これは、、、その…クロシタン様との会話を…書き留める為に…と」
「……わたくしとの会話…をですか?」
「はいっ、クロシタン様と会話をしていますと…その…参考にさせていただきたい事や、思いもつかない様な発想をされる事がございますので、本日はそれらを漏らさない様にと……それに色々詳しくお聞きしたい事が沢山あるのです」
「??…な…なるほど、わたくしには思い当たる事がないのですが…ブロワ様に気になるところがございましたら何でもお聞きくださいね」
「あっありがとうございます!ではお言葉に甘えまして
まず…髪を染める事について、風見鶏の件、学園での物販について…あ!あと女性専用サロンについてお聞きしたいのです」
「ブロワ様?つかぬ事をお聞きしますが…そのリストにあるものは全部わたくしが話した事なのでしょうか?…すみません、あまり覚えていなくて…」
「そうですよね、クロシタン様は無意識だったと申しますか…ちょっとした会話の中での事でしたので、覚えてらっしゃらなくても仕方のない事だと思います!
しかしわたくしにとってクロシタン様の発言される事はとても革命的に思える事が多く…こうして詳しくお聞きしたいと思ったのです。
きっとウィルトも同じ考えだと思いますわ」
「それは確かに否定できないね、しかも彼女は基本無欲であるから…自分の発言の価値に気付いていないのが考えものだよね…」
そう言ってニコッと笑い麗良を見るウィルトの笑顔にドキドキとしながら麗良は答える。
「髪の事は…確か、カレン様達との時に言った覚えがございますが…あの場面を見られていたと思うと……」
「何を仰いますか!あの時のクロシタン様はとても毅然とされてて…とてもかっこよかったです!
そしてその時の髪を染めるという発想が…わたくしとても気になっていて、そしたらわたくしの店での一件があり、あの時だってクロシタン様はとても冷静で…かつ隣国ラファールの事までもよくご存知の様でしたので、絶対にお知り合いになりたいと思っていたのです!」
「そっそうだったのですね…、その様に思っていただけて恐縮でございます。
しかし…その……こうして高位の皆様の前でわたくしの話を聞いていただくという事自体が、その…烏滸がましいと申しますか、緊張すると言いますか……」
「ん?なんだそんな事は気にせずに構わない。思った事を自分の言葉で話してくれ!」
「そうですわ、クロシタン様!思うままに発言してください、そして出来ればわたくしの事はどうぞクリスティーナとそう呼んでいただきたいです!」
フェルベールとクリスティーナの両名にそう言われてしまった麗良は、動揺を隠せぬままウィルトを見ると
「私の事も…ラムゼイではなく、ウィルトと名前で呼んでください。そして私達も貴女の事をレイラ嬢と名前で呼ぶ事を許してもらえると嬉しいのだけど…ダメかな?」
急に砕けた話し方で、甘える様な目で麗良の名を呼ぶウィルトに思わず頬が熱をもつ麗良。
何か言葉を発したいが…その唇だけがハクハクと動き二の句を発せずにいると…
「わたくしに対しても是非気軽にお話ししてください。それでなくてもわたくしは歳下なのですから!
わたくしもクロシタン様と、もっともっとお近づきになりたいのです…ダメです…か?」
うるうると、こちらも負けじと上目遣いで訴えてくるスミレ色で綺麗な瞳のクリスティーナ…。
「ンナッ!」と変な声が出そうになったのをなんとか堪え、本来ならば助けを求めてはいけない相手に視線を向けると…
「ん?友人なのだからいいじゃないか、何も気にする事はないだろう?俺の事も好きな様に呼んでくれて構わないし、どうかクリスティーナの願いを叶えてやってくれレイラ嬢」
「ぇぇえっっっ!!??」
フェルベールの言葉に…今度こそ我慢出来ずに声に出してしまった麗良なのであった…。
体調を崩していた事もあり、少しペースは落ちるかもしれませんが頑張りますので、お目に留まりましたら今後ともお立ち寄りください。 雪原の白猫( ˙꒳˙ )ノ




