⑲迫っている
大変な時ですね。
※一部フィクションも使っています。
奥さんの勤める会社の同僚のお母さんがコロナに感染したということで、第一報が車で帰宅中の私のラインに知らせが入った。
「電話してください」
その短い文字にただらぬことが起きたのだと感じた。
近くのコンビニの駐車場で車を停め電話をかける。
「どうしたの?」
「大変なことになりました」
「何?」
「会社の方のお母さんがコロナになって、念のため私たちのいる部署のみんながPCR検査を受けることになったの」
「・・・ああ」
固まる私。
「多分、大丈夫とは思うけど・・・明日検査を受けることになりました」
「結果は?」
「明後日の昼には」
「分かった。とりあえず、こっちは俺、連休だから、もし陽性だったら会社へ連絡入れるでいいね」
「うん、ごめんね」
「仕方ないよ」
「晩飯は」
「あまり作る気がしない」
「じゃ、コンビニで買って来るよ」
その日の夜は、結局、部屋は別々、手洗い消毒を徹底し、食事は自分が担当する。
結果がでるまで家事は自分の担当、奥さんは出来るだけ個室で過ごす。
幸い彼女は大人買いした「鬼滅」をまだ12巻ぐらいしか読んでないので、とりあえず読んで、不安な気をいくらか紛らわせるだろう。
お義父さんに説明して出来合いの夕飯を食べて頂く。
風呂は当然、奥さんが最後。
翌日、午前中にかかりつけのお医者さんへ奥さんは検査を受けに行く。
表情にこわばりと緊張が見える。
「なるようにしかならないよ」
「うん」
互いに不安な一日を過ぎる。
そして、検査結果、幸いにも奥さんを含め、みんなは陰性だったそうだ。
ほっと胸をなでおろす彼女。
私もほっとした。
だけど、もうそこまで迫っている。
他人事ではない。
陰性だからといって、明日はどうなるかなど分からない。
でも、安全対策やるべきことをしっかり出来ることを行うだけだ。
不思議な世の中になってしまったものだ。
だけど、前を向いて行くしかない。
だからこそですね。




