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甲州御庭番劇帖  作者: 蕃石榴
壱ノ巻-第一章『竜驤戴天』
17/57

#17 奔騰 破「デッドロック・チェイス」

時は2031年。

第22代江戸幕府将軍の治める太陽の国、日本。

此処はその天領、甲斐国・甲府藩。


豊かな水と緑を湛えるこの地は今…


その一割を「彼岸」に蝕まれている。

 破 ~デッドロック・チェイス~


「『死不出牢(デッドロック)』!」

 天貝先生は拳を床につけてドスの効いた声でそう言い放つと、呪文を唱え始める。

「『鬼術・二十五番』」

「『壁に垣生し 障子に根張り 一堂に伏せ』」

「『一叢伽藍(いっそうがらん)』!」


 するとあちこちからガチャガチャと鍵をかけるような音が聴こえ、開いていた廊下の窓が一斉に閉まっていく。

 そして窓の表面に赤黒い魔力が走った。


「こ、これは…」

 もしかして、天貝先生がやったの…?

 キョロキョロ辺りを見回していると、天貝先生は立ち上がって腰に手を当てて、素敵な笑みを浮かべた。


「まさか早速お披露目することになるとはな…これが俺のソウル、その名も『死不出牢(デッドロック)』!」

「俺の居る建物一体に魔力を走らせ、閉じたドアや窓なんかを固定して開かないようにする!さっきの鬼術は魔力の届く範囲の出入口を締め切って施錠するもので、それと組み合わせて…今、この本館に繋がる通行口を全部封鎖した!」

 徽典館本館は甲府城の本丸と同じくらいの面積なのに…それを全部封鎖したの?すごい効力範囲だ…!


 どうやら金瓢箪なるものが盗まれることは相当まずいらしいけど…何がまずいのか、ちゃんと話を聞いた方がいい。

「あ、あの!こんな状況の中すみませんが…禁庫とは?金瓢箪とはいったい何なのですか?」

 僕が先生方に向かって尋ねると、設楽校長が僕の顔を見てギョッとした表情をした。

「き、君が話に聞いた桜華くんかナ!?ほ、本当に菫様そっくりだヨ…じゃなくて、禁庫と金瓢箪について教えてほしいのよネ?教えてあげるワ。」


 設楽校長の話によると、「金瓢箪」というのは内部に魂を閉じ込めることのできる瓢箪型の魔導具で、通常は悪霊や怨霊の類を封じ込めるために使うらしい。

 徽典館の地下には、妖魔討伐任務で回収された危険度がそこそこ高い魔道具を保管する「禁庫」という場所があり、曰く付きの魂が詰められた金瓢箪もそこに置かれることがあるとのこと。

 そんな曰く付きの金瓢箪はいくつかあり、今回はそのうち一個が盗まれた。

 何が入ったものか現時点ではわからず、凶悪な悪霊あるいは怨霊を詰めた金瓢箪が持ち出された可能性もあるため、校内は厳戒態勢となっているらしい。


「よぉし…七年一組のみんな!お前らは全員教室に戻って待機だ!」

 天貝先生がそう言い放つと、一組の生徒たちからブーイングが飛び交う。

「先生のケチ!」

「こんなの絶対楽しいじゃない!」

「狐さんとの追いかけっこ、先生だけ遊ぶなんてずるいよ〜!」

 皆んな…この危険な状況をわかった上で楽しみたいんだ…?


「やかましいっ!俺は教師だぞ!お前ら学生を危険に晒すことを許してどーすんだ!」

 天貝先生は少し一組の生徒たちと押し問答を続けた後、透明な壁のような小結界を練り出して、半ば強引に生徒たちをぐいぐいと押して教室へと連れ帰っていった。


 そして残ったのは、僕と蜜柑と目白の三人。

 僕たちは他の生徒の皆んなとは違う…緊急の有事があれば、どこに居ても対処にあたる御庭番だ。


 設楽校長は眉を八の字にして手を合わせる。

「生徒たち…改めここでは御庭番様方、三人には金瓢箪探しに協力願いたいのヨ…筆頭様にはすぐ連絡するワ…」

 いくら僕らが御庭番とはいえ、天貝先生も設楽校長もあくまで教員。

 生徒の僕らをなるべく戦いに巻き込みたくないのが、正直な所なんだろう。


「お気になさらないでください、設楽校長。天貝先生がここを封鎖してくれたんだ…犯人はすぐに見つけますよ。」

 いまだに焦りを隠せない設楽校長に、優しく声を掛ける目白。

 いまだに落ち着かない僕や蜜柑と違い、こうして落ち着き払った振る舞いのできる仲間が一人でも居てくれるのは心強い。

 目白はそういう所が頼りになる。


 突然「ピリリリリーッ!」とポケットからけたたましい音がする。

 音の主は蜜樹さんに通じる通信機。

 非常時にいつでも連絡できるよう、昨日の任務後もずっと持たされている。


《どもども桜華く〜ん♫姫様〜♫そして目白〜♡》

《おばちゃんの声は聴こえてる〜ん?お調子いかが〜ん?》

 昨日ぶりに聴こえてくる、テンションの高い蜜樹さんの声。


「蜜樹さん!報告はそちらに入っているんですか?」

《もちのろんだよ〜ん桜華くん!ついさっき入電を受けたわ〜ん♫何が盗まれちゃったかについても今調べを進めてるところよ〜ん♡》

 昨日の作戦の時もそうだったけど、蜜樹さんのサポートはとても手が早い。

 僕たちがお願いしてやってもらったことといえば液体窒素を持ってきてもらったことくらいで、それ以外は僕たちが何か言うよりも前に準備されている。

 これがベテランのオペレーター業か…かっこいいなあ。


 続いて目白がこちらの状況を報告する。

「お袋、逃げた狐は二匹だ。匂いは俺と桜華で追跡できるから、二手に分かれられても大丈夫だ。」

《ほうほう!たしかに鼻が利く子が二人もいるもんね〜!》

「当然優先すべきは金瓢箪を持った個体だろうが、もう片方の個体もソウル使いの可能性がある…兄弟かもしれないからな。」

 昨日の任務後、蜜柑に教えてもらったこと。

 ソウルの素質は遺伝するもので、ソウル使いの子供はソウル使いとして生まれてくることがほとんどらしい。

 兄弟の片方がソウル使いなら、もう片方と何らかのソウル能力を持っている可能性があるということだ。


《ソウル持ちの妖魔かぁ…それだと間違いなく丙種はいきそうだね〜。》

 丙種?そういえば、昨日や一昨日の怪魔は「丁種」といわれていた。

 ニュースで時々災害の脅威レベルの分類として聞くけれど、具体的にどういう分類なんだろう?

「あの…丁種とか、丙種とか…分類の目安って、何なんでしょうか?」

 僕が小さく手を挙げながら尋ねると、蜜柑が人差し指を立てて答えてくれた。

「そういえば教えるのを忘れていました…説明しましょう!怪魔の報告などで使われる『丁種』や『丙種』などの名称は、江戸幕府が定めた『災害脅威組分(くみわけ)』という分類法によるものです。──


 ──この分類法は、人為的な破壊活動や組織犯罪等から、妖魔に起因する事件、大規模な事故、豪雨・地震・疫病などの自然災害に至るまでの、国民の社会生活に脅威を及ぼすものを対象として、危険度別に分類するものです。


 分類は下から、「己種」~「甲種」、そして最上級の「特種」の、七階級です。

 それぞれの分類を簡単にいうと…


 ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─

 階級:脅威の度合い / 一般兵器を使用した場合で制圧に必要な火力の目安


 ()種:戊種未満の脅威 / 一般人でも金属バット等で制圧可能

 ()種:地区レベルの脅威 / 真剣と拳銃で武装した武士数人で制圧可能

 (てい)種:市町村レベルの脅威 / 自動小銃数台で制圧可能

 (へい)種:藩レベルの脅威 / ロケット砲数台で制圧可能

 (おつ)種:国レベルの脅威 / 戦車数台で制圧可能

 (こう)種:地方レベルの脅威 / 航空機数十機による空爆で制圧可能

 (とく)種:日本全土レベルの脅威またはそれ以上の危機 / 4~5t原子爆弾一発でトントン

 ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─


 …といった感じです。

 人間や妖魔単体の場合、ソウル能力を持っていると必ず丙種以上に分類されます。

 普段我々がよく対処する妖魔や怪魔は丁種以下で、丙種はまちまち、乙種は珍しいです。

 甲種は滅多に見ませんが、筆頭家老でも手こずる程強く…特種は言うまでもありません。


 江戸幕府の支配下にある武士は、単独で対処できるレベルに応じて「己位」~「甲位」の段位を与えられます。

 たとえば私は、丁種妖怪を5体以上単独撃破しているため段位は「丁位」です。

 桜華君の場合はまだ実績が足りないので、初期段位の「己位」となっています。

 もちろんより高い分類の敵に対処した場合は飛び級もありますが…そのために無理しちゃダメですからね!


 さらに甲位よりも上の「特位」という伝説級の段位もありますが…これは風の二大筆頭のようなごく限られた強過ぎる武士に与えられるものであって、基本的にトップは甲位。

 甲府の現二大筆頭は両方とも甲位です。


 ──少し話が逸れましたが、そういうわけで今回の妖魔の少なくとも片方は、丙種妖怪になります。丙種以上は必ず御庭番衆または討伐隊が対処する案件です。」


 丸腰では苦戦を強いられた山蛞蝓や牛鬼丸でさえ、階級としては下の方だったんだ…

 そして武士に階級があるのも少しは知っていたけど、お父様が特位だったということは何気に今初めて知った。

 小さい頃の僕は、お父様のことを誰よりも強いと信じてやまなかったけれど…まさか甲位よりも上の階級を与えられていたとは…

 お父様、あなたはどれ程強かったというのですか…?


 それはひとまず置いておいて…ソウルの有無という基準があるとはいえ、これから臨む相手は昨日や一昨日以上の難敵かもしれない。


 ─2031年3月5日 10:20頃─


 〔徽典館 本館屋上 催事場〕


 早速僕と目白で匂いの跡を辿っていくと、匂いは先程僕らが通った階段を登っていき…屋上階に出てすぐ左右に分かれた。


「困りましたね…本当に二手に分かれられてしまうとは…」

 口元に手を当て俯く蜜柑。

 でも僕は、さっき捕まえようと近付いた時に、金瓢箪を咥えている方の匂いを覚えている。

「金瓢箪を持っている狐は、右に逃げた方ですね。僕が匂いを覚えています。」

 すると目白が問い掛けてくる。

「金瓢箪の匂いは覚えているか?」

 そういえば金瓢箪の匂いまでは確認してなかった…僕が首を横に振ると、目白は腕を組んで続けた。

「じゃあ…相手は撹乱目的のために、金瓢箪を交換してから二手に分かれている可能性もなくはない。今は両方とも追跡するべきだ。」

 蜜柑は両手を合わせてパッと目を輝かせる。

「さすが目白くん!でも二手に分かれようにも、私たち…三人ですけど…」

《少なくとも匂いを追跡できる桜華くんと目白は別々がいいけど〜…どっちに姫様を振る?》


 うーん…と皆んなで考え込んでいると、突然僕の背後から男の子の声が聴こえてきた。

「三人じゃなくて…ここにいるのは四人だぜ?」

 僕が振り向くと、何も無い場所からマントを脱ぐようにして、ツンツン頭で鼻に絆創膏を貼った男の子が出てきた。

「あ、あなたは…?」


「仙太くん!」

「仙太…お前かよ…」

 蜜柑と目白が口々に名前を呼ぶ…ということは、一組のクラスメイト?

 僕が尋ねようとすると、男の子は掌を突き出して制止してきた。

「おぉっと、皆まで言うな!聞きたいことはわかってるぜ?俺は七年一組の蒲生仙太!気さくに“仙太”と呼び捨ててくれよな!」


蒲生(がもう) 仙太(せんた)

~七年一組 甲府藩家臣 蒲生家の次男~


 仙太はそう言って僕の手を取って握手してきた。

「よ、よろしくお願いします…」


「仙太、お前まさか…」

 目白が呆れた顔で仙太に何が話そうとすると、また仙太は掌を前に出した。

「皆まで言わんでよーし!この魔導具『天狗の繭衣(けんい)』を着込んで教室から抜け出してやったんだよーん!」

 すると目白は声を荒らげる。

「おいおい、教室に戻れって言われてなかったか!?」

 仙太は目を泳がせて口を尖らせる。

「戻りはしたさ?その後に琳寧が持ってた天狗の繭衣で誰が抜け出すかジャンケンして…で、俺が勝って出てきたってワケ。」

 蜜柑が苦笑いする隣で、目白はやれやれとため息を吐いた。


《うーん…あんまり感心できないけど、とりあえず割り振るよ〜ん?》

《仙太くんには便利な“能力”があるから、金瓢箪を持ってる可能性の高い狐の追跡には、桜華くんと仙太くんを。ただし仙太くんは追跡だけだよっ!それが終わったら恭輔くんに回収してもらいま〜す。》

《もう片方の狐の追跡には、目白と姫様を。》

《校舎は恭輔くんが封鎖してくれてるけど、何せ広いから…あまり遠くへ行かないうちに確保しよう!準備はいい?作戦開始っ!》


 蜜樹さんの掛け声に僕たちは頷くと、それぞれの匂いが続く先へと駆け出す。

 目白と蜜柑は西側の下階へ続く階段に向かい、僕と仙太は花壇の中へ向かう。


 蜜樹さん、仙太くんにはある“能力”があると言っていたけど…

「あの、仙太!」

「ん?なんだ?」

「仙太も僕らと同じソウル使いなんですか?」

「ふふっ…もちろんさ、それもチョー強い能力だぜ?お探しの狐なんてパツイチで見つけてやるよ!見てろよ〜?」

 仙太はそう言って腕を交差させ、前に突き出す…能力が発動する!と思ったその矢先。

 花壇を抜けた先のダクトの通気口の上に、イタチのように細長い狐が一匹、金瓢箪を咥えて座っていた。


「いましたよ仙太!あれです!」

「ウッソだろおい!俺が来た意味とは!?」

《あら〜!かわいい狐ちゃ〜ん♡あれは『管狐(くだぎつね)』だわ〜ん♡》

 管狐…竹筒に入る程小さくて、未来を言い当てたり、病人に取り憑いて悪さをしたりするという、狐の妖魔。


 管狐はこちらを睨んで牙を剥いてくる。

「管狐じゃない…おれには“ハッチ”って名前があるんだ。」


~丙種妖怪 管狐の少年~

【ハッチ】


 僕はハッチと名乗る管狐に向かって呼び掛ける。

「ハッチさん、この建物はすでに外へ出れないよう封鎖されています。その金瓢箪をこちらにお返し願います。」

 するとハッチは毛を逆立ててフーッと鳴き、こちらを威嚇してくる。

「返すもんか!それを言われて余計に返してくやりたくなくなったよ!」


 ハッチはそう言い放つと、ダクトの換気口に頭を突っ込む。

 ダクトの換気口は、管狐のサイズからしても入れそうにない程格子の目が小さい…にもかかわらず、ハッチの体は咥えている金瓢箪ごとグニュグニュとゼリーのように柔らかくなって格子の間を抜けていく。


「待って!」

 僕は咄嗟に駆け出して、ハッチの脚を掴む。

「へぇ…やっぱ速いじゃん。じゃあ、いっそ“ついてくる”か?」

 格子の向こうからハッチがそう呟くと、再びマントを着た霊が現れて僕の右上腕を掴む…これは式神!やっぱりハッチはソウル使い!

「食らいな…『ピーキングO(オー)』!」

 ハッチがそう叫ぶと、僕の右上腕が、式神に掴まれた部分からトロトロとチーズのように溶け始めた。


「う、うわあああああっ!?」

 痛みはなく、腕の内側から何かがスルスルと抜けていくような感覚がする。

 僕の腕はどんどん溶けて、格子の向こうへ垂れ落ちていく…思うように動かすこともできない。

「おまえが悪いんだぞ…おまえが追いかけてきたから、こうなったんだっ!」

 ハッチは浴衣を着た男の子の姿に変化すると、僕の腕にぶら下がって、さらに僕を格子の向こうへ引っ張ろうとする。

「このままおまえを引きずり降ろして、心太(ところてん)みたいにバラバラにしてやる!」

 腕に力が入らない…抵抗できないっ…!


「うおぉーっ!桜華っ!これを受け取れーっ!」

 すると仙太が絶叫しながら僕に投げてきたのは…「一寸ボーイ」と書かれた紫色の…術巻!?

 僕はすぐに左手で術巻を受け取り、「『急急如律令』」と唱えて軸先を押し込む。

 すると…


 僕の体はみるみるうちに縮んでいき、式神の腕をすり抜け、格子から弾き出された。

「わぷっ…」

 僕はそのまま、うつ伏せに地面に叩きつけられる。

「家の御守りが役に立ったな〜!大丈夫か桜華?」

 腕は元の形に戻っている。

 かなり危なかった…思わぬ術巻の登場で、僕はどうにか命を繋いだ。

「た、助かりました…ありがとう、仙太。」


 ──────


 ─2031年3月5日 10:30頃─


 〔徽典館 本館5F 廊下〕


《─ということよ、姫様、目白。》

「はい、了解ですっ!」

 桜華くんが金瓢箪を見つけたこと、逃げた犯人の正体は管狐であること、確かに蜜樹さんから共有してもらった。


「いずれにせよやることは変わらない…彼奴を捕まえるということにはな。」

 そう言って正面を睨む目白くん。

 私と目白くんの任務はただ一つ、廊下の先から私たちを見つめているあの管狐をどうにかして捕まえること。


 すると…管狐は白い面を被った浴衣姿の女の子に変身した!

 女の子は面を少し上にずらし、口元を見せる。

 口の両横には、ギザギザに歪んだ八分音符のような紋様が描かれている。

「『止 ま れ』」

 女の子が一言そう告げると、空気が揺らめいて、「止まれ」という隷書体の文字が飛び出してきた。

「蜜柑っ…!」

 すぐさま目白くんが、庇うように私の前に出てくる。

 次の瞬間、私の体は強張って動かなくなった…瞬き一つすらできない。

 目白くんも、私の前に腕を出したまま微動だにしない…同じ状態になってる…?


《うわお!?その線は予想外…その子は『言霊師(ことだまし)』よ〜!》

 言霊師。

 自身の口から発せられる「言葉」に魔力を宿し、「言葉」を向けた相手を呪詛する高等魔術。

 生まれつきソウル能力として行使できる人がいると文献で読んだことはあるけど…会うのは初めてだ。


 女の子は軽くケホケホと咳込むと、再び息大きく吸い込み、今度は大声で叫んできた。


「『爆 ぜ ろ』」


 発せられた言葉が、そのままの意味で具象化されるなら…

 その言葉は…


 すごく危ない!


 〔つづく〕


 ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─

〈tips:施設〉

徽典館(きてんかん)

 甲府藩が藩士の子弟を育成するために設置した藩校で、小中高一貫制。

 武士を養成するための学校であり、生徒は尋常学校(普通の小中高等学校)よりも高水準の教養・武道・芸事などの教育を受ける。

 藩士の子供は基本的に藩校に入学するほか、武士を目指す農工商民の子供の受験による入学・編入も広く受け入れている。

 制服は和服・洋服の2種類があるが、私服での通学も可能。

 ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─ ─

ここまで読んでくださりありがとうございます!

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今後ともよろしくお願いいたします(o_ _)o))

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― 新着の感想 ―
特種のレベチ具合がやばすぎるw
合間に設定がうまく書かれているのでわかりやすいです。
この作品は和風ファンタジーの要素満載ですねw陰陽道の妖怪「管狐」を序盤に持って来るとは、本当に予想外でしたw桜華の周りに仲間が自然な形で加わっていきますねwきっちり舞台設定をしてたから、違和感が無いで…
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