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10/22

10.展開の速さに早くもお手上げです

カレン様は…

金髪ドリルヘアに赤カチューシャのイメージです( ˙꒳˙ )



 ▶︎逃げる ▶︎戦う✔︎


前に進み出た時、既に麗良は選択していたのだった。


「あら?カレン様はご存知でない?

相談箱とは生徒会と新聞部が共同で設置している物で、生徒達の悩みや相談事、そして要望など声を聞いてくれる投書箱ですわ。

その様な善意の箱がせっかく設置されてるんですもの、活用しないのは勿体無いと思いませんか?

まぁ…もしもの話ではございますが…

わたくしが目の前の理不尽に声を上げたら?

わたくしがブロワ様の事を案じ、お節介をしたら?

わたくしが持つ薄っぺらい正義を振り回したら?」


「それでわたくしを脅してるつもりなの?」


「そんな!子爵家ごときのわたくしが?フフッ

僭越な物言い失礼いたしました。わたくしはただ…相談箱の存在を明かしご説明しただけです。

あぁそれと、周知はされておりますが、

生徒会に所属される方々は皆様優秀である事と、新聞部の皆さんのお仕事がとても迅速である事も付け加えさせていただきますね。

それを踏まえてなお、貴女はそれを手にされますか?」


「何よっ!こんな物っ!レイラさんっ貴女このまま済むと思わない事ね!……行くわよ貴女達」


その横柄な客、カレン・オルダー侯爵令嬢は、手にしていた扇子を麗良に投げつけ店を出て行った。友人AとBもそっと棚に扇子を置きカレンの後を追ったのであった。


「お客様!大丈夫ですか?ああっ!お顔にっ」


咄嗟に顔を背けはしたが、投げつけられた扇子は麗良の頬に見事ヒットし赤い跡となっていた様で、それを見た店員が慌てていると…


「お客様、よろしければこちらへどうぞ。あなたは仕事に戻ってちょうだい。ここもお願いね…」


声を掛けられた麗良は、店員に指示を出しているその人が自分の歳とそう変わらない事に気付いた。


「もしかして…ブロワ様でいらっしゃいますか?」


「はい、ご挨拶が遅れました、ブロワ伯爵家のクリスティーナでございます。それよりもクロシタン様、頬を冷やしませんと、さっ奥へどうぞ」


オーナーであるブロワ伯爵令嬢に挨拶され、店の奥へと促されるが驚いて固まってしまった麗良に、声を掛ける人物がもう一人いた。


「クロシタン嬢、頬が…。早く冷やさないとっ!」


「ラムゼイ様っ?えっ?」


昨日の今日で、意外な場所での再会にこちらも驚きを隠せないでいると、その二人によって店の奥の応接室のソファーに座らされて、麗良は手当を受ける事となった。

応接室といっても扉は無く簡易的なソファーとテーブルが置かれただけのオープンな場所で、お互い改めて挨拶を交わし、早々に立ち去ろうとした麗良だったのだが…



「クロシタン様、先程は本当にありがとうございました。本当ならばわたくし共が対処しなければならない事を…。その上お顔にこの様に傷をつけてしまい、お詫びのしようもございません。」


「ブロワ様、わたくしが勝手にした事です。なので気にされないでください。頬も大した怪我ではないですし」


「いいえ!そういう訳にはまいりません!そもそもウィルトがあんな事言い出さなければ…ほらっ貴方からも謝罪して!」


「クロシタン嬢、本当にすまない。こんな…怪我を負わせてしまって…」


「あのっ、一体何が?わたくしあの方達と面識があり、余りにも彼女達の態度が酷かったので諫めたまでで、お二人に謝罪される様な事は…」


「わたくしが止めに入ろうとしたのを、この男が止めたのです。クレームや迷惑を言ってくるお客に対しての従業員の対応力を見ようと…。

勿論それでもあの場に割って入ろうとしたのですが…クロシタン様とあの方達はお知り合いの様でしたので…様子を窺ってましたところ、あんな事に。」


「なるほど、そうだったのですね。実地の経験に勝るものは無いですものね。でしたらわたくしの方こそ出しゃばってしまい申し訳ございませんでした。」


「おやめください!彼に彼女達は止められなかった筈です。そしてこの店は僅かとはいえ損害を出し、普段行っていない配送や後払いという無理を押し付けられる所でした!それをクロシタン様は回避してくださったのです!

本当に感謝申し上げます。それで何かお礼をさせていただきたいのですが…」


「ブロワ様、お気持ちだけで結構です。どうか気にされないでください、それに…あの時わたくしがもっと上手く立ち回っていれば…」


「クロシタン嬢?あれよりも上手くとは?あれ以上の対処とは一体…」


「ウィルトッ!全く貴方って人は、クロシタン様が痛い思いをされたのは貴方のせいでもあるんですからきちんと反省してください!」


「あの…ところでお二人のご関係は…?」


「あっ、…母方の従兄弟なのです。ブロワ家にはわたくしだけで…その…この度…あの、わたくしが…」


「そうでした!ブロワ様、ご婚約おめでとうございます。改めてお祝い申し上げます」


「ああ、あっあっありがとうございます!わたくしなんかがフェルベール様の婚約者だなんて…本当に有り得ないと申しますか、何と言いますか…その」


「フフフ…ブロワ様いけませんわ、貴女様はヴェントラー公爵家のご嫡男フェルベール様が、ご自分の唯一だとお選びになり、特別な存在になられたのですからその様に申されますと、ヴェントラー様も悲しまれますよ。

ハッ!すみません初対面であるのにこの様な事を…」


「いいえ!いいえ、クロシタン様っ!…わたくしフェルベール様からも同じ事を言われますの…でも、そうですわよね…自分を卑下する事は彼の評判を下げかねない事ですわ…でも中々にまだ慣れないと言うか…」


「ブロワ様?不安になられるお気持ちはよく分かります。お相手の方を心配し、色々と考えてしまう事もあるかもしれませんが、お相手はあのヴェントラー様なのですから少々の事では彼の地位も名声も揺らぐ事はないでしょう?

でしたら貴女様は彼の隣で幸せを存分にご堪能なさるといいと思います!

まぁ…婚約破棄をしたばかりのわたくしの言葉では説得力もあまりございませんが…」



「彼女の言う通りだクリスティーナ!」

「…ッッ!!?フェルベール様っ!えっ?何故?」


「報せを受けた。クロシタン嬢、店内での件私からも礼を言わせてくれ。怪我をさせてしまった事も含め、改めて場を設けさせてくれないだろうか?」



(んなっ!何ですって!ヴェントラー様ご本人様っ!?ちょっ…キラキラオーラが凄いっ!この方…近くで見てはいけない方だわっ!)


麗良があから様にワタワタしていると…


「クリスティーナ、また来るよ。私はクロシタン嬢を送ってそのまま帰るから、フェルベール殿との時間を楽しむといい。それではフェルベール殿、また近いうちに」



「ウィルト!どうしてクロシタン様を?わたくしもう少しお話ししたいのに!」

「クリスティーナ?俺ではダメか?さっここにおいで」

「まっまたその様な事を!お客様の前でっ」



クリスティーナの声で我に返った麗良は、フェルベールに何とか初めましての挨拶をし、クリスティーナにも別れの挨拶をしてお邪魔虫にならぬ様、急いで店を出た…


そして何故か一緒に店を出てきた彼と、何故か一緒にカフェでお茶を飲みながら、何故か一緒に今度ブロワ家で開かれる茶会に出席する事になったのであった…。




クリスティーナとフェルベールが登場しました。

ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、捨オサ拾イケの二人です。


そしてウェンティーナの応接室が出てきましたが、あの部屋には元々扉がありました。しかしフェルベールが店に来るたびに自分の膝にクリスティーナを乗せてイチャイチャしてくるので、クリスティーナが扉を取っ払いオープンスペースとなった曰く付きの部屋なのです。


次回…「麗良!友達ゲットだぜ?」お楽しみに( ˙꒳˙ )ノ


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