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感度

 座敷童子が雪女に使った奥義。

 文字使いの奥義。

 それは周囲にいるものにもその効果をもたらすため、早めにそれを解除する必要がある。

 しかし、だからといってなかば無理やり唾液を飲ませてもいい理由にはならない。


「……うう……僕は……どうして他人の唾液を飲んでしまったんだ? 僕にそんな趣味はないのに……」


「いつまでも落ち込んでいてはダメです。今日もバイトがあるのでしょう?」


 そうだった……。

 与えられた仕事はやり通さなければならない。

 はぁ……でもな……。


「シャキッとしてください!」


 座敷童子が僕の背中を叩く。

 その衝撃が僕の体に快感をもたらした。


「……!」


「どうかしましたか?」


 気のせい……かな?


「いや、何でもない。それじゃあ、行ってくる」


 座敷童子は何かに気づく。


「待ってください」


 彼女の手が彼の手首をつかむ。

 その直後、彼はその場に座り込んだ。


「これは……少し厄介なことになりましたね」


「な、なんだよ……これ。体が震えて……」


 これって、もしかして。


「すみません。あなたに唾液を飲ませすぎてしまったようです」


「なん……だって?」


 ちょっと待ってくれ。

 僕はこれからバイトに行かないといけないんだぞ?

 こんな体じゃ、まともに動けないじゃないか。


「残念ながら、私一人では解除できません。しかし、二人なら、なんとかなるかもしれません」


「二人?」


 座敷童子が指を鳴らすと、夏樹なつき(妹)がものすごい勢いでリビングにやってきた。


「呼んだー?」


「はい、呼びました。かなりまずい状況です。今すぐ、お兄さんを二階まで運んでください」


 え? ちょ、いったい何をするつもりなんだ?


「はーい」


 妹はそう言うと、僕を黒い長髪で拘束こうそくした。

 その後、自分の頭の上に僕の体を乗せた。


 *


 僕の部屋に着くと、妹は僕をベッドの上に寝かせた。


「それで? これからどうするの?」


「時間がないので余計な説明ははぶきますが、これから私とあなたでお兄さんを絶頂へといざないます」


 おい、それって、つまり。


「え? それって、つまり、お兄ちゃんが気持ちよくなるように、私たちが手助けするってことだよね?」


「はい、そうです」


 逃げよう。

 今すぐ、ここから逃げよう。


「お兄ちゃん、どこ行くのー?」


「え? あー、いや、少し早めに家を出ようと思ってな」


 妹はニコニコ笑いながら、僕をベッドに寝かせる。


「そんな状態じゃ、まともに働けないよ。だから、私たちに身をゆだねて」


夏樹なつきさんの言う通りです。あなたはおとなしくしていればいいのです」


 いや……やめて……。

 まだ……心の準備が……。

 このあと、彼は二人に体をいいよりにもてあそばれた。

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