第285話 限界社畜OLお局ちゃん! その9
【登場人物】
八丈島うみ DStars3期生 センシティブ委員長
川崎ばにら DStars3期生 ゲーム配信が得意
東山ごりら DStars4期生 幸薄そうな清楚少女
【シチュエーション】
ばにら、事務所で打ち合わせ。
その帰りに、たまたまうみを見つけるが――。
◇ ◇ ◇ ◇
ばにら「そう言えば、ちょっと気になってたんだけど」
「ごりらちゃん、その脚って……?」
ごりら「あ、これですか? やっぱり気になっちゃいますよね?」
う み「…………(圧)」
「ばにら、ちょっとそれはさ」
「流石にプライベートな話だから」
ばにら「あ、ごめんバニ」
「話しづらいこと聞いちゃったよね」
「ごめん、聞かなかったことにして」
ごりら「大丈夫、大丈夫です!」
「えっと……実は、数年前に交通事故に遭いまして」
「その時に脊椎損傷しちゃって、うまく動かすことができないんですよ」
ばにら「えっ……(絶句)」
「それじゃ、その脚、ずっと」
ごりら「動かないんですw」
「クララみたいに、勇気で立てるといいんですけどねw」
ばにら「…………(無言でうみを見る)」
う み「…………(睨みつつも溜息を吐く)」
ごりら「も~! ばにら先輩もうみも! そんな怖い顔やめてくださいよ!」
「私は全然気にしてませんから! むしろこれも個性っていうか!」
「こうしてDStarsに入れたので、問題なしです!」
ばにら「ごりらちゃん、強い娘バニだなぁ」
「けど、何か困ったことがあったら、ばに~らに相談してれバニ」
「微力ながら、先輩として力を貸すバニよ」
ごりら「あはは! ありがとうございます!」
「けどまぁ……私にはうみがいますから!」
う み「そういうこと!」
「ばにら、うかうかしてんなよ?」
「ずんばにでブイブイ言わせてるけど」
「これで私にも百合営業の相手ができたんだからな」
「これからは――うみごりの時代ってワケ!」
「カーッ! 四期生デビューが待ち遠しいわ!w」
ばにら「うみ……」
ごりら「もう、うみってば。本当に、調子がいいんだから」
ばにら(……まぁ、場を和ませる冗談バニよな)
(いや、案外本気なのかも)
(けどいきなり新人と百合営業なんて、できるのかなぁ?)
う み「なに、どうしたの? そんな深刻な顔しちゃって?」
「もしかして、ごりらに私を獲られて悔しいのかな?」
「後輩にデビューからの即NTRで、ビクンビクンしてるのかな?」
ばにら「うみ……その喩えは流石に、ちょっとどうかと思うバニよ」
う み「本当はうみだって、ばにらちゃんと百合営業したいわよ」
「けれどばにらちゃんには、ずんだてんぱいっていう運命の相手が」
「どうせ敵わぬ恋ならば、いっそ他に幸せにしてくれる女に……!」
ごりら「って! 僕は都合のいい女とちゃうで!」
「ええ加減にしいや!」
う み「あはははっ! そんなこと言ってないじゃんよ、ごりらってば!」
「大丈夫大丈夫! ちゃんと、ごりらのことは好きだから!」
「何年、友達やってると思ってんのさ!」
「ごりうみはありま~~~~す!(謎の絶叫)」
ばにら(息ピッタリバニ)
(これなら本当にすぐにでも百合営業できちゃいそう)
(ヤバいな、これはDStarsのトップ、交代しちゃうかも……)
(けど、なんだろう)
(ごりらちゃんとうみのやりとり)
(どっかで見たことがあるような)
(いや、聞いたことがあるような……?)
う み「あっ、ヤバッ!」
「急がないと、今日はすずちゃんと、ラジオの収録があるんだった!」
「悪いばにら! それじゃ、これからごりらを送らなくちゃだから!」
ばにら「あ、うん」
ごりら「それじゃ、ばにら先輩。また、いつか配信で」
「コラボできるの、楽しみにしています」
ばにら「うん!」
「ばに~らも、ごりらちゃんとコラボできるの、今から楽しみバニ!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
下半身不随でVTuberになった東山ごりら。
ハンデをものともせずに頑張れるのはまさに強者の証。
ごりらの名がふさわしい、メンタルつよつよ女子だった……。
ちょっとこの設定はどうしようか悩みました。一時的に怪我をしてるだけとかにしたほうが無難だとは思ったのですが、VTuberという職業を「どのような人間でも、対等にできる仕事」と僕は感じているので、あえてこういう設定にしました。
そして、注目していただきたい、うみへのツッコミ。
もう分かりましたよね? 答え合わせは次回番外編のラストで!
もしよければカクヨムコン開催中なので、評価をいただけると幸いです。m(__)m




