91、⑥ヒューマンドラマ(文芸)「毒を制し毒を吐く」
すっきり~。
「お前は、なんで出来ないんだ!」
開口一番、係長が言ってきた。
いや、なんで人前で大声で言う。
お前こそ、パワハラにモラハラだろ。
俺は唇をきゅっと噛みしめた。
「なんだあ、その反抗的な顔は、なんだ反論があるなら言ってみろ」
言ったところで倍返しの理不尽攻撃のオンパレードだろうよ。
「いいえ」
俺は諦め似た言葉を発する。
「そうだろ。俺はお前の為を思って言っているんだ」
だったら、黙っていてくれ。
「で、なんで出来ないんだ」
ははは、リフレインが来たよ。
「・・・・・・」
「言ってみろ」
「・・・・・・」
「なあ、俺は寛大なんだ」
そうかよ。
こちらは堪忍袋を緒が切れたぞ。
「お言葉ですが・・・この発注ミスは、部長のものです」
「なっ!」
お前の尻ぬぐいなぞ、もう御免だ。
「この書類の字、あなたですよね」
「お前っ!」
「私はお前じゃありません。ちゃんと名前があります。ちなみにこの手の課長ミスは数えて50回なります」
「俺は、なんでかと聞いているんだ」
「だから、課長が要因ですって」
「・・・・・・」
「さらに、課長のミス資料、パワハラ、モラハラ発言は、写メ及び録音しています」
「・・・なっ・・・な」
「窮鼠猫を噛む・・・じゃないな・・・私じゃなくても、いずれ他の誰かが同じ事をしたと思います」
「・・・貴様っ!」
「まずは己を知ってください。相手の気持ちを考えられない人は、上に立つ資格はありません」
「・・・むきーっ!」
課長は奇声を発して倒れた。
俺は、カバンの中から辞表を取り出し、ヤツの足元に投げ捨てると、颯爽と会社から出ていく。
したいね~。




