第311話 ばに禁 その12
【登場人物】
青葉ずんだ DStars特待生 グループ最恐VTuber
津軽りんご DStars特待生 きまぐれ僕っ娘
網走ゆき DStars零期生 よく炎上する
川崎ばにら DStars3期生 ゲーム配信が得意
五十鈴えるふ DStars3期生 和風エルフ
石清水しのぎ DStars3期生 おっぱい侍太郎
【シチュエーション】
ばにら海外ロケ7日目。
成田空港にて――。
◇ ◇ ◇ ◇
りんご「美月。Bちゃんから聞いた話によると」
「今日の夜の便で、ばにらちゃんたちは戻ってくるらしい」
ずんだ「……そう」
「ありがとう、夏帆。アンタがいてくれなかったら」
「私はきっとシンガポールまで飛行機で飛んでいたわ」
りんご「空港の展望デッキまで来てる時点で、もう冷静じゃないよね」
「けど、美月の気持ちは、僕も分かるよ……」
「好きな人と会えないのは、辛いよね」
ゆ き「いやいやお二人さん」
「まだ、昼の1時なんですけどォ⁉」
「ばにらたちの到着まで、余裕で10時間くらいあるんですけどォ⁉」
ずんだ「だってしょうがないじゃん!」
「花楓が帰ってくるのが待ち遠しくて! 待ち遠しくて!」
「もう何も手がつかないんだから!」
りんご「ゆきちゃん! 君は恋したことがないから分からないんだよ!」
「愛しい人を想えばこそ、いても立ってもいられなくなる!」
「このもどかしさが!」
ゆ き「ずんだは分かるけど、りんごはなんで肩持ってんのよ!」
「あーもー! 二人してあぶなっかしいんだから!」
二 人「ゆきちには言われたくない」
ゆ き「ぶっとばすぞ?(ピキピキ)」
ずんだ「分かってる。こんなことしたって無駄だって」
「花楓が帰ってくるのは、夜の便で待ってても仕方ないって」
「自分だってバカだと思ってるんだ」
「けど、来ちゃったの。来ずにはいられなかったの」
りんご「分かるよ美月。それが愛だよ」
「人間は愛の前には無力」
「親友として、僕は君を全力で肯定するよ」
「そして、一緒に待つよ。ばにらちゃんが帰ってくるのを」
ゆ き「お前ら、ほんと少し見ない間に、随分気持ち悪いことなったな」
ずんだ「なによ! アンタだって気になってついてきたくせに!」
りんご「元祖百合営業相手だからって、いい気になるなよ、ゆきち!」
ゆ き「マジでお前ら、誰の運転で空港まで来たと思ってんだ?」
「手が震えてバイクに乗れないって言ったの、どこのどいつだ?」
二 人「いつもありがとうございます! ゆきパイせん!」
ゆ き「ったく……」
「あれ?」
「今、エントランスを歩いて行ったの」
「しのぎとえるふじゃない?」
二 人「えっ? どこどこ?」
◇ ◇ ◇ ◇
しのぎ「いやぁー、はじめての海外ロケ、つかれた太郎だよ」
えるふ「けど、会社のお金で海外旅行とか、ちょっと得しちゃったね」
「あっちではハードスケジュールだったけれど!」
しのぎ「だよねぇ。ばにらっちょ、バテバテになってたし」
「って、あれ? ずんずんに、りんご先輩に、ゆきちだ?」
ゆ き「おーい! しのぎ! えるふ!」
りんご「どうしてこんな時間に! 到着は夜って聞いてたけれど!」
えるふ「あ、はい。それがですね」
「ちょっとうみが体調を崩しちゃって、急遽帰国をはやめまして」
「それで、ついさっきの便で帰ってきた――」
ずんだ「ばにらは! ばにらちゃんはどこ!」
「一緒に帰って来たんだよね! どこにいるの!」
「はよ出すでなぁ~~~~!!!!」
りんご「落ち着いてずんさん! まずはちょっと深呼吸して!」
ゆ き「せやでずんだ!」
「それで、他のみんなは……?」
えるふ「あ、それなんですけど」
「ばにらは空港に着くなり」
「颯爽と帰って言っちゃって」
しのぎ「ばにらっちょは、風のような女だよ~」
「今もう、タクシーで阿佐ヶ谷にむかってるんじゃないかなぁ~?」
三 人(そうだった)
(ばにらが、風のように収録から去る女だってこと)
(すっかり忘れてた……!)
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
迂闊。ばにらの即退勤・即帰宅の発動。
迎えに来たのにすれ違いになるずんだたちなのだった。
とはいえ、ばにらもずんだに一刻もはやく会いたいはず。
家に荷物を置いたら、きっとずんだの家を訪問するに違いない……!
次回! 番外編ラスト! ばにらよりはやく、ずんだは家に帰ることができるのか! ゆきのドライビングテクニックが火を噴くぜ! 応援・評価・フォロー・レビュー・ご感想、お待ちしております!m(__)m




