第318話 歌ヘタ養成学校 その6
【登場人物】
川崎ばにら DStars3期生 ゲーム配信が得意
青葉ずんだ DStars特待生 グループ最恐VTuber
津軽りんご DStars特待生 きまぐれ僕っ娘
出雲うさぎ DStars3期生 妹系巫女さん
Bちゃん DStars裏方兼事務職員 広報配信を担当
石清水しのぎ DStars3期生 おっぱい侍太郎
五十鈴えるふ DStars3期生 和風エルフ
【シチュエーション】
歌みたが苦手なメンバーのトレーニング。
鬼のような猛特訓がはじまる……!
◇ ◇ ◇ ◇
りんご「うさぎちゃん。この発声練習は、マジで喉を潰すよ」
「おじさん、うさぎちゃんの喉が心配……(息切れ)」
うさぎ「なに言ってるんですか」
「これくらいの高音と低音を交互に出せないと」
「歌を完コピして歌いきれないですよ」
「声の幅は武器です! りんごさんもVなら分かりますよね?」
りんご「それはたしかに、そうなんだけれど……」
「おじさんは、歌に声を合せるタイプじゃなくて」
「声に歌を合せるタイプなんだよ……」
ばにら「…………」
「なに言ってるんですか、りんご先輩は?(ハァって顔)」
ずんだ「間違ったことは言ってないわよ」
「原曲のキーで歌うか、自分の歌いやすいキーで歌うか」
「それだけのことよね」
「まぁ、個人でそこは決めればいいと思うけれど」
ばにら「自分の歌いやすいキーで歌うか?」
「はにゃん?(分かってない顔)」
ずんだ「ばにら、カラオケあんまり行ったことないのね」
「そこそこカラオケしてる人なら、伝わると思うんだけど」
「ほら、ピアノ見てもらえば分かるけれど」
「ドレミファソラシドも幾つかあるでしょ……」
うさぎ「なに言ってるんですが、りんご先輩!」
「原曲へのリスペクトがあるなら!」
「原曲のキーで歌うのが筋じゃないですか!」
「どれだけ原作に寄せられるかが、歌みたには大事なんですよ!」
りんご「うさぎちゃん、それは違うよ……!(論破!)」
「もちろん、原曲へのリスペクトを忘れてはいけないけれど」
「それ以上に、歌い手の色をのせてあげることが大事なんだ」
「原曲と歌い手が融合することで生まれるシナジーこそ」
「歌みたの醍醐味なんだ!!!!」
うさぎ「原曲こそ至高!!!!」
りんご「いいや、シナジーが大事なんだ!!!!」
ばにら「…………」
「なんか熱く語りますね、りんご先輩」
「こんなに熱弁してるのは、ちょっとはじめて見るかも」
ずんだ「まぁ、話の筋は通っているけれど――」
「単に楽な歌い方がしたいだけだから」
「真に受けちゃだめよ」
ばにら「はいッ!!!!(いい返事)」
Bちゃ「いや、りんごさんはもっと、原曲に寄せてもらえます?」
「というか、自分の声質にあった曲ばっかり歌ってますよね?」
「さりげなくサボるのやめてもらえますか?」
りんご「違うBちゃん! 僕は本当に、そう信じて……!」
Bちゃ「やめてもらえます?(圧)」
りんご「……スミマセン、モウ、サボリマセン」
ばにら「Bちゃんが入って決着したみたいバニですな」
ずんだ「そうね」
「流石のりんごも、Bちゃんの目は誤魔化せないわ」
「さて……」
ばにら「残すはしのぎとえるふですな……」
えるふ「しのぎ、そんなに気負わなくていいんだよ」
「もっと自由に、自分の好きなように歌えばいいから」
しのぎ「そうは言うけど、えるふ」
「やっぱり隊長、歌に自信がない太郎だよ……」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
のらりくらりと歌みたで楽しようとする泥棒猫。
そして、それを許さぬ裏方さん。流石はBちゃん、ようみとる。
大人になってくると、いかにサボるかって大事な仕事(生存)スキルなんですが、こういう人がいるとなかなかうまくいかないですよね……。
りんごみたいな柔軟な発想も時には大事。
さていよいよ本丸。歌にあんまり自信がないしのぎと、三期生の中ではトップクラスに歌がうまいえるふのお話。歌に抵抗感がある彼女ですが、そんな彼女にえるふはパートナーとしてどんな言葉をかけるのか――気になる方はぜひぜひ評価・フォローなどよろしくお願いいたします! m(__)m




