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 僕が目を覚ますと、そこには誰もいなかった。


「あれ? 夏樹なつきー、童子わらこー、いないのかー?」


 二人の気配がない。足元も聞こえない。

 外にいるのかな? 僕は部屋の窓から庭の方に目をやった。

 しかし、そこには誰もいなかった。

 二人の行きそうな場所を思い浮かべながら時計に目をやると、十一時だった。


「買い物にでも行ったのかな?」


 童子わらこならともかく、夏樹なつきが外に出ているところを想像できない。

 なら、いったいどこに?

 僕がそんなことを考えていると、後ろから誰かに抱きつかれた。


「ちょ! な、なんだ!」


「お兄ちゃん、おはよう。よく眠れた?」


 こ、この声は……。


「な、夏樹なつき! お前、どうして……というか、今までどこにいたんだよ!」


「どこって、私はずっとお兄ちゃんのとなりにいたよー。ねえ? 童子わらこちゃん」


 夏樹なつきがそう言うと、僕の目の前に座敷童子が現れた。


「たしかにそれは間違いありません。しかし、あなたにはまったく見えていなかった。そうですね?」


「あ、ああ、そうだな」


 彼女は僕の机に『隠』という文字を指で書いた。

 その直後、机が消えてしまった。


「え? ちょ、今のはいったい……」


「私がいつも、あなたに察知されないようにしているのは知っていると思いますが、それは先ほどの文字を体のどこかに書いているからです」


 つまり、僕はこいつにからかわれていたということか。


「なあんだ、そういうことだったのか。ビックリさせるなよ」


 僕がそう言うと、彼女は僕の手をつかんだ。


「昼食の準備はまだできていません。なので、手伝ってもらえると助かります」


「了解。じゃあ、行くか」


 三人は仲良く一階のリビングに向かった。

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