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成長

 妹が僕のことを愛している。

 それが座敷童子の口から発せられた時、僕は嬉しかった。

 なぜならば、僕も妹のことが大好きでできれば兄妹としてではなく、恋人にしたかったからである。

 しかし、血のつながりがそれを邪魔している。

 恋人にはなれても、それから先の関係にはなれない。だから、妹がこの家を出ていくまで、この気持ちは心の中にとどめておくつもりだった。

 だがしかし、妹も同じことを考えているのなら、話は別だ。


「……なーんてことを考えていませんか?」


「え?」


 座敷童子は僕の目をジト目で見つめてくる。


「な、何のことかなー。僕にはさっぱり分からないなー」


「……高校生になっても兄妹の仲が良いのは珍しいですし、むしろいいことです。しかし、もしも兄妹以上の関係になりたいと思っているのであれば、話は別です」


 もしかして、僕の考えていることが分かるのか?

 いや、さとりじゃあるまいし、そんなことあるわけ。


「ある程度なら分かりますよ。というより、あなたの場合は顔を見れば、だいたいのことは分かります」


「そ、そうなのか?」


 座敷童子は「はい、そうです」と言うと、僕の膝の上に座った。


「あ、あのー、これはいったい……」


 座敷童子は一度、僕から離れると回れ右をした。

 その後、僕に抱きついてきた。


「え? ちょ、お前、急にどうしたんだよ」


「私では……ダメですか?」


 その言葉の意味を理解しようとする前に座敷童子は僕の顔をじっと見つめ始める。


「あなたが妹さんと恋人……もしくはそれ以上の関係になりたいのは知っています。しかし、それは今後の人生に大きな影響を与えます」


 そ、それは……まあ、そうだな。


「ですので、その欲求を私か別の誰かで満たしてもらいたいのです」


「それは……ちょっと無理だな」


 座敷童子は下(くちびる)を噛みしめる。


「そうですか。やはりこんな幼い体には興味がないということですね。分かりました、では少し成長した姿なら、どうですか?」


「え?」


 彼女は自分のひたいに『成長』と書いた。

 すると、彼女は僕とほぼ同じ背丈になると同時に胸部きょうぶ臀部でんぶが発達した。


「これならどうですか?」


「いや、その……なんというか……反応に困るな」


 彼女は僕の背中に手を回すと、発達した胸部を押し当てるように抱きしめた。


「あなたも年頃の男の子ですからね、たまにやっているのでしょう? 自家発電……」


「いや、まあ……してないと言ったら、嘘になるかな」


 彼女は僕の耳元に顔を近づける。


「でしたら……これからは私でしませんか?」

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