表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
132/1943

無理です

 放課後。

 僕はいつもより早足で家に戻っていた。

 このままずっと座敷童子の機嫌が悪いままだと、気まずいからだ。

 それの原因が僕なのかどうかは分からないが、とりあえずやれるだけのことはやってみよう。


「ただいまー」


「あっ、お兄ちゃん。おかえりー」


 家に帰ると夏樹なつき雅人まさとの実の妹)が出迎えてくれた。


「おかえり、ダーリン」


 ついでに白猫も。


「ああ、ただいま。あれ? 童子わらこは?」


「え? 童子わらこちゃん? それなら、さっきまで私たちの近くに……あれ? どこに行ったのかな?」


 さっきまで一緒だったってことは、僕が帰ってきたから隠れたってことかな?


「そうか。ありがとう」


「あー、うん」


 さて、座敷童子はどこにいるのかな。

 おっと、その前に手洗いとうがいをしよう。

 僕が洗面所に行くと、何かが姿を消した。

 ん? 今なんかいたような……。

 気のせいかな?

 彼はやるべきことを済ますと、座敷童子の捜索を始めた。


「……よし、じゃあ、さっそく……」


「私に何か用があるのですか?」


 しかし、それは始まる前に終わってしまった。

 座敷童子が自分から姿を現したからである。


「うわっ! びっくりした……。お前さ、当然のように気配を消すなよ。僕が探知できないだろ?」


「あなたに探知されたくないから、気配を消しているのです。それで? 私に何か言いたいことでもあるのですか?」


 言いたいこと。

 あるには、ある。

 しかし、いざ本人に言おうとすると、どう言ったらいいのか分からない。

 まあ、とりあえず……。


「えっと……今朝けさから気になってたんだけどさ。お前、なんか機嫌悪いだろ?」


「……そうですか? 私はいつも通りですよ?」


 いや、なんか明らかに言葉に重みがあるよな?

 わざとなのか?

 僕はこいつにもてあそばれているのか?


「なら、どうして僕にだけ強気なんだよ」


「それは……その……なんでもありません」


 なんでもないはずないだろ。


「なあ、童子わらこ。僕の目を見て話せよ」


「……嫌です」


 どうしてだ?


「じゃあ、せめて僕の首の根本を見てくれ」


「……それも嫌です」


 なんだと?


「うーん、じゃあ、僕の心臓……」


「無理です」


 無理?

 お前はいつから僕のことが嫌いになったんだ?

 そもそも、こいつに好きとか嫌いとかあるのか?

 まあ、いいや。


「そうか。なら、そのままでいいから聞いてくれ」


「はい」


 さて、どうしたものかな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ