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【二部完結】VTuberなんだけど百合営業することになった。  作者: kattern@GCN文庫さまより5/20新刊発売
番外編 アヒル・ラプソディ ~ママ、どうして……~
629/754

第609話 かりんちゃん初配信、その前に その2

【宣伝】

「バイト先のネットカフェが、なぜかクラスの美少女たちの溜まり場になった件。」発売中です! 会社帰り・学校帰りにぜひぜひよろしくお願いいたします!m(__)m


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【登場人物】

川崎ばにら  DStars3期生 ゲーム配信が得意

高峯 愛   女探偵 できる女の匂いがするが……?


【シチュエーション】

ばにら、DStars事務所へ帰宅するも探偵につかまる。

どうやらマンションのオーナーの差し金らしいが……?


◇ ◇ ◇ ◇


ばにら「分かりました。それじゃ、お会いさせていただきます」


   「文句はないですけれど、ここまでしていただいた手前」


   「ご挨拶しないのもどうかと思いますので」


高 峯「よかった、ばにらさんが常識のある人で」


   「それじゃさっそく参りましょうか」



   「私の愛車――FIA○500で!」



ばにら「ちっさい車バニですな」


   「こんなのにすし詰めになって乗らなくちゃいけないバニか」


   「やっぱりやめようバニかな……!」


高 峯「この丸っこいフォルムがいいんじゃないですか」


   「ばにらさんなら分かってくれると思ったのになぁ」



【高峯運転席に。ばにらも助手席に搭乗】



ばにら「それで、その四阿さんとは」


   「どこで落ち合うことになってるんですか」


高 峯「赤坂見附にある料亭ですね」


   「ちょうどそのあたりに、彼のセカンドプレイスがあるんです」


   「ちなみに本宅は銀座の一等地ですよ」


ばにら「うへぇ、お金持ちじゃないですか」


   「芸能人って儲かるんですね」


高 峯「VTuberの稼ぎもなかなかなんじゃないですか?」


   「とくにトップVTuberともなると……?」



ばにら「そういえば、どれくらい儲かってるバニなのかな?」


   「この仕事をはじめてから、銀行口座とか確認してないから」


   「正直、分かんないバニなんですよね」


高 峯「うぇっ⁉ マジですか⁉ トップVTuberなのに⁉」


ばにら「うちの事務所って、契約がちょっと特殊で」


   「一応、個人事業主なんですけど」


   「事務所からもお給料が支給されるんですよね」


   「所属としても会社に属してますし」


   「保険料とかも、そっちで払ってもらってるんですよ」


高 峯「へぇ、そういう契約なんですか」


   「だいさんじさんとはまた違うんですね」


ばにら「配信や記念グッズの販売で発生した収入は」


   「個人事業主の口座の方に振り込まれてるんです」


   「なので……」



   「お給料と混ぜちゃうと、年末調整が厄介でして(汗)」



【※ 厄介みたいです。いや、厄介じゃないと思いたい。厄介でないことを願っている。個人事業主って大変だ。ああ、青色確定申告……ッ!】



高 峯「個人事業主あるあるですねw」


   「けどまぁ、会社所属ということで福利厚生が手厚そうで」


   「ちょっと羨ましくもありますね……(苦笑い)」


ばにら「そんなわけで、ばに~らは企業してからこっち」


   「個人事業主の口座の方は確認してないバニですよ」



   「税理士さんとお母さんにお任せしちゃって」



高 峯「大丈夫です? お母さん、勝手に使い込みとかしてません?」


   「ばにらさんの稼いだお金で、ガンダ○とか建造してませんよね?」


ばにら「なに言ってるバニか! するわけないバニでしょ!」



   「……ちょっとまた後で連絡してみよう(不安)」



高 峯「はぁ、まぁ、そこまでお母さまのことを信頼なさっているということで」


   「しかし、家族のあり方というのもいろいろですね」


ばにら「なんか含みのある言い方ですね?」


高 峯「…………依頼主の、四阿さんについてはどこまでご存じです?」


ばにら「名前すら聞いたことがないバニですよ」


   「いや、けど、どこかで聞いたことがあるような」



   「どこだったっけか……?」



高 峯「四阿一座はその興りを東北とする歌舞伎の屋号です」


   「一説によれば伊達政宗公に連なる血筋とも言われ」


   「古くから国崩しの役立ちで知られていました」



   「中でも先代の五代四阿遍四郎が演じた松永大膳は」


   「昭和の怪演とも言われており、多くの歌舞伎ファンに知られています」



ばにら「へぇ、そんなすごい人なんですね」


   「というか歌舞伎ってそんなに儲かるお仕事なんだ」


高 峯「なんと言っても歴史がありますからね」


   「それに古き良きパトロンの文化も」


   「親の代からその一座のファンという人も多いですし」


   「昔は実業家や名士が、役者を後援するのも一般的でした」



   「けれどもまあ、今の六代目はちょっと異色ですね」



ばにら「異色?」



高 峯「一度、破門されているんですよ」


   「五代目四阿遍四郎に」



ばにら「なんだか穏やかじゃない感じですね」


   「もしかして、実の親子じゃないとかですか?」


高 峯「実の親子ですよ。ちゃんと血の繋がったね」


   「けれども、六代目が五代目と反目して」


   「それに激怒した五代目が、彼を歌舞伎界から追放したんです」


ばにら「うわぁ、ひどい話だ……!」


   「美月さんもだけど、芸能界ってドロドロだなぁ……!」


高 峯「けれども、六代目はそこで終わらなかった」


   「東屋勘史郎と名を変えて、あえて芸能界にその身を投じたんです」



ばにら「東屋勘史郎…………?」



    「あぁっ! それは私も知ってます!」


    「めちゃくちゃ有名な俳優さんじゃないですか!」


    「ドラマも映画も引っ張りだこなダンディおじさん!」



高 峯「やっと分かっていただけましたか」


   「ばにらさんに納得していただけてホッとしました」



☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆



なんか今回は、ちょっとよく分からない回ですね。(そらとぼけ)


芸能界はドロドロ。利権やら恩讐やら、ともすると後援者も巻き込んで、複雑怪奇な人間模様を描くもの。もちろん、そういうものを排しようと頑張っている方々もいるわけで、なかなか振れるのがセンシティブな領域ではありますね。


そんな魑魅魍魎はびこる芸の世界で、生き抜いてきたんだから――きっと、これからばにらが会う四阿さんという人は、たいそうすごい人なんだろうなぁ。(二回目)


次回、もうちょっとだけ寄り道回。五代四阿と六代四阿の確執について振れていこうかなと思います。というか、これネタにするのちょっと迷ってました。かなりキツい話になると思うので、覚悟の用意をしておいてください!(ワザップジョル○) 俺は出来てるって方はぜひぜひ、評価・フォロー・応援よろしくお願いいたします!m(__)m

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