第280話 限界社畜OLお局ちゃん! その4
【登場人物】
八丈島うみ DStars3期生 センシティブ委員長
お局ちゃん ニコ生配信者 地方のドライブインで働くOLさん
さおり ニコ生配信者 お局ちゃんの相方 握力が50kgある
川崎ばにら DStars3期生 ゲーム配信が得意
青葉ずんだ DStars特待生 グループ最恐VTuber
【シチュエーション】
ずんだの家で、現会社畜OLお局ちゃんの過去配信を視聴中。
◇ ◇ ◇ ◇
ずんだ「うみ、酒癖が悪くない?(困惑)」
「引退配信で飲酒するとか、割と正気の沙汰じゃない気がするけど?」
ばにら「そうですか? お局ちゃんらしくていいと思いますけど?」
ずんだ「今も時々、晩酌配信しては暴れてるけれど」
「酒乱の気はこの頃からあったのね……」
ばにら「いやぁ~、企業勢になってから、だいぶ落ち着いたと思いますよ」
「この頃は、ここからの絡み酒のウザさがヤバかったですからw」
◇ ◇ ◇ ◇
お 局「まぁ、はい、ぶっちゃけるとですねぇ」
「今流行りのVTuberですか?」
「あれのオーディションに合格しちゃいましたぁ♪ いぇ~い♪」
さおり「よっ! お局ちゃん! 流石はできる限界社畜!」
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コメ欄
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:ま?
:お局ちゃん、VTuberになるの?
:企業勢になるから、個人のチャンネル畳むってことか
:なるほど納得
:最近、こういう流れ多いよね
:多い多い
:有名配信者が、どんどん企業のVとしてバ美肉していく
:お局ちゃんもバ美肉を選んじゃったか
:まぁ、たしかにそろそろお肌も曲がり角
:二次元だったらそういうの気にしなくていいもんね
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お 局「おい! 誰のお肌が曲がり角じゃい!」
「お局ちゃんの肌色成分を摂取しにきてるくせに!」
「とはいえ、もう生身を晒せないのは残念ですね……」
さおり「まぁ、こればっかりはしゃーないて、お局ちゃん」
「言うてほんま、アンタのお肌も曲がり角やでな」
お 局「あぁん?(ブチギレ)」
「なんだ、やんのかさおり?」
「こちとら引退配信だぞ?」
「もうなにしても関係ないんだぞ?」
さおり「冗談やがな冗談! ほんまにキレる奴があるかいな!」
「まぁ、とは言っておりますがね」
「お局ちゃんがちょっと不健康なのは、隣で見てる私がよく知ってます」
「ドライブインの勤務で相当疲れが溜まっていて」
「正直、このままあの仕事と配信を続けるのは難しい――」
「そういうこともあって、今回のVTuberの話に踏み切ったんだよね?」
お 局「あぁ、はい。さおりがフォローしてくれた通りです」
「正直――」
「会社から課長にならないかって打診されまして」
「いや、課長って言っても、ウチって小さなドライブインですよ」
「実質仕事の内容は変わらないのに、残業がつけられなくなるんですよね」
「そんな『社畜の極み』みたいな存在になるくらいなら」
「いっそ夢のある仕事にチャレンジしとこうかなって」
「年齢的にも、これが転職の最後の機会だと思いますし……」
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コメ欄
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:あー、よくある奴だ
:プレイングマネージャーって奴ね
:ブラック企業特有の
:役員になったのに、逆に給料が下がっちゃう現象
:俺もそれだから分かるわ。名ばかり管理職。
:管理職とは?
:役員にすることで実質無制限で残業させほうだい(笑)
:笑いごとじゃねーんだわ
:法の抜け穴よなぁ はよなんとかして欲しいわ
:そらやめて正解よ
:正直、お局ちゃんならVTuberでもやってけると思う
:夢を追うのに年齢なんて関係ないよ
:VTuberになっても絶対に見つけて応援するよ
:頑張って!
:一緒にこの限界の時代を生き延びよう!
:お局ちゃんの新たな出発を祝して――三三七拍子!
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お 局「みなさん……!」
「ありがとうございます」
「そう言っていただけて、お局ちゃんは幸せです」
「私は本当に、いいリスナーさんに恵まれました」
◇ ◇ ◇ ◇
ずんだ「あらやだ、泣かせてくれるじゃないの」
ばにら「私も、リアルタイムで見てましたけど」
「思わずほろりと来ちゃいましたね」
「この後すぐに、三期生の顔合わせがあって」
「ビビり散らかしたのはいい思いでですw」
ずんだ「…………」
「そりゃ、びっくりするわ(納得)」
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いいリスナー&いい相方に見守られたお局ちゃん。
長くVTuberを見てると、お別れ配信に立ち会うこともありますが、こういう感じで笑ってバイバイできるのが、やっぱりいいですよね。
寂しいものはありますが、配信者さんやVTuberにも人生がある。
別れの果てに彼らの幸せがあることを願って、送り出してあげたいものです。
もしよければカクヨムコン開催中なので、評価をいただけると幸いです。m(__)m




