第666話 四阿遍史郎のささやかな誠意 その2
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【登場人物】
川崎ばにら DStars3期生 ゲーム配信が得意
高峯 愛 女探偵 できる女の匂いがするが……?
【シチュエーション】
再び、ばにらの前に姿を現した高峯愛。
どうやらまた四阿に頼まれ事をされているみたいだが……?
◇ ◇ ◇ ◇
高 峯「さあ、どうします?」
「受け取っちゃいますか、マンション?」
「悪い話ではないと思うんですけどね?」
「VTuberが共同で生活する住宅だなんて」
「これからの時代を考えれば、あって当然というか」
「むしろ会社側で社宅なりなんなり整備しろと」
「便宜上は個人事業主ということにして」
「会社と契約しているとはいえ」
「その辺りの配慮は当然企業としてするべきでしょう……」
ばにら「…………なら、この鍵は私じゃなくて」
「四阿さんが社長に直接渡すべきです」
「私はこれを受け取ることはできません」
高 峯「なるほど、分かりました」
「実にばにらさんらしい回答ですね」
「確定申告の書類を書くのが面倒くさかったんですね?」
ばにら「マンションなんてもらっちまったら」
「ばに~らの税金がえらいことになっちゃいますって!」
「今もお母さんと税理士さんに相談して、節税いろいろしてるのに!」
「というか、ばに~らに物件の管理なんて無理です!」
「高級マンションって柄でもありません!」
高 峯「なら、もらうだけもらって、会社に売っちゃえばいいじゃないですかw」
ばにら「あ……その手があったバニな」
「って! 税金が跳ね上がるのは変わりないバニよ!」
「贈与税はマジ勘弁バニ! ちょっとした贈り物でいいバニよ!」
高 峯「では、こちらは四阿さんに返しておきますね」
「きっと残念がるとは思いますよ」
「なんだかんだで、ばにらさんのことは気に入ってましたから」
ばにら「…………えっと、用事ってのはそれだけバニですか?」
高 峯「おや、するどい」
「もちろん、そんなわけないじゃないですか」
「この鍵はあくまできっかけに過ぎません」
ばにら「……ですよね」
高 峯「ずばり言わせていただきますと」
「これはばにらさんへのお詫びであり手切れ金です」
「この鍵をやるから――これ以上、娘さんに関わるな」
「そう言い含められています」
ばにら「だったら、なおのこと受け取るわけにはいきません」
「私は……百合営業相手として、ずんさんのそばにいます」
「誰になんと言われようとも離れることはありません」
高 峯「ですよね、まあ、そこまでも折り込み済みでした」
「すみませんね、こんなことを言わせちゃって」
「お二人の間に水を差すようなこと、するもんじゃないとは」
「私も思ってはいたんですけれども……」
ばにら「あの? なんで四阿さんは、美月さんに対して」
「ここまで神経質に構おうとするんですか?」
「芸能界から引退に追い込んだのだって」
「別に、そこまでしなくてもよかったですよね?」
「そういう有名人もいっぱいいますし」
「今だって、私から彼女を引き離そうとしている」
「とても、親の子供への接し方として」
「適切な距離だとは私には感じられません……!」
高 峯「そうですね。たしかに、四阿さんはちょっと偏執的かもしれません」
「まあ、そこには美月さんのお母さまの存在があります……」
ばにら(そういえば、美月さんのお母さんについて聞いてなかった)
(私生児ってことは、やっぱり相手も芸能人なんだろうか)
(あれ、けど? 美月さんって、仙台市でお婆ちゃんと暮らしてたんじゃ?)
高 峯「美月さんが、四阿さんの私生児というのは先に説明しましたね?」
「けど、そもそも変な話じゃないですか?」
「四阿遍史郎さんは、戸籍上は独身男性です……」
「別に籍を入れていたって、おかしくはないはずです」
「いえ、むしろベテラン俳優の遅い結婚を、世間は祝福するでしょう」
ばにら「…………たしかに」
「そうすると、なにか公表するのに不都合があるってことなんですか?」
高 峯「えぇ、そこです!」
「青葉ずんだにしてmimiという、隠し子がいることではない」
「その隠し子を産んだ相手が、ちょっと問題なんですよ……!」
ばにら「問題って! いったいなにが!」
???「失踪してるのよ、青葉ずんだの母親は」
二 人「…………え?」
???「こそこそと、本人に隠れてそういう話やめてくれる」
「花楓、次やったら、嫌いになっちゃうからね?(圧)」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ずんさん、ついに百合営業相手に迫る魔手の存在に気がつく。
ばにらと高峯の間に割って入ると共に、スキャンダルの本質へと迫るのだった。
そう、娘がいるくらいそう大きな問題ではない。
問題なのは、その娘がどういう出来でできたのか。
どういう相手との間に生まれた子供なのか……。
そして、明らかになる美月の母の現在。
失踪中とは、これは穏やかではないが……?
【註 正直、元ネタのころねさんが、お母さまやお父さまと仲良しなので、この展開にするのずっと躊躇してたりしました。やっぱり、現実を限りなく意識した作品というのは、フィクションとの折り合いが難しいですね】
娘の口から語られる衝撃の事実。なぜ彼女の母は失踪してしまったのか。そして、その失踪がどうして、四阿遍史郎に娘の存在を秘匿させるに至ったのか。今、開けてはならない芸能人の闇が暴かれる――ちょっとシリアスが過ぎるんじゃない? そう思った方は、ぜひぜひ応援・評価・フォローなどなどよろしくお願いいたします。m(__)m




