第624話 通りすがりの配信者 その5
【宣伝】
「バイト先のネットカフェが、なぜかクラスの美少女たちの溜まり場になった件。」発売中です! 会社帰り・学校帰りにぜひぜひよろしくお願いいたします!m(__)m
○GCN文庫さま 商品ページ
https://gcnovels.jp/book/1872
○メロンブックスさま 通常版(SS付き)
https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=2905033
○ゲーマーズさま 通常版(SS付き)
https://www.gamers.co.jp/pn/pd/10794421/
【登場人物】
川崎ばにら DStars3期生 ゲーム配信が得意
横須賀らむね DStars4期生 アメリカンネイビーガール
高峯 愛 女探偵 できる女の匂いがするが……?
【シチュエーション】
謎の女バイカーとのチェイスを繰り広げるばにらと愛。
しかし、バイカーの正体は四期生の横須賀らむねであった。
◇ ◇ ◇ ◇
らむね「ばにらさん」
「サイバー教団集団自殺事件、というのをご存じですか?」
ばにら「え⁉ なにそのおっかないお話⁉」
「私、そんなの聞いたことも見たこともないですよ⁉」
「ねぇ、高峯さん」
愛 「まさからむねさん!(ガタッ!)」
「貴方、あの事件の関係者なんですか!」
ばにら「うぇっ⁉ これ、マジな反応の奴だ⁉」
「えぇ、ちょっと、そんな怖い話が、本当にあったの……?」
らむね「はい、あったんです」
「アレはインターネット黎明期」
「ようやく、ネットにアクセスできる人間が一般人にも現れたころ」
「そんな緊迫の合間を縫うように、その教団は生まれました……」
愛 「最初は些細な問題を抱えた人間たちが集まる互助組織でした」
「現実世界に居場所がなくて、誰でもない人々に助けを求める」
「今ではもう当たり前のことを、はじめてやった人たちがいた」
「彼ら彼女らは、明確なルールを自分たちに科して」
「ネットの上で節度のある付き合い方をしていた」
「ネットリテラシーなどというものもなく」
「その危険性も論じられることのなかった時代に」
「奇跡的にも、その集団は平穏と均衡を保っていました……」
「とある人物がそこに紛れ込むまでは!」
ばにら「とある人物?」
らむね「そいつは、言葉巧みにコミュニティ内で立ち回り」
「その発言力を日に日に高めていきました」
「リスペクトとプレイス! 彼はそれをグリードに求めてました!」
「そしてそのすべてを集めた時に命令したのです……」
ばにら「まさか!」
愛 「はい、ばにらさんが想像した通りです」
「サイバー教団……その教祖の座に納まった彼は」
「《《自分の意に誰がどれだけどこまで従うのか》》」
「試そうとして暴走したんです」
「結果、起こったのは歴史的な集団自殺」
「ネットを介して、同時多発的に信者が自死をするという」
「最大級のテロルだったんですよ」
ばにら「…………嘘でしょ」
「けど、そんなのにらむねちゃんが関わってるなんて!」
らむね「NO~! NO~! そこまでは勘違いデース!」
「私はその事件で、パピーもマミーも失っていませんし!」
「ブラザー&シスターもピンピンでーす!」
ばにら「なおのことなんで⁉」
らむね「許せねーんですよ! そういう犯罪者が!」
「吐き気を催す邪悪! いともたやすく行われるえげつない行為!」
「そういうのを見ると、私の中のゴールドエクスペリエンスが!」
「疼いちゃうんデスねェッ!」
ばにら「そんな、正義感だけでこんな重たい話を……!」
愛 「そうです。好奇心だけで首を突っ込むのは危険な話」
「正直、なにか裏があると訝しんで当然」
「いったいなにが目的なんですか…………!」
らむね「うーん! ソーですネー!」
「とりあえず、四阿一門とそのご家族に、ご迷惑をおかけしない」
「それだけはお約束するとだけ申しておきましょう」
愛 「…………ッ!」
「もうそれが、こちらへの宣戦布告ですよ!」
「貴方、いったいどこまで調べて!」
「いいえ、そもそも本当にただの配信者なんですか?」
ばにら(え? なに? どういうこと?)
(四阿さんの家族ってことは、美月さんにこの事件が関係あるの?)
(まさか、その教祖が美月さんなんてことはないよね……)
らむね「さあさあ、話をメイントピックスにバックでーす!」
「なぜ、そんな物騒な事件が、終わりの宝剣ラグナロックと」
「関係があるのか……」
「それはその教祖の正体にあるからデース」
愛 「教祖の一歩手前まで組織内で地位を高めた彼は」
「多くの後援者からの同意を得て」
「教団の活動先を、小規模なBBSから」
「とあるプラットフォームの中へと移動させました」
ばにら「…………まさか!」
らむね「当時、大流行していたオンラインゲーム!」
「その中のギルドという形に、活動形態を変えさせたんデース!」
「今のように、DiscordやSlackみたいな」
「クローズドなコミュニティサーバーは」
「用意しにくい時代でしたからね!」
ばにら「けど、そんなの運営さんが監視して…………ッ!(なにかに気づく)」
愛 「気づきましたか、ばにらさん」
「そう、その教祖の素性は、すでに調査で割られている」
「警察が捕まえた集団自殺事件の首謀者。その犯人は」
「そのネットゲームのメインプログラマーの一人」
「彼は自分が作りあげた世界に、現実の人々を連れ込み」
「そこで自分だけの帝国を作りあげ、最後に破壊したんです」
ばにら「…………うっ、うぷぅっ!」
らむね「ね? 吐き気を催す話しでしょう?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
はなしが おもい このさくひんは ゆりこめでぃ でしょ?
遠い昔に起きた惨劇。それを克明に告げられたばにら。
ネットの怖さは画面越しのコミュニティということ。その先にいる人や生活・日常を想像できなくなった時、人はどこまでも残酷になることができる。
まさしくそんな事件でしたね。
もちろん、現実の事件・事故とはなにも関係ないですし、元ネタもございません。ただまぁ、ちょっとセンセーショナルにし過ぎたかなとも思っています。
ネット配信者には重すぎるお話しをぶっ込まれたところで、いったいそれが天狗やばにら、らむねや愛にどう関与してくるのか。このテーマちゃんと処理することできます? うまく調理できるか気になる方は――ぜひぜひ応援・評価・フォローなどなどよろしくお願いいたします。m(__)m




