11.お、おとも…だち? いぢめる?
そろそろここらで折り返しです。
完結まで頑張って走り抜け、完走目指しますので
どうぞ最後までお付き合いください(種目は競歩)…。
ー ◯月◯日 晴れ ー
今日はとても凄い事が起きた。
今話題のウェンティーナで、話題のお二人に会った。
ブロワ様は一つ歳下なのに、とても落ち着いてらして、でもフェルベール様の事になるととても可愛らしい方で…お幸せなのが伝わってきた。
パーティーでお見かけした時の雰囲気とは違っていたので少し驚いたけど、どちらのブロワ様もブロワ様なのだと思った。
ヴェントラー様はもう…キラキラで、ブロワ様を見つめるお顔がとてもお優しくて…元々クラスが違うから噂でしか存じ上げない方だったけど…噂とは全く別人に見えたので、これが…恋は人を変えるという事なのだと実感してしまった。
そしてラムゼイ様ともお友達になれた!凄く嬉しい。
学園でもお友達として接してもらえるか心配だけど、明日お会い出来たら…今日とはまた別の、趣味とかラファールのお話しとかもしてみたい。
そしてブロワ様とも…。お聞きしたい事が沢山あるから、お茶会でお話ししてみたい。
(ふぅー、今日も沢山書けたわ!イベント盛り沢山で少し疲れたけど…興奮しているせいか目が冴えてしまったわ…)
ウィルトとカフェでの事を思い出す麗良。
「クロシタン嬢、店から連れ出してしまってすみません」
「いいえ、わたくしもあのお二人のお邪魔にはなりたくはありませんし、こうしてラムゼイ様とカフェに来れたのですから」
「フッそれでしたら、お好きな物を何でも頼んでください。お詫びも兼ねてますから、この後も時間の許す限りどこまでもお供させてください…と言ったらご迷惑ですか?」
「えっ?この後も?でもラムゼイ様は何かご用があるのでは?わたくしなら大丈…」
「いいえ、ありません!なのでクロシタン嬢のご迷惑で無ければご一緒させてください。子爵家へ帰られるなら屋敷までお送りします」
と、そこまで言われたのでその後も一緒に街歩きをし、そして麗良は彼がラファール国の公爵家の四男であり、親戚であるブロワ家の後継者の中継ぎとしてラファールから転入して来た事や、今後の身の振り方で悩んでいる事まで打ち明けられてしまったのだ。
かなり立ち入った内情に麗良は自分が聞いて大丈夫なのかと心配にはなったが、第三者への方が話し易い事もあるだろうと、彼の話す事に黙って耳を傾けたのであった…。
日記を閉じた麗良は思う…。
(ラムゼイ様もこちらに来て半年ほどと仰っていたから…悩みを打ち明ける友人もいらっしゃらないのだわ…知り合って間もない私に打ち明けるぐらいだもの、何かお力になれるといいんだけど…)
そして翌日、麗良の学園生活は、ガラリと一変した。
昼食の時間…授業が終わり、さて今日はどこで食べようかと教室を出ようとした麗良を、ウィルトがランチのお誘いに来たのだ。
昼を一緒に食べる事となったのはいいが…そこにクリスティーナから声が掛かり、当然フェルベールも参加したのである…。
その錚々たるメンバーでの昼食に緊張したのは最初だけで、慣れるととても楽しいランチタイムとなったのだ。
「何故クロシタン嬢もこんな人気の無い所で食事を?」
(『も』?ってどう言う事かしら?)
「クロシタン様すみません、実はわたくしが未だに人気の無い場所で食事をしているので…以前は独りだったのですが…今はその…」
「あぁ、俺との婚約が騒がれているからな…すまないクリスティーナ、しかし君が遠慮する必要は無いぞ!」
「フェルベール、クリスティーナが人目を避ける理由はそれだけではないと思いますが?」
「ウィルト、他に何か理由があると言うのか?」
中庭の隅のガゼボにある小さな丸テーブルに四つの丸イス、しかしクリスティーナは…長い脚を広げて座るフェルベールの左太腿の上にちょこんと座らされ、さらにフェルベールの左腕でホールドされ…彼の右手によりサンドイッチを口に運ばれていたのだ…。
「ご馳走様でございます…」
「ん?クロシタン嬢もう終いか?少食なのだな」
「っ!?…いいえっ!まだしっかりと全部頂きます!」
「クロシタン嬢?足りないなら私のをあげましょうか?それとも君もここに座る?」(ニコッ)
「ラッラムゼイ様?おっお戯れを…」
「ん?ふざけてなんかいないですよ?今なら私にもフェルベールの気持ちが分かるという事ですよ。フフ」
「ウィルト!クロシタン様を困らせるのはやめて!
クロシタン様、無理やりご一緒してしまい申し訳ございません。その…以前からお見掛けしておりましたが、先日の事もあり…それにウィルトも一緒でしたので、つい…」(モグ)
(以前から?嫌だわ…ボッチで独り寂しく食べてた所かしら?それとも他に何か…)
「以前食堂で、ご友人達と口論されてた時にクロシタン様が仰っていた事が気になっていて…一度お話をさせていただきたかったのです(モグッモグモグゴックン)
もうっ!フェルベール様っ!会話の切れ目にサンドイッチを運ぶのはお止めください!クロシタン様に失礼です。邪魔をされるならウィルトと向こうに行ってもらいますよ!」
「あっ、わたくしはもう慣れましたので、どうぞお構いなく。ヴェントラー様のお心のままに」
「うむ、心遣い感謝するクロシタン嬢。君も珍しく裏表のない人間で信用出来そうだ。どうかこれからもクリスティーナを頼む」
「何が『うむ』ですか偉そうに…クロシタン嬢、気にしないでくださいね、このフェルベールと言う人はクリスティーナの従兄弟である私を警戒してるのです。一歩遅かったら私とクリスティーナが婚約していたかもしれないと…。
私は婿でも養子でも構わなかったのですが…こうなっては養子となりブロワ家を継いでもいいものかと、こっちは頭を悩ませていると言うのに…全く」
「どう言う意味だウィルトッ、俺は別に…警戒など…。クリスティーナ違うんだ!俺は君を信じている、ただ君をダシに近付いて来る者達も多くて…いや、クロシタン嬢を疑った訳でもないのだが、その」
(ああっクソッ、ウィルトめ!まさかコイツも俺と同じ様に他人の心が読めるのか?いや…まさかな。
しかししょうがないじゃないか…やっとクリスティーナを憎き幼馴染のクズ男から奪取出来たと言うのに、今度は優秀な従兄弟だぞ?警戒して何が悪い)
(なるほど、ヴェントラー様はブロワ様をラムゼイ様に取られたくなくて…わざわざ目の前で見せ付けてらっしゃると、ザッ嫉妬という事なのですね。
だけどラムゼイ様は、そのさらに先の事を考えて…。
確かに…かなり先にはなるでしょうが、お二人のお子様が次々とお産まれになったら、その内のお一人をブロワ家の養子として後継者とする方が…と、ブロワ家の現当主様もその様にお考えになるでしょうね。
昨日ラムゼイ様が仰っていた中継ぎの後継者ってこの事でしたか…)
麗良と話をしたいクリスティーナをよそに、それぞれの思惑が水面下で交錯するランチタイムとなっていた…。
ちなみに…ヴェントラー公爵家は王家に連なりその血を引いており、その血にのみ受け継がれている秘密の力の事は…また別のお話で…(前作、貴方が望んだ事ですよ?にて)
チラッととのつもりが……
フェルベールが圧をかけてきたのです!ややこしくなるから「君達は名前だけで出番は無いよ」と伝えてたのに…
…という作者の茶番でした( ˙꒳˙ )ノ




