第317話 歌ヘタ養成学校 その5
【登場人物】
川崎ばにら DStars3期生 ゲーム配信が得意
青葉ずんだ DStars特待生 グループ最恐VTuber
渋谷いく DStars2期生 陰キャオタ女系VTuber
宮古島たると DStars零期生 事務所の絶対的清楚歌姫
【シチュエーション】
歌みたが苦手なメンバーのトレーニング。
鬼のような猛特訓がはじまる……!
◇ ◇ ◇ ◇
い く「む、むりぃ~~~~(↓↓↓)」
「たるとちゃんみたいに、キラキラして歌うなんて」
「あてぃしには無理だよぉ~~~~(↓↓↓↓)」
たると「大丈夫だよ、いくちゃん!」
「いくちゃんは意識しなくても」
「キラキラして歌えてるから!」
い く「絶対嘘だぁ……」
「あてぃし、そんなキャラじゃないもん……」
「じめじめドヨドヨひきこもりVTuberなんだもん……」
「歌うまいってみんな褒めてくれるけど」
「あてぃし、そんな実感、本当にないから………ぅぅぅっ」
ばにら「いく先輩、だいぶ思い詰めてるバニなぁ」
「ぶっちゃけ……上手いですよね?」
ずんだ「ぶっちぎりで上手い」
「DStarsでトップクラスよ」
「もちろん、おこめとタルトを除いてだけどね」
「けど、本人の自己承認欲求が底をついてるから」
「どう褒められてもそれを認識できないのよね」
ばにら「厄介なVTuberバニな」
ずんだ「むしろVTuberに厄介じゃない奴なんていないわよ」
い く「だいたいさ、私、カラオケとかそんなしたことないんだよ?」
「高校時代からボッチだったから、遊びに行ったことないし」
「なのに、歌がうまいわけないじゃん」
「みんなあてぃしぃのこと、はめようとしているんだ……!」
たると「はめるってなんのことさぁ!」
「もっと、リスナーさんからの言葉を素直に信じるべきさー!」
「たるとも、いまちゃんも」
「いくちゃんの歌は、とっても情感がこもっていて」
「素敵だなって思ってるよ!」
い く「…………本当?」
たると「本当! 本当! 本当だよ!」
「いくちゃんの歌は、リスナーを楽しませようって」
「そういうのが伝わってくる、楽しい歌さぁ!」
い く「じゃあ、ばにらちゃんとどっちが上手い?」
たると「!!!!????(脂汗)」
い く「…………(ジト目)」
たると(どうしてここでばにらちゃんの名前が出てくるの?)
(ライバル視? もしかして、意識してるのいくちゃん?)
(いやけど、ぶっちゃけるといくちゃんの方が歌唱力は上)
(けど、カメコ(ばにらのリスナーの愛称)的にNG!)
(お仕事とはいえ、推しを下げる発言は許されない!)
(ここは何か、もっと穏便な解決方法を……)
(考えるのよ、紫の芋の人!!!!)
い く「ほら、どっちか言えないじゃん」
「ほとんど同じ曲を、うたみたしてるばにらちゃんと比べれば」
「私の方がやっぱりヘタなんだ……(ぐすん)」
たると「な、なんだ、そういう意味だったのかぁ……」
「けどほら、歌に上下はないから、ね?」
「どっちが上手いとか下手とか、そういうものじゃないから」
「それぞれがそれぞれに、味があっていいんだよ……」
おこめ「だから! なんべん言ったら分かるんだよ!」
「そこは最後伸ばさずに、スッと切るんだよ!」
「ヘッタクソだなァ、おいッ!」
ゆ き「しかたねーだろ、おばーちゃんなんだからァ!」
「おこめちゃんみたいに、元気な声帯してないの!」
「いっぱいいっぱいで、いつもゆきはやってんだから!」
い く「…………(ジト目)」
たると「…………(白目)」
「と、とにかく、気にせず歌ってみるさ!」
「すくなくとも、私はいくちゃんの歌は好きだよ!」
(ばにらちゃんの歌はもっと好きだけど!)
ばにら「あれ? なんかたるとちゃん、ばにらの方を見たバニ?」
ずんだ「へぇー、ふぅーん、なんでだろうねぇー(棒)」
ばにら「なんにしても、いく先輩の相手は大変そうバニ」
「頑張れ、たるとちゃ~ん! 応援してるバニよぉ~!」
ずんだ「へぇー、ふぅーん、そうなんだぁー(圧)」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
たるとちゃん気をつけて。もう厄介な百合営業相手にマークされてるから。
今までのように無防備にばにらとスキンシップするの難しいから。
と、ちょっとオチとしては弱い、ずんばに当て馬回でした。
遅れてきた百合営業相手。宮古島たるとは、はたして幸せになれるのか。
彼女が日の目を見るのはいったいいつ……!(たぶん近日中)
ただ、ここ最近、一番悲惨な目に遭ってるのは、りんごパイセンなんですよね。そろそろパイセンのターンですが。うーちゃんはいったい、彼女に何を教えるのか。今から嫌な予感しかしないという方は――ぜひぜひ評価・フォローなどよろしくお願いいたします! m(__)m




