第320話 歌ヘタ養成学校 その8(ラスト)
【登場人物】
川崎ばにら DStars3期生 ゲーム配信が得意
青葉ずんだ DStars特待生 グループ最恐VTuber
石清水しのぎ DStars3期生 おっぱい侍太郎
五十鈴えるふ DStars3期生 和風エルフ
出雲うさぎ DStars3期生 妹系巫女さん
【シチュエーション】
歌みたが苦手なメンバーのトレーニング。
鬼のような猛特訓がはじまる……!
◇ ◇ ◇ ◇
うさぎ「しのぎ! そんなに自分を責めちゃだめだよ!」
「世の中には努力でどうにもならないことなんて」
「……いっぱいあるんだから(白目&胸を押さえながら)」
ばにら「うーちゃん! 闇堕ちしてるんじゃないバニ!」
「それに、うーちゃんの胸はゼロかもだけど」
「しのぎの歌はゼロっていうほどではないばに!」
うさぎ「なるほど!」
「ゼロになにをかけてもゼロって言いたいわけね!」
「ヴォアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!!(ブチギレ)」
えるふ「キレさせてどうするのよ、ばにら!」
「うさぎの胸だって努力すれば……」
「いや、ないな(断言)」
しのぎ「ばにらっちょ、それは流石にひどいよ!」
「うーちゃんだって、好きでツルペタじゃないんだから!」
「隊長のこの無駄なボイン(Hカップ)をわけてあげたい……!」
うさぎ「オォオォオオオオオオオンンンンッッッッ!!!!(初号機覚醒)」
ずんだ「余計に火に油を注いでるじゃない!」
「ちょっとみんな集まって! うさぎの暴走モードを止めるわよ!」
全 員「やんややんや!」
しのぎ「うぅっ、うーちゃんは歌もうまいし」
「こんな配信映えする特技も持ってる」
「天は人に二物を与えずなんて嘘っぱちだよォ……」
えるふ「しのぎ……」
「天から与えられたものだけで勝負するの?」
しのぎ「……え?」
えるふ「頑張って覚えたASMRのテクニックも」
「マイクについての豊富な知識も」
「しのぎが頑張って自分で勝ち取ったものじゃない」
「なのに、それはどうでもいいの?」
しのぎ「それは……」
えるふ「それにね、しのぎ」
「しのぎの歌は、ぜんぜん下手なんかじゃないよ?」
「ちょっと個性的なだけ」
「だから、しのぎの声質にあった歌があれば」
「きっと楽しく歌うことができるって」
「私は思うな?」
しのぎ「…………(じんわりと涙を浮かべる)」
「え、えるふぅ! うあぁん!」
ばにら「あっ! えるふがしのぎを泣かせてるバニ!」
うさぎ「ちょっとエルフ! しのぎになにしたのよ!」
い く「だ、大丈夫? しのぎちゃん?」
おこめ「そんな、泣くほどのことじゃないよ、しのぎ」
「歌なんてさ、できなくても生きていけないわけじゃないんだから」
「もっと気楽に構えなよ」
たると「それ、おこめちゃんが言うんだ……(苦笑い)」
ゆ き「そうだぞしのぎ! ゆきはしのぎの歌はすきだお!」
「絶妙にへたうまで、癒される感じがスコです!」
りんご「まぁ、これぞ個性って奴だよね。ねぇ、ずんさん」
ずんだ「……そういうことかしらね」
しのぎ「みんな……!」
「隊長は、こんな素敵な仲間がいっぱいいて!」
「幸せで、お腹いっぱい、ラーメン○郎だよ!」
全 員「いや、そこは太郎ちゃうんかい!」
えるふ「あははははw」
「ほら、みんなもこう言っているからさ」
「もう自分の声がとか、歌がとか気にしないで」
「好きに歌いなよ」
「きっとしのぎの歌を待ってくれてる人が」
「ネットの向こうにいっぱい待ってるからさ!」
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小説なんかもそうなんですけど、今の自分の仕事のできに納得できなくて、及び腰になってしまうというのはあるんですよね。そこで、ひとつ背中を押してくれるのが、身近な仲間の「俺は好きだよ」の言葉だったり、熱心なファンの方の「応援してるよ」だったりするわけです。なので、そういう人たちのことを信じて、勇気をだしてやってみるっていうのが、意外に大事だったりするなぁと思ったりします。
そして、それに気づかせようと、しのぎに寄り添うえるふ。
第二部でも裏方として活躍してくれましたが、彼女――モデルにしている不知火フレアさんの真骨頂はこういう「さりげなく仲間を見守る(信じる)部分」にあるのかなぁ……なんて思っております。なかなか、希有なVTuberですよね。
長くこの作品を続けてきましたが、あの箱の唯一無二の関係性というか、真似しようとしてできない、奇跡のような連帯感なんかを、少しでも文章という形でアウトプットして、まだVTuberに触れていない人たちに伝えることができれば、物書き冥利に尽きるというものですね。
とまぁ、シックに締めたところで、何か忘れておりませんでしょうか? 三期生、ここまで揃っているというのに、奴がこないはずがない――久しぶりのおまけの内容が気になる方はぜひぜひ評価・フォローなどよろしくお願いいたします! m(__)m




