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この学園は全寮制であり、寮は女子寮と男子寮で分かれている。
例えロビーと言えども、女子寮に男子が入ることは出来ず、またその逆も然り。
一階のロビーにある幾つものソファーは、その殆どが準備を終えた色とりどりの華やかな女子生徒たちによって埋められている。
そしてロビーのガラス扉の前には、約束をしているだろう男子生徒達がパートナーが出て来るのを、今か今かと待っているのだろう。
ロビーを見渡すと一番奥のソファーに、楽しそうに話をされているマリー様とミランダ様の姿を見つけた。
マリー様は淡いグリーンのワンショルダードレスに、エメラルドのネックレスとイヤリングを着けており、ミランダ様は群青色のマーメードラインドレスにダイヤのネックレスとイヤリングで、お二人共に上品に着こなされ、とても似合っている。
その二人の元へ向かっていく、サーモンピンクのドレスとルビーの装飾品を身に纏ったミレーヌ様を見つけ、私も急ぎつつも優雅に向かって歩き出した。
お互いの姿を褒め称えつつ、マリー様の双子のお兄様達の待つロビーのガラス扉の向こう側へとゆっくりと歩んで行く。
本日のパーティーは学園内のみのパーティーとなるため、ドレスコードは準礼装(男性ブラックタイ、女性イブニングドレス)となっており、タキシードの団体がパートナーとなる女性を待ち構えていた。
初めてお会いする双子のお兄様たちは、二卵性のため外見は似てはいるがそっくりと言うほどではなく、けれども仕草や言動がそっくりで吃驚だ。
若干背が高く向かって右側にえくぼがあるのは次男のルーク様、向かって左側にえくぼがあるのは三男のマシュー様だそうだ。
マリー様の長兄のローガン様ほどの筋肉はなさそうだが、お二人共それなりに鍛えられていそうである。
皆で簡単に自己紹介をしつつ、ホールへ向けて移動を開始。
ルーク様もマシュー様もとてもお話し上手な方達で楽しい会話が続き、気が付けばもうパーティー会場は目の前だった。
「何か、楽しくなってきましたわ」
ミレーヌ様がはしゃいだ声でそう言うと、皆が頷きあう。
「せっかくのパーティーなのだから、美味しいものを食べて飲んで、時々踊って? 楽しい時間を過ごしましょうね」
マリー様の言葉に「「「「「賛成」」」」」と、足取りも軽やかに、ホールに足を踏み入れた。




