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【書籍化&コミカライズ】悪役令嬢はオジサマに夢中です  作者: 翡翠
第五章 アビゲイル様の好きな人
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マリー目線です。

 『純潔』が尊重される貴族社会において、未婚女性がそういった行為を行うことは『恥ずべき行為』とされる。

 醜聞を嫌う家によっては、追い出されてしまうこともあるほどに。

 ミレーヌ様が恥ずかしそうに両手を頬にあてて体をクネクネさせ、聞いてくる。


「か、体の関係って、一体どうやって周知させますの?」

「この際、ヤッたかヤラないかの事実はどうでも良いのですよ。まだそういった関係ではないようですが、都合の良いことに勝手にあちらこちらでイチャついてくださってますから、こちらでちょ〜っとした(・・・・・・・)噂を流していきます。要は周りの人間に先入観を持たせ、二人の仲睦まじい姿に『やはり二人はそういう仲(・・・・・)なのだ』と思わせることが大事なのですわ」


 ニッコリ笑顔で答える私にミランダ様は慌てるようにして、一部恥ずかしかったのか、モゴモゴと注意した。


「マリー様、ヤッ……たとかヤラないとか、淑女が口にする言葉ではありませんわ」


 普段はしっかり者とされているミランダ様の、真っ赤になってワタワタされる姿はギャップ萌えである。

 私はニッコリ笑ってそのまま続けた。


「周りの方々が二人をそういった関係だと認知されましたら、今度はシャルロットに都合の悪い噂を流していきます」

「都合の悪い噂とは、どんな噂ですの?」

「クソ殿下は身分の低いシャルロットを側妃にして、アビゲイル様を正妃にするつもりだとか、シャルロットとは学園に在学中のみの関係で、卒業と同時にアビゲイル様と結婚されるつもりだという様な噂ですわ」

「その噂によって不安になった彼女(シャルロット)が、王子にアビゲイル様との婚約破棄をおねだりする……ということでしょうか?」


 私は肯定するように笑みを浮かべ、頷いた。

 今現在も、婚約者を蔑ろにして他の女にうつつを抜かすダメ王子と、評価は降下しているのだ。

 王族には正妃以外に側妃を二人まで持つことが許されている。

 これは正妃に子供が出来なかったり、王子が生まれないなどの世継ぎ問題のためである。

 貴族の場合は妻は一人と決まっているが、影で『愛人』を囲っている者は多い。

 ただしこれは結婚後のことであり、結婚前から側妃を持ったり愛人を囲うなど、あり得ないことだ。

 隠して遊ぶならばまだしも、堂々と婚約者以外の女性に手を付けたなど、恥ずべき行為である。

 そして未婚女性であるシャルロットは、婚約者が他にいる男性と通じた『尻軽女』とされるわけである。

 そんな噂がたってしまえば、王子を逃すと他の結婚相手を見繕うのは絶望的と言っていいだろう。

 彼女にはもう、王子にアビゲイル様でなく自分を選んでもらう以外に方法はなくなるのだ。

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