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 学校が終わると、僕はすぐに帰宅した。

 一刻も早く風邪をひいている妹の看病をしたかったからだ。

 僕がいない間、座敷童子が看病をしてくれているが、少し不安だ。

 文字の力を使って、妹にあんなことやこんなことをしているかもしれないからだ。


「ただいま!」


「ふんっ!!」


 家の中に入った瞬間、僕は意識を失った。

 腹部を思い切り殴られた。

 それだけは分かった。

 僕が目を覚ますと、座敷童子が僕のひたいにデコピンをした。


「……っ!? な、何すんだよ! いきなり!」


「病人がいるんですよ? 騒がしくされると困ることぐらい察してくださいよ。考えなし」


 このロリ……言わせておけば!


「うるさい! ほっとけ! というか、夏樹なつきは今、どんな状態なんだ?」


「安心してください。もう熱はありません。今はぐっすり眠っていますよ」


 そ、そうか。あー、良かった。

 僕がほっとしていると、座敷童子が僕の頭を撫で始めた。


「な、なんだよ。というか、僕はいつまでこうしてればいいんだ?」


「あなたは膝枕が嫌いな人なのですか?」


 え? いや、別に嫌いってわけじゃ……。

 じゃなくて!


「そうじゃない。ただ、その……こういうことはもっとしたしい関係になってからの方が」


「バカですか? あなたは。こんなことくらいで動揺どうようしていたら身が持ちませんよ?」


 それは……まあ、そうだけど……。


「うるさいな……。僕は両親と過ごした時間より妹と一緒にいた時間の方が長いんだから、こういうことにあんまり慣れてないんだよ」


「そうなのですか? なら、今は私に甘えてください」


 なんで僕がそんなことを……。


「私では物足りませんか? そうですよね。私は一生、背が低いままですし、胸も大きくなりません」


「で、でも、心はちゃんと成長してるじゃないか」


 今のはそれ以外、成長してないって言ってるようなものだよな。

 こういう時、なんて言えばいいんだろう。


「心……。そんなもの、私にはありませんよ」


「あるよ、ちゃんと。じゃなきゃ、お前はそんな悲しそうな顔なんかしないよ」


 彼は彼女の手を握った。


「まったく……あなたという人は……」


 彼女はそう言いながら、涙を指でぬぐった。

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