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単発恋愛系

ありふれた婚約破棄だけど

作者: 柏いち
掲載日:2016/03/27

 

 やはり、そうなのです。悪役、はどれだけ足掻いても悪役、なのです。



 私、リリア・アルファードはある貴族の一令嬢。

 そんな私が異変に気付いたのは6歳の時。

 大好物のプリンを食べていた時に突如今世の私ではない記憶が流れでできたのです。

 私は、気づきました。


「ここは、前世熱中していた乙女ゲームの世界だ」……と


 そうそしてリリア・アルファードは、ヒロインを虐める悪役令嬢なのでした。

 どこの小説だよ…と突っ込みたいのですが今世の私は貴族。そこは自重しておきます。

 そして今私は、婚約者で、あった。この国の第二王子様ハルト様に婚約破棄を言い渡されました。


「リリア・アルファード!お前は、以下の嫌がらせや暴力をイリスにしたんだな!?」


「そのようなこと、身に覚えはありません。」


 とぼけるな!!……ハルト様はそう仰られますが私には本当に身に覚えがないのです。


 そう彼の後ろで「ハルト様ぁ……」そんな桃色の声をあげているのがヒロインこと、イリス・フォアート。


 そして、私の婚約者を奪っていった人。


「ですから、そのようなことはしていないと先ほどから申しているはずです」


「信じられるか!」


「では、なにか証拠はあるのですか?」


 そう私が言うと、その言葉を待っていたかのようにハルト様はニヤァっと口角をあげました。


 正直言ってハルト様はお顔は大変整っておられますが、その顔は気持ち悪いです。


「彼女達の証言だ!」


 そう言うとハルト様は私の元 取り巻き達を呼び寄せました。

 彼女達の証言はこう。数々の嫌がらせは全てリリア様の命令だ、と。


 しなくて良いと言ったのにしたのは貴女達じゃない……


 ああ……私としては婚約破棄位どうってことないんだけれど……前から……わかっていたことだったし……


 でも、家族はどうなってしまうのでしょう。


 原作の、リリア・アルファードは家族にさえ嫌われていました。

 でも私のリリア・アルファードは家族に愛して貰えました。


 少々弟はシスコン気味なのですが……それでも大事な大事な家族です。

 きっと、お父様やお母様、弟、使用人達は婚約破棄をしたとしても私の事を守ってくれようとするでしょう。


 でも、それでは迷惑になってしまうでしょう。


「本当に、そう、なのかリリア。」


 ハルト様のお父様、つまりは国王様が私に問いました。

 国王様は、私にとって第二のお父様のようなものでした。国王様の目は戸惑いを隠せない。そんな色が映っていました。


「それは「そうです!!父上この女はイリスの事を階段から突き落としたり--------」


 ハルト様による私の糾弾は続きます。


「そんな事っ………」


 やっていません。


 ハルト様の視線が、痛い。


「っ……私…もうっ………」


 次は泣き落としですか…?イリスは綺麗な涙をスルスルと出しました。そして


「リリア様が、怖いっ………」


 国王様は、ゆっくり目を閉じられました。そして私の方を見ると


「リリアとハルトの婚約破棄を、認める。」




 ああ……でも……案外何も思わないものなのですね。私はこの10年間。ハルト様に何の感情も抱かなかったといえば、嘘になります。

 期待や奇跡を望まなかった訳ではないのです。


 でも、「やっぱり」その一言だけだったのです。


 家族には申し訳ないことをしてしまったなあ……と思います。弟はきっと王族を恨むことでしょう。


「っ………ハルト様!!」


「イリス………」


 お二人方は顔を見合わせて頬を赤らめ合っています。


 そう、これで私の役目はおしまい。悪役は悪役として終わらないといけないのです。


「いつまでそこにいる………早く出て行け」


 呼びつけたのは貴方でしょうに。

 ハルト様は私を非難の目で見ます。そしてイリスは小動物のようにハルト様の服を掴んでふるふると震えています。


 まるで、私が本物の悪役のよう。


  何もやっていないのに。これらのこと全てイリスがやったこと。自分で紅茶を被り悲鳴をあげて私の名前をあげる。


 最初は私を信じていたはずのハルト様は次第にイリスと愛を深めた。


 でも、何だか晴れやかな気持ちでもあります。


 だって、これで悪役としての役目終えられるのですから……。


 私はくるりと踵を返し、出口の方に向かいます。

 見ていた方達の視線が痛いけれど、足を動かしました。


 重たい扉を開けて出ようとしたその時。


「ふっ…はははっあははっ」


 この重苦しい空気の中笑い出した方がいました。



「兄上………?」


 正直私も驚いております。さすがに……第一王子様ことハルディン様だとしてもドン引きです。


 ハルディン様と私は昔の小さい頃はよくハルト様と私とハルディン様で遊んだりしていましたが、年齢を重ねる度。婚約が決まった時から段々と回数が少なくなっていました。


 何故かハルディン様には婚約者様がおらず、私という婚約者が出来たハルト様が「あにうえにかったー!!」と喜んでいた時のことを思い出します。


 もうあの頃には戻れないの、ですが。


 そんなことを私が考えている間ハルディン様はなんとか笑いを収めたようです。


 というかイリス。貴女はイケメンであればなんでもいいのか。目を輝かせるんじゃない。


 ハルディン様はやはり、というのでしょうか。美形です。ハルト様と比べると綺麗なイケメン様です。


「お義兄様…?」


 イリス、貴女。お義兄様って……

 本来であればイリスはこんな場所にいれば不敬罪として囚われる位の地位であるのですが。


「お義兄様と呼ばないでくれないか。不愉快だ。」


 すぅっとハルディン様は目を細めました。嫌です。ここ寒い。


 すると何を思ったのかハルディン様は私に近づいてきました。


 カツカツ…そんな彼の足音が響きます。


 そして___私の前で止まりました。


 ハルト様には何を言われても大丈夫だと思ってここに来ましたがさすがにハルディン様にまで言われるのは……少し……キツイです…。


 するとハルディン様は目を細めて、優しく笑いました。

 おもむろに跪き、私の手をとると、手の甲にキスをしました。


「…………?」


 なにが起こったのでしょう?よくわかりません。ハルディン様は何をお考えになっておられるのでしょう?


「なっ…兄上!?」


 ハルト様の声が響きました。


 ハルディン様はそんな声を気にすることもなく。

 整った唇を開きました。


「リリア・アルファード。」


「はい……?」


「私の妻になってはくれないだろうか。私は一生をかけて貴女だけを愛し、幸せにしよう。どうか……王妃となってくれないだろうか…?」


 彼は躊躇いがちに一つずつ言葉を選ぶように私に問いました。


 状況がよみこめない。何が起きているの?

 私のそんな困惑を読み取ったのか彼はもう一度唇を開きました。


「リリア。君を愛している。私と結婚してはくれないだろうか」


 やっとわかった。彼は私に求婚をしている。


 冗談ではない。そう彼の綺麗な瞳が私に伝える。


 何故……?


 でも混乱する頭とは違い心から嬉しい。そんな気持ちが出てくる。

 そんな気持ちにも戸惑う。


 周囲の人間達も段々と状況を理解してきたようで、顔が困惑の表情を浮かべている。


 その静寂をきったのは

「兄上!?何故っそのような女に「煩い。」



 彼は私の言葉を待っている。

 もう、いいのでしょうか。幸せになりたいと願ってもいいのでしょうか?

 この方なら私を愛してくれる。

 心のままを……伝えてもいいのでしょうか……


「は……い……」


 そう私が言うとハルディン様は凄く麗しいそのお顔に笑みを浮かべました。


「ありがとう。リリア。」


 そう言うと、立ち上がり私を抱きしめました。


「わっ……」


 思わず目をつぶってしまいましたがそこにはハルディン様の綺麗な顔が近くにあって心臓がどくどくと音をあげています。


「こうして、貴女をずっと抱きしめたかった……!」


 そう私だけに聞こえるようハルディン様は言いました。

 ずっと……?


 そして私を解放すると、手を引きハルト様とイリスの前に。


「兄上何故っ「兄とお前に言われる筋はない。」


 結構辛辣です。


「何故っ……その女を!!イリスを追い詰めたその女を!!」


「そうです!なんで……っこの人は私の事を階段から突き落としたり。「証拠は」


「だからさっき言った通りです兄上!!その者達が……「ティガ」


 呆れたようにハルディン様は呼び寄せました。その人はハルディン様の護衛です。昔教えて頂きました。

 色々と優秀だ、と。そして、ティガは甘いものが大変好きなようで私の作った菓子をたまに食べにきたりもしてくれた方です。


「はーいっよ!!」

 スルスルと人々の隙間を抜けてティガは、ハルディン様の手に数枚の紙を置きました。


 これ、は。


 全て彼女。イリスがしたことがまとめてありました。私に罪をかぶせたことや取り巻きを脅迫していたこと。


「なっ……?イリス……?」


「違います!ハルト様ぁ!私はそんなことしていません!

  ………そうです!全てリリア様がご自分を守るためにしたのです!!そのためにお義兄様まで味方につけたのです!

  女性って嫉妬で何をするかわかりませ…っ「お黙りなさい」


 そう、イリスを止めたのはこの国の女王様。つまりは王妃様。


「さっきからペラペラペラペラ煩いわ。

 黙って聞いていれば私の大事なリリアちゃんになにを言っているのよ。」


 王妃様……王妃様は国王様と同じように私にとって第二の母でもありました。

 そう言って頂けたことが嬉しくて出そうになる涙を私は押さえ込んでいました。


「まったく……貴方も貴方よ!!」


「わっ……儂か……?」


「そうよ!!なにを勘違いしたらリリアちゃんにそう言うことが言えるの?」


 さすが王妃様。国王様に強いです。


「リリア………すまなかった……許してくれ…」


 国王様はそう言うと頭を下げました。


「そんな……お顔をお上げください!!国王様…」


「しかし……」


「母上。私は父上に感謝の気持ちがあります。

 貴方がハルトとリリアの婚約を破棄したことにより私はリリアを妻に迎え入れることができました。ということで父上をお許しなさってはくれませんか?」


 ハルディン様はそう言うと少し意地悪そうに笑いました。


「まあ、そうね」


 王妃様は柔らかな笑みを浮かべました。


 ふと____前見てみると、ハルト様は呆然とし、イリスは羞恥のせいかわなわなと震えています。


「リリア………よく頑張ったな」

 そう言うとハルディン様は私の頭をさらりと撫でました。









 その後、ハルト様とイリスはどこか違う国へ飛ばされてしまったと聞いています。

 でも、あの時。ハルト様に嫌われるのはいいと思えたのにハルディン様には嫌だと思ったのは何故なのでしょうか……



 私がそれを知るのはもう少し後のお話。



















リリアちゃんはこの後幸せに……。


最後まで読んでいただきありがとうございました。少し昔に書いていたものを引っ張り出してみました。定番ものでしたがお楽しみ頂けたなら幸いです。

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