第216話 ばに~らハウスへようこそ その9(ラスト)
【登場人物】
出雲うさぎ DStars3期生 妹系巫女さん
宮古島たると DStars零期生 事務所の絶対的清楚歌姫
川崎ばにら DStars3期生 ゲーム配信が得意
青葉ずんだ DStars特待生 グループ最恐VTuber
【シチュエーション】
収録スタジオの機材トラブルが解消し、タクシーで移動中のたるととうさぎ。
◇ ◇ ◇ ◇
たると(はぁあぁ、今日はいい日だったなぁ)
(憧れのばにらちゃんの家に上がることができて)
(さらに濃厚なオタトークもできて)
(カメコ(ばにらのリスナー)のみんなには悪いけれど)
(ばにらちゃんと友達になっちゃった)
たると「でへ、でへへぇ」
うさぎ「なんか、機嫌いいですねたると先輩?」
「ばにらと何かありました?」
たると「え⁉ いや、なにも⁉」
「ぜんぜんなにもなかったよ⁉」
うさぎ(……怪しい)
たると「けど、そっか、ばにらちゃん引っ越しちゃうんだね」
うさぎ「あぁ、そうみたいですね」
「私たちも『ここはやばいから、もっといいとこ住め』って」
「前から言ってたんですけど」
「ずんだ先輩に言われて、ようやく引っ越す気になったみたいです」
たると「へぇ、ずんだちゃんが……」
うさぎ「正直、ばにらの家だとオフコラボがしづらくてですね」
「回線は強いんですけど、五人とか集まれないんですよ」
「なので、広い所に引っ越してくれるのはありがたいなーって」
たると「そっか。家が広くなると、オフコラボもしやすいもんね」
うさぎ「ずんだ先輩が部屋を紹介してくれたみたいなんですけどね」
「いやー、百合営業さまさまっすわ!」
たると「…………」
「へ、待って?」
「二人は百合営業なんだよね?」
うさぎ「って、ばにらは言い張ってますけど」
「アレは完全に、ずんだ先輩に惚れちゃってますね」
「最近、話をしてても……」
「ずんだ先輩がぁ!(声マネ)」
「前にずんさんが言ってたバニ!(声マネ)」
「って、うるさいんですよ(けらけら)」
たると「そ、そうなんだ……(顔面蒼白)」
うさぎ「たると先輩?」
たると(ばにらちゃんとずんだちゃん)
(てっきり会社の命令で、組んでいるんだと思っていた)
(けど、そうじゃなかったんだ)
(本人たちは百合営業って言ってるけど、本当は……)
(待って? そういえば、なんでずんだちゃんはばにらちゃんの家に?)
(なんの用事があってやって来たの?)
(突然現れたショックで、すっかり忘れていたけれども)
(もしかして、二人はこれから…………!!!!)
ずんだ『ほら、ばにら。私以外の女と、いったい何を喋っていたの』
ばにら『何も喋ってません。本当です、信じてください、《《お姉さま》》』
ずんだ『私が遊びに来るって知ってて、ホイホイ他の女を入れたのかい』
『あてつけかな? それとも、お仕置きされたかったのかな?』
ばにら『あっ、待って、お姉さまそれは――』
たると「ダメェエーーーーーーーッ!!!!(絶叫)」
うさぎ「たると先輩⁉」
たると「運転手さん、今すぐ引き返してください!」
「このままだと、ばにらちゃんの貞操が!」
「ばにらちゃんの純潔がァ!」
うさぎ「ちょ! なに言ってるんです!」
「貞操とか純潔とか、この世で一番似合わない女ですよ、ばにらは!」
たると「私は守護らないといけないんです!」
「ばにらちゃんとずんだちゃんの秘密を知ってしまった者として!」
「そして、カメ――同じオタク仲間として!」
「だから戻ってください運転手さん! 今すぐ、ばに~らハウスにぃ!」
運転手「もうスタジオつきましたけど……」
たると「NOOOOOOOOOO!!!!!」
◇ ◇ ◇ ◇
ずんだ「まったくもう。どうせ、引っ越しの準備が進んでないとは思ってたけど」
「まさかこんな直前で泣きつかれるとは思わなかったわ」
ばにら「すみません、美月さん!」
「けど、助けに来てくれてありがとうございます!」
「一人じゃうまく仕分けられなくて……」
ずんだ「たいしたもんないんだから、適当にダンボールに詰めればいいじゃない」
「ほら、ちゃっちゃと終わらせて、焼き肉でも食べに行くわよ」
ばにら「はーい! もちろん、奢らせていただきますよ!」
ずんだ「ほーう? じゃあ、上カルビとか頼んじゃおうかな?」
「日本一のVTuberのお金で、高いお肉を食べちゃおうかなぁ~?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
普通に引っ越し準備のお手伝いにきてあげたずんさんなのでした。
後輩のために、プライベートを割いてくれるなんて、いい先輩やでホンマ。
そして、オタク脳をフル回転させて、みごとに勘違いするたると。
彼女の清楚が剥がれ落ちるのは、時間の問題なのかもしれない……。
というわけで、着々とばにらの引っ越しの準備が進んでおります。第三部は、四期生のチューターとばにらの引っ越しが、主軸になると思っております。楽しみに待っていてくれる方は――もうしてるかもしれませんが、ぜひぜひ評価・応援・フォローよろしくお願いします!m(__)m




