第614話 かりんちゃん初配信、その前に その7
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【登場人物】
川崎ばにら DStars3期生 ゲーム配信が得意
四阿遍史郎 実力派俳優兼歌舞伎役者
高峯 愛 女探偵 できる女の匂いがするが……?
東屋勘史郎 二代目歌舞伎役者 わからせがいのあるガキ
風間大五郎 四阿一門の筆頭高弟 どう見ても美少女だが?
【シチュエーション】
四阿遍史郎、網走ゆきのファンだとわかる。
◇ ◇ ◇ ◇
遍史郎「ゆきちゃん以外にも」
「いろんなVTuberを見させていただいているよ」
「男性・女性問わずにね」
「誰も彼も人間の勉強になる」
「特に演目と演者が溶け合って」
「どちらなのか分からなくなるところに」
「私はこの芸能の面白さを感じているよ」
ばにら「どっちかわからなくなる」
「心当たりがありすぎて、なんとも言えないバニよ(反省)」
遍史郎「そのせいで、ばにらちゃんは身バレしてしまったからね」
「けれども、それは君のせいではないんだよ?」
ばにら「へ?」
遍史郎「高峯くんと不動産会社に調査してもらったがね」
「あれはどうも、私の方に私怨を抱いている輩のようだった」
ばにら「遍史郎さんに?」
「いやいや、どうしてばにーらを脅すことが」
「遍史郎さんへの嫌がらせに繋がるんですか?」
「ちょっと意味が分からないですよ?」
遍史郎「ここに来るまでに、高峯くんから私の出来について」
「いろいろと説明を受けていると思うけれども……」
「はっきり言って、私は芸能界に多くの敵を抱えている」
「いや、ここはあえて正直に言おう……」
「先代四阿遍史郎に縁のある者たちが」
「私の活動について妨害をかけている」
ばにら「はあ⁉ もう、先代の遍史郎さんは死んだんですよね⁉」
「死んで大変なことになったから、呼び戻されたんですよね⁉」
「なのに……なんでまだ邪魔をするんですか⁉」
遍史郎「まったく、私の不徳のいたすところだよ」
高 峯「私の方で補足いたしますね」
「五代遍史郎が、黒い人脈と繋がりがあったことを」
「ばにらさんには説明させていただいたと思います」
ばにら「あぁ、そういえば」
「死んでから次々にスキャンダルが出てきたとか」
高 峯「六代遍史郎さんは、五代が持っていたそのような繋がりを切り」
「四阿一門をクリーンな状態に戻しました」
「しかし、そのことで彼らから反感を買ってしまったんです」
ばにら「……さ、逆恨みもいいところじゃないですか!」
高 峯「遍史郎さんが繋がりを切ったと言っても」
「彼らはまだ業界の中にポジションを持っています」
「そして黒い繋がりを維持したままです」
「自分たちに反逆した遍史郎さんを失脚させようと」
「こうして、スキャンダルの種をまいているんですよ」
「それこそ彼が六代目を襲名して間もない頃から」
ばにら「ひ、ひどい。ひどすぎる……!」
遍史郎「そういう世界なんだよ」
「今もってしても、この業界の一部はね」
「人と人が密に絡まり合い巨大な金が動く場所だ」
「そういう場所には胡乱な人間が介在する余地がある」
「どんなに個人が頑張ってみたところで」
「それから遠のくのには限界があるんだ」
「逆に頑なに距離を置き、クリーンであろうとするが故に」
「そのような手段に出てしまうことだってある」
ばにら「正義のつもりが、自分が悪だったってことですか?」
「そんなゲームみたいな話…………」
「…………(遍史郎を見て押し黙る)」
高 峯「おわかりいただけましたかね?」
「遍史郎さんの過去をお話ししたのは」
「現状について川崎さんに理解していただくためでもあります」
「それほどに《《こちらの世界》》は危うい均衡の下に成り立っているんです」
ばにら「……なんだか、ちょっと言葉にならないです」
「VTuberの世界でも、いろいろあって大変なのに」
「芸能界もそんな怖い世界だっただなんて」
「美月さんが追い込まれたのも、納得ですよ……!(唇を噛む)」
遍史郎「…………」
「と、いうことでね」
「今回のことは完全に、こちら側の落ち度だ」
「平にご容赦いただきたい(頭を下げる)」
ばにら「あぁっ! そんな! 頭を下げてください!」
「遍史郎さんはなにも悪くなんか……!」
???「いいや! 悪いね! そいつが悪い!」
「その男は一番大事なことを黙っていやがる!」
「ゲロ以下の匂いがプンプンするぜぇーッ!」
ばにら「そ、その声は⁉」
【襖ピシャーン!】
天 狗「ばに~らちゃん! その男に騙されちゃいけない!」
「そいつは……この天狗も真っ青になるほどの極悪人だ!」
「この天狗の鼻を信じてくれ!」
ばにら「……1㍉も信じられない奴が出てきたバニ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
語られる芸能界の闇。そして、ばにらへの深い懺悔。
誠心誠意の謝罪と思われたまさにその時――Mr.天狗乱入。
アイエエエ⁉ 天狗⁉ 天狗なんで⁉
なにやら四阿さんところの事情に詳しいらしい天狗さん。
そして、なにかを隠しているらしき四阿さん。
まさかここまで天狗が重要キャラになるとは誰が思ったか。
はてさて、彼はいったい何を告発しようとしているのか。
さて、実はこの四阿さんは作中で一度言及したことがあるキャラクターであり、読者のみなさんには「こうなんじゃないの?」と気づいている方もおらっしゃるのでは……と踏んでおります。次回、答え合わせですので、よければ感想欄に推理などお願いいたします。ただ、推理のための条件が非常に乏しいので、筋道立てて説明するのは困難かもしれません。ということで、久々の推理回を楽しんでいただけた方は、ぜひぜひ評価・フォロー・応援よろしくお願いいたします!m(__)m




