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【二部完結】VTuberなんだけど百合営業することになった。  作者: kattern@GCN文庫さまより5/20新刊発売
番外編 絶叫配信 ~ホラーがダメな犬系VTuber~
180/754

第177話 絶叫配信 その2

【登場人物】


川崎ばにら  DStars3期生 ゲーム配信が得意

青葉ずんだ  DStars特待生 グループ最恐VTuber

生駒すず   DStars特待生 JKお狐VTuber


【シチュエーション】


 後日、ずんだのマンションで晩酌中。


◇ ◇ ◇ ◇


ずんだ「ようやく暑さも落ち着いたわね」


   「昼間に気持ちよく外を歩けるようになってきたわ」


ばにら「そうですね」


   「ばに~らハウスにはエアコンないんで」


   「ほんと、涼しくて助かります」


ずんだ「まだあのボロ家から引っ越してなかったの?」


   「お母さん呼んで、契約は済ませたんだよね?」


ばにら「それが……なかなか時間がとれなくて」


   「今度の休みに、やっちゃおうかなって計画してます」


ずんだ「どうせ自分で荷造りして、引っ越し代ケチろうとしてるんでしょ」


ばにら「……ぎくり」


ずんだ「引っ越し業者に頼んで、さっさと済ましなさい」


   「あんな、おんぼろアパートにいつまでも居座って」


   「不審者……じゃなくても、幽霊とか出たらどうするの?」


ばにら「あ、私は霊感とかないので」


   「そういうのは大丈夫です」


ずんだ「そういうことじゃなくてね」



   「……はぁ(クソデカため息)」



ばにら「ボロアパートと言えば」


   「美月さんはチラズアートさんの『事故物件』はやりました?」


   「あれも怖かったですよねぇ~(無邪気)」



ずんだ「…………」


   「やっでない(小声)」



ばにら「え?」



ずんだ「なんか、タイミングが合わなくてね(目を逸らす)」


   「気づいたら旬を過ぎて」


   「やらずじまいで終わっちゃった」



   「いやー、私としたことがうっかりうっかり(棒)」



ばにら(……妙だな)


   (いつもなら、流行ってる作品にはすぐ手を出すのに)


ずんだ「けどまぁ、うん」


   「みんながあれだけやってると、後追いでやっても埋もれちゃうし」


   「そういう差別化も大事よね! なんでもやれば良いってもんじゃないわ!」


ばにら「ちなみに、他のチラズさんの作品はやられてます?」


ずんだ「…………」


   「赤マントをやったことがあるような」


   「ないような(しどろもどろ)」


ばにら「初期の初期じゃないですか!」


   「他の作品はノータッチってことですか⁉」


   「どうして⁉ あんなドル箱コンテンツなのに⁉」


ずんだ「いやいや」


   「さっきも言ったじゃない『差別化も大事』って」


   「みんながやってるゲームをあえてやらない」


   「そういうのも大事……」



   「ね?(目を伏せながら)」



ばにら「…………」


   「美月さん、もしかしてですけど」



   「怖いのが苦手だったりしますか?」



ずんだ「そ! そんなわけないじゃない!」


   「ホラゲを怖がってたら、配信者やってられないわよ!」


   「バカなこと言わないでよ花楓!(ここまで早口)」


ばにら「…………」



   「いま、動画のリストざっと眺めましたけど」


   「ホラーゲームの動画、二本しかないんですけど?(圧)」



ずんだ「はい、苦手です。嘘を吐いてすみません」


   「昔から、ホラーは映画もドラマもアニメもゲームもダメなんです」



ばにら(あっさり認めたなぁ)


   (美月さん、怖いのダメなのか)


   (なんか不思議な感じ……)


ずんだ「というわけでですね」


   「今回の『深夜放送』も、このままスルーしちゃおうかなって」


ばにら「いやいや! なにを日和ってるんですか!」


   「VTuberなら、なんでもやってやれですよ!」



   「ちょうど季節的にもホラーの時期!」


   「やらなきゃ損ですよ!」



ずんだ「……言うようになったわね、花楓!」


   「前にすずに誘われた時に、ビビり散らかしてたくせに!」



   「けど、そうね」


   「私も逃げてばかりじゃダメかもね……」



☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆



怖いのがダメなずんださん。ばにらの配信に珍しく顔を出さないと思ったら――そういう事情だったんですね。いやぁ、VTuberも大変ですねぇ。

ホラーゲームの題材になりそうなキャラなのに……。(フラグ)


ということで、珍しく及び腰なずんだ。

そんな彼女に発破をかけるばにら。

後輩にここまで言われてしまったら――逃げるわけにはいかねえよなぁ。


次回、ずんだは無事に「深夜配信」にチャレンジできるのか! 久しぶりのずんだの配信回に、「待ってました!」という方は、ぜひぜひ評価・応援・フォローよろしくお願いいたします!m(__)m

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