5
「アビゲイル様、イザヤ様とはお知り合いでしたの?」
私知りませんでしたわ、と言う台詞が省略されているであろう聞き方のマリー様。
女子会始まって早々の質問でしたが。
っていうか、イザヤ様って、誰?
「イザヤ様って、2年騎士科のイザヤ・ラミレス様ですか?」
ミランダ様が私の知りたい事を答えて下さいました。
ん?
騎士?
イザヤ・ラミレス?
……何か物凄ぉぉぉく嫌な予感がするのですけども。
頭の中をグワングワンと激しく警鐘が鳴り響いているのですけども。
「ええ、そのイザヤ様ですわ。
アビゲイル様がイザヤ様とお話されているのを見掛けた方がいらっしゃって。ふふ」
……流石お耳が早くてらっしゃる、マリー様。
それにしても。
何故に、どうして、私はこうも攻略キャラ達と遭遇してしまうんですかぁぁぁぁああ(泣)
出来る事なら、このまま一生お会いしなくても良いとさえ思っておりますのにぃぃぃ(泣)
イザヤ・ラミレス。
近衛騎士を目指す、寡黙な先輩A……。
攻略キャラの中でも彼と生徒会長の二人は遭遇率が低い為に、ある意味安心して放置の予定でしたのに。
……いえ、やはりここは予定通り、このまま放置でよろしいかしらね?
うん、そうしましょう。
どうせお互いに良い印象を持っておりませんでしょ。
よし、放置の方向で。
「そのイザヤ様とやらは、もしかして訓練室で自主練習をなさっていた方でしょうか?」
念のため確認しておこう。
十中八九攻略キャラだとは思うが、もしかしたら唯のソックリさんなんて事も……。
「ええ、そうですわ。その辺りでお見掛けしたと聞きましたわ」
……デスヨネ〜。
ええ、分かっておりましたとも。
ただ私が現実を認めたくなかっただけですわ。
「初めてお見掛けした方でしたが、皆様ご存知ということは、もしかして有名な方だったりしますの?」
放置するにしても、一応情報だけは収集しておいた方がいいわよね。
なんて聞いてみたのですが、皆様吃驚した顔をなさって、どうされたのかしら?
「アビゲイル様、逆に何故ご存知ありませんの?
彼、ノア様と生徒会長様と並んでこの学園で女生徒に大人気の方ですのよ?」
ミレーヌ様の言葉に、ミランダ様とマリー様がウンウンと頷かれています。




