第213話 ばに~らハウスへようこそ その6
【登場人物】
出雲うさぎ DStars3期生 妹系巫女さん
宮古島たると DStars零期生 事務所の絶対的清楚歌姫
川崎ばにら DStars3期生 ゲーム配信が得意
【シチュエーション】
収録スタジオの機材トラブルで、ばにらの家に避難したうさぎとたると。
重たいばにらのファンとして、たるとは家に上がるのを拒否するが――。
◇ ◇ ◇ ◇
ばにら「ふぁあぁ、優しい味バニぃ」
「たるとちゃん、やっぱりお料理上手バニなぁ」
たると「そんなことないよ」
「小麦粉と砂糖と卵とベーキングパウダーを」
「混ぜてこねて揚げただけだからw」
ばにら「いや、この揚げ具合が絶妙だと、ばに~らは思うワケ!」
たると「ちょっとばにらちゃんw」
「さっきから、配信の喋り方になってるw」
ばにら「バニ! まったく気がつかなかったバニ!」
たると(はぁ、いいなぁ、ばにらちゃん)
(リスナーとして、聞いてた時にも親近感あったけど)
(後輩として接しても親近感がある)
(同じ地方で生まれてよかったさー!)
ばにら(たると先輩、めっちゃ話が分かるバニ!)
(なにを言っても肯定してくれるし)
(ばにーらの話を分かってくれる)
(最高に甘やかしてくれる理想の先輩バニよ!)
たると「そういえばなんだけど」
「ばにらちゃんは、どうしてVTuberになろうと思ったの?」
ばにら「どうしてって……」
「ばに~らは、元々、ニコ生で配信者をやっていて」
「人の前でゲームしたり、お話したりするのが好きで」
「それでって感じバニですな」
たると「そっか、ニコ生やってたんだ」
「すごいなぁ……」
ばにら「たると先輩は、何かしてなかったバニか?」
たると「私? 私はねぇ……」
「元々は、うたみたをやってたんだよねぇ(てれてれ)」
ばにら「あぁ、なんか聞いたことあるバニ!」
「島唄専門のうたみたをやってて、それで運営に拾われたとか!」
たると「えへへ」
「実はね、それちょっと違ってて」
ばにら「はにゃん?」
たると「島唄のうたみたのチャンネル《《も》》やってたの」
「一緒に『アニソン』のうたみたもやってたんだ」
「水樹奈々ちゃんとか、桃井はるこさんとか、田村ゆかりさんとか」
「女性アニソンシンガーの曲をいっぱい歌ってて」
「そっちの動画を見て、事務所が声をかけてくれたの」
ばにら「えーっ! ぜんぜん知らなかったバニ!」
「それじゃ、たると先輩も結構なオタ……むぐぐぐ!(口を抑えられる)」
たると「しーっ! これ、本当に秘密な奴だから!」
「事務所からも『清楚のイメージ崩れるから言うな』って言われてるから!」
「ばにらちゃんだから、教えてあげるんだよ?(///)」
ばにら「…………バニ」
「たると先輩にそう言われると、もう黙るしかないバニなぁ」
「そっか、ばにーらだから教えてくれるバニか」
二 人
(うーん、今の、なんだか百合っぽくねぇ?)
ばにら(ばに~らには、ずんさんという大切な百合営業のパートナーが)
(ここに来て、たると先輩と百合百合してしまったら……)
(厄介ファンが暴れそうな気がするバニ!)
(あと、ずんさんも!)
たると(ど、どど、どうしよう!)
(なんか勢いで、ムードのあること言っちゃったよ!)
(私はただのばにらちゃんの先輩で! 百合営業相手じゃないのに!)
(これじゃ、いまちゃんやずんだちゃんに怒られちゃう!)
ばにら「たると先輩」
「ばに~らを信頼して、教えてくれたんですね」
「ありがとうございます」
たると「ア、ウン」
「ソ、ソウダヨー」
ばにら「だったらばにーらも、この秘密は墓まで持っていきますバニ!」
「後輩として、オタク仲間として、ここに誓うバニ!」
たると「ア、アリガトー」
「タ、タスカルヨー」
ばにら「たると先輩!」
「ばに~らとたると先輩は、同じ時代を、同じ地方で暮らした仲間!」
「オタク仲間――戦友として、これからもよろしくバニ!」
たると「ウ、ウン、ソウダネー! ソレガイイヨー!」
ばにら(これが無難な落としどころ!)
(ということで、美月さん許してください!)
たると(オタク仲間!)
(嬉しいし、誇らしいけれど……もう一声欲しかった!)
(けど、これ以上を望むのは贅沢だよね……)
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
抱けっ!! 抱けーっ!! 抱けえっ!!(ノスタル爺)
ここまで来て「お友達」の線を引いちゃうのが、ばにらとたると――陰キャの限界。そこを踏み越えられるのはやっぱりずんさんだけなんですよ。たぶん。
というわけで、たるばにはありません安心してください!
これからも、ずっとずんばにやっていきます!
え……たるばにの方がよかった? そんなことを言っちゃう読者さんの前には、フルフェイスのバイクマスクを被った、綺麗なお姉さんが――という所で、オチはおわかりですよね?




