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貞操逆転世界で真面目な成り上がりを目指して男騎士になった僕がヤリモク女たちに身体を狙われまくる話   作者: 寒天ゼリヰ
第四章 結婚狂騒曲

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第475話 くっころ男騎士の陽動

 こうして、リッペ市攻略戦が始まった。とはいっても、リュパン団長に言ったように実際の攻撃に参加する部隊はごく少なかった。主力は僕の配下の蛮族兵たちで、それを補助する形で編成上扱いづらい零細貴族たち(配下の兵士が数名とか多くても二十名程度の連中だ)などを投入している。

 作戦参加人数は、合計で千名足らず。我々の部隊の合計が六千名程度(南部方面軍全体では一万名だが、残りの四千名はヴァール子爵の支隊やミューリア市の防衛などに当てている)なので、実に六分の五の兵士たちは手持無沙汰にしていることになる。

 とうぜん、この采配にはリュパン団長のみならず他の諸侯たちからも非難囂々であった。やれブロンダン卿は手柄を独占しようとしているとか、新兵器の営業なら他所でやれとか、王家に良い格好をしようとしているとか、さんざんな言われようである。


「もちろん、皆さんに待機を命じているのは理由あってのことです。つまりは、予備戦力ですね。そもそも。この規模の街の攻略に六千もの兵を投入するのはいささか過剰ですし。戦力温存のためにも、ここはあえて少人数での攻撃に踏み切ったわけです」


 などと僕は弁明したのだが、もちろん納得してくれるものなど誰もいなかった。僕に対する非難の声がより大きくなっただけだ。


「ブロンダン卿はあえてとおっしゃったが、そもそもそのリッペ市攻略自体が上手くいっていないではありませんか! レンブルクの一日落城は、まぐれだったと見える!」


 返ってきた反論はもっともなモノだった。確かに、リッペ市への攻撃はうまくいっていない。アリンコ兵を主力とした正面部隊は果敢にリッペ市の防衛線に攻撃を仕掛けるのだが、やはり塹壕と鉄条網の組み合わせは厄介だ。工兵が有刺鉄線に取りついてなんとかこれを破壊しようとするのだが、もちろん敵は思いっきり妨害をかけてくる。結局、毎度のように撃退されて撤退してくるのがオチだった。

 そもそも、いかに小都市とはいえ一個連隊にも満たぬ千人ぽっちの兵数で攻めようというのが、やや無理があった。もちろん奇襲であれば話は別なのだが、リッペ市の連中は十分に防御準備を整えている。彼女らは市民まで動員して塹壕を掘り、そして河川都市の強みを生かして有刺鉄線やらクロスボウやらの防御向きの兵器を市外から大量に運び入れていた。容易に攻略が成らないのも当然のことである。


「野戦砲とやらは確かに強力な兵器かもしれないが、この程度で使用不能になるようではやはり実戦的とは言い難いな。戦術級魔法を習得した魔術師部隊の下位互換だ」


 虎の子の山砲隊に対しても、諸侯たちの評価は辛辣だった。なにしろ、リッペ市の連中は大砲の通過できそうな場所は軒並み重量有輪犂じゅうりょうゆうりんすきで掘り返してしまっている。いかに軽量な山砲とはいえ、やはり青銅の塊であることには変わりない。掘り起こされたばかりの軟弱な地面の上を走らせようとすると、スタックして動けなくなってしまう。

 ……まあ、実際のところわが軍の山砲はこのような地形でも運用できるよう、分解して人力や駄馬で運搬できる構造になっているんだけどな。しかし僕はあえて、分解しないまま砲車に乗せて使用していた。むしろわざと路上でスタックさせ、難儀する姿を敵に見せつけるような小芝居も打っている。もちろん、敵方は大喜びだ。味方の諸侯ですら、指をさして嘲笑する者もいた。


「ブロンダン卿。貴様、どういうつもりだ」


 指揮本部の大天幕の下で、リュパン団長は不信感に満ちた目を僕に向けた。先ほどまで、我々は諸侯らと軍議をしていたのだが……当然ながら、このような無様な戦いぶりを見せている僕は思いっきり突き上げを喰らっていた。リッペ市への攻撃が始まってすでに一週間、諸侯たちはすっかれ焦れていた。さっさと軍司令を辞任しろ。そのような発言まで飛び出す始末だ。


「どういうつもりと聞かれましても……やれるだけのことをしているまでですが」


 香草茶を啜ってから、何でもないような口調でそう答える。実際、僕は打てるだけの手は打っていた。後は上手く策が嵌まるかどうかが問題なのだ。


「フン……」


 何とも言えない目つきでため息をついてから、リュパン団長は(相も変わらず大量の砂糖とミルクがぶちこまれた)豆茶を一口飲む。


「貴様がまっとうな戦略眼を持っていることは理解している……にも拘わらず、この醜態。わざとだな?」


「さて……」


 僕は唇を尖らせながらそっぽをむいた。確かに、彼女の言う通り僕には腹案があった。とはいえ、それをはっきり口に出すことは馬鹿駆られる。なにしろ我々諸侯軍は烏合の衆だ。間違いなく、敵のスパイが紛れ込んでいるはずだ。作戦の意図など、そうそう口に出せるものではない。


「下手な猿芝居などしおって。拙者にはお見通しだぞ」


「お見通しですか。そりゃあ不味いな、策がないことがバレてしまう」


 軽く口笛を吹いてすっとぼける。気づけば、リュパン団長の口元には笑みが浮かんでいた。


「おい、自分だけ面白い事をやろうというのではなかろうな。さっさと吐け、拙者にも一枚噛ませろ」


「いえ、いえ。まさかまさか。所詮は男の頭で思いつく作戦ですので」


「頭を使う分には女も男も関係ないだろうが」


 どの口がそれを言うんだよそれはこっちのセリフだよ。ちょっと呆れていると、天幕に誰かが入ってくるのが見えた。フェザリアだ。彼女は団長に断りを入れてから、僕に耳打ちをしてきた。


「小舟ん調達が終わった。エルフ隊ん準備は完了じゃ」


「了解。作戦の開始命令を待っていてくれ。先走る者が出ないよう、きちんと監視してくれると嬉しい」


「承知」


 コクリと頷いてから、フェザリアは退室していく。その背中を見送ってから、リュパン団長はぐいと身を乗り出した。


「おい、やっぱり裏で何かやっているだろう。ネタは割れているんだ、キリキリ白状しろ」


「いや、そげなことは……」


 なおもすっとぼけていると、今度はソニアがやってきた。彼女もまた、フェザリアと同じく僕に耳打ちしてくる。


「山砲の梱包が終わりました。いつでも配達可能です」


「よしよし。そろそろ魚も餌に食いつくころあいだ。翼竜(ワイバーン)隊には緊急出撃準備をさせておけ」


「了解」


 コクリと頷いてから、ソニアも退室していく。その背中を見送ってから、リュパン団長は僕の肩に手を置いた。


「おい、貴様、おい! 自分だけ美味しい所を持って行く気ではなかろうな! ずるいぞ! 拙者も混ぜろ!」


「なんのことやら」


 そっぽを向いてそういうと、リュパン団長は僕の肩をガクガクとゆさぶった。その目は獲物を捉えた肉食獣のようにギラついている。あー。ヤバい。喰われそう。しゃーない、ちょっとだけゲロるか。


「……ところで団長殿。いま、ヴァール子爵の部隊はどのあたりに居るのでしょうか?」


「うん? あのカスならば、我々の後ろで相も変わらず落ち穂拾いをやっているぞ。主力部隊の後方を援護する、という名目でな」


「なるほど」


 僕は頷いてから、薄く笑う。


「で、そのヴァール子爵の支隊の頭数は?」


「三千。将兵がマトモだったら、助攻を任せられる程度の兵力はある。しかし将があれではな……」


「でしょうね。……ところで団長殿。これはあくまで仮定の話ですが……敵の主力部隊からやや離れた位置に、戦意が低くて兵力も少ない補助部隊がたむろしていた場合、団長殿であればどう対処されますか?」


 ここまで言えば、もう僕はすべてを白状したようなものだった。リュパン団長はアッと小さく声を上げ、満面の笑みを浮かべる。


「……そいつから狙う。各個撃破は戦術の基本だ」


「ですよね」


 半笑いでそう言ってから、僕は軽く頷いた。要するに僕は、わざと隙を晒すことでヴァール子爵の部隊に敵の攻撃を誘導しているのだった。


「……こうしてはいられない! 我が騎士団に出陣の準備をさせてくる!」


 リュパン団長は、大慌てで指揮本部から出て行ってしまった。なんとも、楽しそうな声音だった。いかに指揮官としてはマトモでも、やはりリュパン団長は過激派中の過激派。敵の殲滅が好きで好きでたまらないタイプなのだ。


「さて、さて。こっちも準備を整えておかねば」


 僕は小さく呟いて、視線を指揮卓の上の地図に移した。ヴァール子爵の部隊が敵野戦軍七千に奇襲を受けたという急報が入ってきたのは、翌日の早朝のことであった。


「」

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― 新着の感想 ―
[良い点] 射点だけじゃなく街道まで耕してありましたか。 しかし主人公配下の皆さんは小芝居が上手ですねえw これで敵野戦軍の側背を突いて勝利を得ても、同格だけに損害は受けるでしょうし、リッペ市取って…
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