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【二部完結】VTuberなんだけど百合営業することになった。  作者: kattern@GCN文庫さまより5/20新刊発売
番外編 アヒル・ラプソディ ~ママ、どうして……~
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第666話 四阿遍史郎のささやかな誠意 その2

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【登場人物】

川崎ばにら  DStars3期生 ゲーム配信が得意

高峯 愛   女探偵 できる女の匂いがするが……?


【シチュエーション】

再び、ばにらの前に姿を現した高峯愛。

どうやらまた四阿に頼まれ事をされているみたいだが……?


◇ ◇ ◇ ◇



高 峯「さあ、どうします?」


   「受け取っちゃいますか、マンション?」



   「悪い話ではないと思うんですけどね?」


   「VTuberが共同で生活する住宅だなんて」


   「これからの時代を考えれば、あって当然というか」


   「むしろ会社側で社宅なりなんなり整備しろと」



   「便宜上は個人事業主ということにして」


   「会社と契約しているとはいえ」


   「その辺りの配慮は当然企業としてするべきでしょう……」



ばにら「…………なら、この鍵は私じゃなくて」


   「四阿さんが社長に直接渡すべきです」


   「私はこれを受け取ることはできません」



高 峯「なるほど、分かりました」


   「実にばにらさんらしい回答ですね」



   「確定申告の書類を書くのが面倒くさかったんですね?」



ばにら「マンションなんてもらっちまったら」


   「ばに~らの税金がえらいことになっちゃいますって!」


   「今もお母さんと税理士さんに相談して、節税いろいろしてるのに!」



   「というか、ばに~らに物件の管理なんて無理です!」


   「高級マンションって柄でもありません!」



高 峯「なら、もらうだけもらって、会社に売っちゃえばいいじゃないですかw」


ばにら「あ……その手があったバニな」


   「って! 税金が跳ね上がるのは変わりないバニよ!」


   「贈与税はマジ勘弁バニ! ちょっとした贈り物でいいバニよ!」


高 峯「では、こちらは四阿さんに返しておきますね」


   「きっと残念がるとは思いますよ」


   「なんだかんだで、ばにらさんのことは気に入ってましたから」



ばにら「…………えっと、用事ってのはそれだけバニですか?」



高 峯「おや、するどい」


   「もちろん、そんなわけないじゃないですか」


   「この鍵はあくまできっかけに過ぎません」


ばにら「……ですよね」


高 峯「ずばり言わせていただきますと」


   「これはばにらさんへのお詫びであり手切れ金です」


   「この鍵をやるから――これ以上、娘さんに関わるな」


   「そう言い含められています」


ばにら「だったら、なおのこと受け取るわけにはいきません」


   「私は……百合営業相手パートナーとして、ずんさんのそばにいます」


   「誰になんと言われようとも離れることはありません」


高 峯「ですよね、まあ、そこまでも折り込み済みでした」


   「すみませんね、こんなことを言わせちゃって」


   「お二人の間に水を差すようなこと、するもんじゃないとは」


   「私も思ってはいたんですけれども……」


ばにら「あの? なんで四阿さんは、美月さんに対して」


   「ここまで神経質に構おうとするんですか?」



   「芸能界から引退に追い込んだのだって」


   「別に、そこまでしなくてもよかったですよね?」


   「そういう有名人もいっぱいいますし」



   「今だって、私から彼女を引き離そうとしている」


   「とても、親の子供への接し方として」


   「適切な距離だとは私には感じられません……!」



高 峯「そうですね。たしかに、四阿さんはちょっと偏執的かもしれません」


   「まあ、そこには美月さんのお母さまの存在があります……」


ばにら(そういえば、美月さんのお母さんについて聞いてなかった)


   (私生児ってことは、やっぱり相手も芸能人なんだろうか)



   (あれ、けど? 美月さんって、仙台市でお婆ちゃんと暮らしてたんじゃ?)



高 峯「美月さんが、四阿さんの私生児というのは先に説明しましたね?」


   「けど、そもそも変な話じゃないですか?」


   「四阿遍史郎さんは、戸籍上は独身男性です……」



   「別に籍を入れていたって、おかしくはないはずです」


   「いえ、むしろベテラン俳優の遅い結婚を、世間は祝福するでしょう」



ばにら「…………たしかに」


   「そうすると、なにか公表するのに不都合があるってことなんですか?」


高 峯「えぇ、そこです!」


   「青葉ずんだにしてmimiという、隠し子がいることではない」


   「その隠し子を産んだ相手が、ちょっと問題なんですよ……!」


ばにら「問題って! いったいなにが!」



???「失踪してるのよ、青葉ずんだの母親は」



二 人「…………え?」



???「こそこそと、本人に隠れてそういう話やめてくれる」


   「花楓、次やったら、嫌いになっちゃうからね?(圧)」



☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆



ずんさん、ついに百合営業相手パートナーに迫る魔手の存在に気がつく。

ばにらと高峯の間に割って入ると共に、スキャンダルの本質へと迫るのだった。


そう、娘がいるくらいそう大きな問題ではない。

問題なのは、その娘がどういう出来でできたのか。

どういう相手との間に生まれた子供なのか……。


そして、明らかになる美月の母の現在。

失踪中とは、これは穏やかではないが……?


【註 正直、元ネタのころねさんが、お母さまやお父さまと仲良しなので、この展開にするのずっと躊躇してたりしました。やっぱり、現実を限りなく意識した作品というのは、フィクションとの折り合いが難しいですね】


娘の口から語られる衝撃の事実。なぜ彼女の母は失踪してしまったのか。そして、その失踪がどうして、四阿遍史郎に娘の存在を秘匿させるに至ったのか。今、開けてはならない芸能人の闇が暴かれる――ちょっとシリアスが過ぎるんじゃない? そう思った方は、ぜひぜひ応援・評価・フォローなどなどよろしくお願いいたします。m(__)m

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