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【書籍化&コミカライズ】悪役令嬢はオジサマに夢中です  作者: 翡翠
第二章 白馬のオジサマ登場
13/103

5

 可愛らしくラッピングしたクッキーを、マリー様にプレゼント。

 喜んでもらえたようで、とても嬉しい。

 マリー様が手配された馬車に乗り込み、お城へと向かう。

 近衛騎士団の宿舎はお城の裏手にあり、それは何かトラブルなどがあった時に、直ぐ向かえるようにらしい。

 お城が見えて来ると更に緊張感が高まり、気が付けば近衛騎士団の宿舎入口の前に立っていた。

 あら? いつの間に馬車を降りたのかしら?


「アビゲイル様、大丈夫ですか?」


 心配そうな顔をしたマリー様が、目の前に立っている。


「済みません、こちらには初めて足を踏み入れますので、どうやら緊張しているようですわ」


 いかんいかん、マリー様に心配を掛けてしまった。

 大きく深呼吸を数回繰り返し、気分を落ち着かせる。


「もう大丈夫ですわ。ご心配お掛けして申し訳ありません」


 マリー様は少しホッとしたように、可愛らしく笑った。


「アビゲイル様が緊張されているご様子を初めて見ましたわ」

「あら、私だって初めての場所では緊張くらいしますわよ?」


 マリー様のお陰で肩の力が抜け、二人笑顔で宿舎に足を運ぶ。

 マリー様は普段から差入れに伺っているようで、騎士団の皆様から気さくに声を掛けられているのだけれど、何故か隣の私を見て固まる騎士の皆様。


「私、何か変かしら?」


 疑問がつい口を出てしまい、マリー様がそれを確り耳にされたようだ。


「どうかしまして?」

「いえ、皆様私を見て固まってらっしゃるので……」


 ドレスのスカートを広げたり、背中側にタグでも付いてるかもと、可笑しなところがないかチェックしていると、マリー様に抱きしめられました。


「ああもう、アビゲイル様可愛すぎますっ! 騎士の皆様は、アビゲイル様の美しさに吃驚(ビックリ)されておられるのですわ」


 マリー様の言葉に照れて顔が赤くなるのが分かり、思わず頬に手を当てると今度は頬擦りされました。


「ああもう、本当に可愛すぎますっ!」

「可愛いのはマリー様の方ですわ」


 アビゲイルの容姿はどちらかといえば美人であり、可愛いというのはマリー様やミレーヌ様のような女の子を差す言葉だと思う。

 そんな風に思っていると、マリー様が「アビゲイル様、大好きです!!」と更にギュウギュウと抱きしめてくる。

 ぐえぇぇぇ、ちょ、苦しい……。

 マリー様ったら、一見華奢なのに予想外に力がありますのね。

 そこへ、背後より呆れたような声が聞こえた。


「マリー、お前はこんな所で何をやっている」

「あら、お兄様。アビゲイル様の可愛さに悶絶しておりましたの」


 マリー様は抱き締めていた腕を解くと、私をクルッと反転させた。


「お友達のアビゲイル様ですわ」

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