下半身付近
僕と妹と座敷童子は今、一緒にお風呂に入っている。
「お兄ちゃん、今度は私がお兄ちゃんの体を洗ってあげるよー」
「あー、いや……その……なんというか……今日はもう大丈夫だ」
妹は僕の方を向くと「どうしてー?」と言った。
「それは……まあ、あれだ。もう童子に洗ってもらったからだ」
「えっ? そうなの?」
妹は僕の後ろに隠れている童子の方に目を向ける。
「はい、そうですよ。あなたの兄の体のあんなところやこんなところまで、しっかり洗いました」
「へえー、そうなんだー。でも、さすがに体の中までは洗ってないよね?」
えーっと、ちょっと何言ってるのか分からないなー。
妹は黒い長髪で僕を拘束すると、僕の耳元でこう言った。
「お兄ちゃん……力……抜いて」
「え? おい、夏樹。それはいったいどういう」
妹は僕が最後まで言い終わる前に僕の体内に自分の髪の毛を数本侵入させた。
「お兄ちゃん、私がいいって言うまで動いちゃダメだよ? じゃないと、お兄ちゃんの体の中、大変なことになっちゃうよー」
「は、はい……分かりました」
妹の髪の毛が僕の体の中を洗っている。
今まで感じたことのない感覚。
痒みと痛みと気持ち良さが僕の頭の中をいっぱいにする。
「なるほど。私に対抗するための手段としては悪くないですね。ですが、体の外側で唯一、まだ洗っていない部分があるのを知っていますか?」
「お、おい、童子。それって、まさか」
彼女は怪しい手つきを彼に見せながら、ジリジリと彼の元へと近づく。
彼女の両手が彼の下半身付近に向かっていくのを目にした彼はギュッと目を閉じた。
「それそれー、どうですかー? 気持ちいいですかー?」
「あはははは! そ、そこはやめてくれー! お願いだからー!」
彼の予想は外れた。
なぜなら、彼女が洗い始めた場所は彼の『おへそ』だったからだ。
「あー、ズルい。私もやるー」
そんな感じで彼は二人に体をいいようにされてしまったのであった。




