第610話 かりんちゃん初配信、その前に その3
【宣伝】
「バイト先のネットカフェが、なぜかクラスの美少女たちの溜まり場になった件。」発売中です! 会社帰り・学校帰りにぜひぜひよろしくお願いいたします!m(__)m
○GCN文庫さま 商品ページ
https://gcnovels.jp/book/1872
○メロンブックスさま 通常版(SS付き)
https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=2905033
○ゲーマーズさま 通常版(SS付き)
https://www.gamers.co.jp/pn/pd/10794421/
【登場人物】
川崎ばにら DStars3期生 ゲーム配信が得意
高峯 愛 女探偵 できる女の匂いがするが……?
【シチュエーション】
ばにら、DStars事務所へ帰宅するも探偵につかまる。
どうやらマンションのオーナーの差し金らしいが……?
◇ ◇ ◇ ◇
ばにら「ていうか、東屋さんって歌舞伎の人だったんですね!」
「ぜんぜんそんなイメージないんですけど?」
高 峯「歌舞伎や落語家の血筋というタレントは」
「調べて見ると結構多いですよ」
「小説家なんかもそうですけど」
「やっぱり幼い頃からそういう文化に触れているので」
「芸事に対する解像度みたいなものが、頭ひとつ抜けているんですよね」
「なので、同じような視座が必要な業界に飛び込むと」
「普通に通用しちゃうんです」
「あとは、さっきも言ったように家に着いてるファンもいるので」
「安定した収入源が約束されていて、起用する方も安心できるんですよ」
ばにら「チートじゃないですか!」
高 峯「チートですねw」
「けど、勘史郎さんについてはその限りではありません」
「彼は正式に五代目に破門を言い渡されていましたし」
「歌舞伎界からはもちろん」
「芸能界でも起用しないよう根回しされていました」
ばにら「え? それじゃいったい、どうやって?」
高 峯「ファーストステップは」
「当時黎明期だったインターネットです」
「彼はそこで有名なアルファブロガーとして名を馳せました」
「そして信頼できるファンの下地を作ったんです」
「それから次はネットラジオ」
「ここでやったラジオドラマが評判になって」
「芸能界と繋がりの薄い、地方を中心に顔を売っていったんです」
ばにら「めちゃくちゃ地道じゃないですか」
高 峯「面白いのはここからですよ?」
「ファンを確保したところで、彼は素性を公表して単身渡米します」
「日本の映画業界では役をもらえないと踏んだんですね」
「と言っても、プロ野球リーグで活躍した選手が」
「メジャーリーグに挑戦するのとはワケが違う」
「なにせ日本での実績は皆無なんですから」
ばにら「まあ、ただのアルファブロガーですものね」
高 峯「なので、勘史郎さんはとある米国俳優をマネしました」
「誰だと思います?」
ばにら「ふぇっ? 誰だろ?」
「トム・○ルーズとか?(あてずっぽう)」
高 峯「正解はシルベ○タ・スタローンですね」
「彼と同じように、B級映画の世界で地盤をつくり」
「着実にキャリアを重ねていきました」
ばにら「さっきから、歌舞伎界のサラブレッドとは思えないんですけど?」
「え、なんかチートとか言って申し訳なさしかない」
高 峯「やってることは現代版追放モノですけどねw」
「けど、いくら素養があるからって、ガッツがないとできませんよ」
「よくもわるくもネット時代についてくれたファンや仲間が」
「しっかりとサポートしてくれたから踏ん張れたんでしょうね」
ばにら「なんだかそう言われると、素敵な話に思えるなぁ」
「やっぱり、ファンのみなさんは大事にしないといけないなぁ」
高 峯「さて、そんな彼を応援するように」
「インターネットで動画コンテンツが流行はじめます」
「彼は自分が著作権を持つフィルムをネットに流し」
「その演技力の高さと、演出能力の高さを世に示しました」
「ダメ押しに再生数」
「五分ちょっとのミニフィルムがネットで大バズり」
「その動画を目にしたハリウッド監督からオファーがかかり」
「ついに彼は念願の舞台に立ったんです」
ばにら「すごい! すごい! すごい! ついにやったんだ!」
「大バズリっていうのも、私としても共感できます!」
「そっか、そんなにすごい人だったんですね……!」
高 峯「もちろん、そのあとも試練は続きましたよ」
「けれどもまあ、時を得て飛翔する龍を誰も止めることなどできない」
「おまけに五代目四阿がガンで病死」
「そこから多数の隠し子が発覚、さらに暴行事件や反社組織との関係」
「高弟や門下生に対する常軌を逸したパワハラ」
「勘史郎さんにしたような理不尽すぎる営業妨害と」
「さまざまな問題が明るみになったんです」
ばにら「聞いてるだけで数え役満ですよ……」
高 峯「邪魔する者がいなくなった上に」
「一転して古巣から『救世主』『跡継ぎ』と」
「勘史郎さんは期待されるようになりました」
「そして、活動拠点を米国から日本に戻し」
「高弟と血縁関係にある歌舞伎一座からの推薦を受け」
「六代目四阿遍四郎を襲名したんです」
ばにら「いやあ、こういう話って本当にあるものなんですね」
「プロジェクトなんちゃらとか見てる気分でしたよ」
高 峯「楽しんでいただけたならよかったです」
「けど、次に語られるのは……」
「ばにらさん、貴女かもしれませんよ?」
「な~んちゃって! ハッハー!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ちょっとVTuberとは関係のないお話でしたね。
とはいえ、業界の重鎮に嫌われると、締め出されるというのはひどい話です。
世間では「実力が足りない」だとか「人間性に問題がある」という言葉で済まされてしまうのでしょうが、その烙印を押した側になにかしらの思惑があったということをどうやって証明すればいいんでしょうか?
ネットの本質というのは、そういうものを覆すことができることにあると思っているので、そういう期待を込めて四阿のディティールは詰めていますね。
ただし、その風聞の通りの人間かと言われると……!
次回、ついにばにらと四阿遍史郎が邂逅する。時代こそ違うけれど、ネットから生まれた化け物二人は、いったいなにを語らうことになるのか。気になる方は、評価・フォロー・応援よろしくお願いいたします!m(__)m




