第609話 かりんちゃん初配信、その前に その2
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【登場人物】
川崎ばにら DStars3期生 ゲーム配信が得意
高峯 愛 女探偵 できる女の匂いがするが……?
【シチュエーション】
ばにら、DStars事務所へ帰宅するも探偵につかまる。
どうやらマンションのオーナーの差し金らしいが……?
◇ ◇ ◇ ◇
ばにら「分かりました。それじゃ、お会いさせていただきます」
「文句はないですけれど、ここまでしていただいた手前」
「ご挨拶しないのもどうかと思いますので」
高 峯「よかった、ばにらさんが常識のある人で」
「それじゃさっそく参りましょうか」
「私の愛車――FIA○500で!」
ばにら「ちっさい車バニですな」
「こんなのにすし詰めになって乗らなくちゃいけないバニか」
「やっぱりやめようバニかな……!」
高 峯「この丸っこいフォルムがいいんじゃないですか」
「ばにらさんなら分かってくれると思ったのになぁ」
【高峯運転席に。ばにらも助手席に搭乗】
ばにら「それで、その四阿さんとは」
「どこで落ち合うことになってるんですか」
高 峯「赤坂見附にある料亭ですね」
「ちょうどそのあたりに、彼のセカンドプレイスがあるんです」
「ちなみに本宅は銀座の一等地ですよ」
ばにら「うへぇ、お金持ちじゃないですか」
「芸能人って儲かるんですね」
高 峯「VTuberの稼ぎもなかなかなんじゃないですか?」
「とくにトップVTuberともなると……?」
ばにら「そういえば、どれくらい儲かってるバニなのかな?」
「この仕事をはじめてから、銀行口座とか確認してないから」
「正直、分かんないバニなんですよね」
高 峯「うぇっ⁉ マジですか⁉ トップVTuberなのに⁉」
ばにら「うちの事務所って、契約がちょっと特殊で」
「一応、個人事業主なんですけど」
「事務所からもお給料が支給されるんですよね」
「所属としても会社に属してますし」
「保険料とかも、そっちで払ってもらってるんですよ」
高 峯「へぇ、そういう契約なんですか」
「だいさんじさんとはまた違うんですね」
ばにら「配信や記念グッズの販売で発生した収入は」
「個人事業主の口座の方に振り込まれてるんです」
「なので……」
「お給料と混ぜちゃうと、年末調整が厄介でして(汗)」
【※ 厄介みたいです。いや、厄介じゃないと思いたい。厄介でないことを願っている。個人事業主って大変だ。ああ、青色確定申告……ッ!】
高 峯「個人事業主あるあるですねw」
「けどまぁ、会社所属ということで福利厚生が手厚そうで」
「ちょっと羨ましくもありますね……(苦笑い)」
ばにら「そんなわけで、ばに~らは企業してからこっち」
「個人事業主の口座の方は確認してないバニですよ」
「税理士さんとお母さんにお任せしちゃって」
高 峯「大丈夫です? お母さん、勝手に使い込みとかしてません?」
「ばにらさんの稼いだお金で、ガンダ○とか建造してませんよね?」
ばにら「なに言ってるバニか! するわけないバニでしょ!」
「……ちょっとまた後で連絡してみよう(不安)」
高 峯「はぁ、まぁ、そこまでお母さまのことを信頼なさっているということで」
「しかし、家族のあり方というのもいろいろですね」
ばにら「なんか含みのある言い方ですね?」
高 峯「…………依頼主の、四阿さんについてはどこまでご存じです?」
ばにら「名前すら聞いたことがないバニですよ」
「いや、けど、どこかで聞いたことがあるような」
「どこだったっけか……?」
高 峯「四阿一座はその興りを東北とする歌舞伎の屋号です」
「一説によれば伊達政宗公に連なる血筋とも言われ」
「古くから国崩しの役立ちで知られていました」
「中でも先代の五代四阿遍四郎が演じた松永大膳は」
「昭和の怪演とも言われており、多くの歌舞伎ファンに知られています」
ばにら「へぇ、そんなすごい人なんですね」
「というか歌舞伎ってそんなに儲かるお仕事なんだ」
高 峯「なんと言っても歴史がありますからね」
「それに古き良きパトロンの文化も」
「親の代からその一座のファンという人も多いですし」
「昔は実業家や名士が、役者を後援するのも一般的でした」
「けれどもまあ、今の六代目はちょっと異色ですね」
ばにら「異色?」
高 峯「一度、破門されているんですよ」
「五代目四阿遍四郎に」
ばにら「なんだか穏やかじゃない感じですね」
「もしかして、実の親子じゃないとかですか?」
高 峯「実の親子ですよ。ちゃんと血の繋がったね」
「けれども、六代目が五代目と反目して」
「それに激怒した五代目が、彼を歌舞伎界から追放したんです」
ばにら「うわぁ、ひどい話だ……!」
「美月さんもだけど、芸能界ってドロドロだなぁ……!」
高 峯「けれども、六代目はそこで終わらなかった」
「東屋勘史郎と名を変えて、あえて芸能界にその身を投じたんです」
ばにら「東屋勘史郎…………?」
「あぁっ! それは私も知ってます!」
「めちゃくちゃ有名な俳優さんじゃないですか!」
「ドラマも映画も引っ張りだこなダンディおじさん!」
高 峯「やっと分かっていただけましたか」
「ばにらさんに納得していただけてホッとしました」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
なんか今回は、ちょっとよく分からない回ですね。(そらとぼけ)
芸能界はドロドロ。利権やら恩讐やら、ともすると後援者も巻き込んで、複雑怪奇な人間模様を描くもの。もちろん、そういうものを排しようと頑張っている方々もいるわけで、なかなか振れるのがセンシティブな領域ではありますね。
そんな魑魅魍魎はびこる芸の世界で、生き抜いてきたんだから――きっと、これからばにらが会う四阿さんという人は、たいそうすごい人なんだろうなぁ。(二回目)
次回、もうちょっとだけ寄り道回。五代四阿と六代四阿の確執について振れていこうかなと思います。というか、これネタにするのちょっと迷ってました。かなりキツい話になると思うので、覚悟の用意をしておいてください!(ワザップジョル○) 俺は出来てるって方はぜひぜひ、評価・フォロー・応援よろしくお願いいたします!m(__)m




