第137話 紫の芋の人 その5
【登場人物】
川崎ばにら DStars3期生 ゲーム配信が得意
青葉ずんだ DStars特待生 グループ最恐VTuber
トキワいま DStars零期生 事務所発足の切っ掛けになったV
宮古島たると DStars零期生 事務所の絶対的清楚歌姫
【シチュエーション】
たるととばにら、事務所で3D撮影の楽屋待ち。
◇ ◇ ◇ ◇
ばにら「いやー、それにしても同じ南国出身とは」
「たると先輩とは一度じっくり話したかったバニよ」
たると「えっ⁉」
「そ……そうなんだ」
ばにら「なんか急によそよそしくなりましたバニね?」
「ばにーら、なにか失礼なことしました?」
たると「うぅん! 全然! そんなことないよ!」
「ほ、ほら! 私ってば運営から、イメージを崩すなって言われてるから!」
「返事をする時に、一呼吸置いちゃうんだよね!(大嘘)」
ばにら「あー、大変そうバニですな」
「清楚枠って――今はもう本当に貴重バニですから」
たると「そ、そうだねぇ……」
ばにら「だいあ先輩が今のキャラになってぐっと減りましたよね」
たると(あぁ、推しのばにらちゃんがこんな近くに!)
(今すぐ押し倒してしまいたい!)
(推しだけに!)
(いや、だめよたると! 貴女は川崎ばにらの理想的なカメコ!)
(名誉カメコの――紫の芋の人!)
(一時の欲望に飲み込まれて、アイドルに手を出すなんてダメ!)
(気を強く保つのよ……!)
ばにら「すず先輩も清楚と言えば清楚ですけど」
「それ以上に面白い&ゲーマーって感じですし」
「今、DStarsではっきり清楚と言えるのって」
「いま先輩とたると先輩くらいですよね……」
たると「ウン、ソウダネ……」
「ワタシ、ワタシハ、セイソ……」
「DStarsノサイゴノトリデ……」
「絶対ニ、キャラ変シチャイケナイ、イメージ大事……ハァハァ」
ばにら「まじでどうしたバニです⁉」
「鼻息荒いですよ⁉」
たると(ダメだ! ばにらちゃんを前に、正気を保てない!)
(はぅ! ばにらちゃんからいい匂いが!)
(思いっきりクンカクンカしたいよぉ……!)
(けどダメ! 私はDStarsの清楚枠!)
(私まで清楚(笑)になったら、DStarsはおしまいよ!)
(なんとしても、ここは耐えなく……)
ばにら「熱でもあるバニですか(おでこにおでこをピトリ)」
たると(……ほ)
(ほわぁあああああああああああああ!!!!)
ばにら「た、たると先輩⁉」
「急に白目を剥いてどうしたバニか⁉」
たると「だ、大丈夫! 大丈夫だから!」
「ちょっと収録の疲れが出て、ふらついちゃっただけだから!」
ばにら「えぇっ⁉ それは逆に大丈夫じゃないバニよ⁉」
「今すぐ医務室に行った方がいいバニ!」
たると「大丈夫だから! ここにいさせて!」
「ここにいるのがなにより癒やされるから!」
ばにら「こんな狭い楽屋で⁉」
「やっぱどうかしてるバニよ、たると先輩!」
「はやく医務室に……」
たると「ダメばにらちゃん! それ以上、近づかないで!」
「それ以上、私に近づいたら……私は内なる自分を抑えられないわ!」
ばにら「いったい何と戦っているバニですか、たると先輩!」
「急に中二病みたいな台詞やめてくださいバニ!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
思った以上に重症&致命傷。かなり重度なファンのたるとちゃん。
逆によく、今までばにらにカメコというのを隠せてきたというもの。
はたして大好きな後輩の前に、彼女は清楚を続けることができるのか。
それとも清楚の暗黒面(謎)に落ちてしまうのか。
たるきち、清楚(暗黒面)はいいぞ……。
もうすでにいろいろ台無しだよと思った方は、寛大な心で許してあげてください。たるとちゃんの明日はどっちだ――気になる方は、ぜひとも応援・評価・フォローよろしくお願いいたします!m(__)m




