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神鳥使いと呼ばれた男  作者: TUN
第一章 グランドルの新米冒険者
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85話 女の子の体は柔らかい

 何かアンリさんがクレアさんに若干引きずられてる気がするんだが…気のせいか?

 珍しい光景だ…。


 しかし…


「せ…先生…?」

「? どうかしたの?」


 アンリさんがクレアさんの手をほどき、こちらに手を伸ばしながら近づいてくる。


 え、何…なんかちょっと怖いんですけど…。


 たどたどしい足取りで近づくアンリさんの様子を例えるなら…まさにゾンビだ。動きがそうなだけで、外見は全くそうじゃないけど…。


「先生!!!」

「うわっ!?」

「アンリ!?」


 突然アンリさんに抱き着かれ、後ろに少したたらを踏む。


 えええええええっ!!?? 一体何事!? 

 アンリさんや! 色々当たってますよ!?

 その~、まぁ主に胸なんですけども…。


「あらら」

「若いですね~」


 そんな状態の俺を見て、二匹が感想を口にしている。


 おばちゃんかよ…。

 ていうかポポ、お前の方が若いだろうが。生まれてそんなに経ってないぞ。


 密着しているため、アンリさんの感触がリアルに俺へと伝わってくる。


 …そりゃそうだ、リアルですしね。妄想とかではこんな感じだろうかと考えたことはあったけど、破壊力すごいなコレ…。

 意識せざるを得んわ。


 …でも、女の子って柔らかいんだなぁ…フヘヘ。


「怪我とかしてないですか!?」

「だ、大丈夫…。無傷…だよ?」


 ゲスい考えをしていたところでアンリさんが聞いてくる。

 どうやら俺の身を心配してくれていたようだ。


「良かったです…無事で…!」


 アンリさんの目を見ると何やら潤んでいるような…。そんなに心配されてたのか…俺。

 思った以上に好感を持たれていたことに驚く。


 てか、顔近い近い! それと上目遣いは反則だって!


 今の俺とアンリさんの顔の距離は、息が感じられるほどに近い状態だった。それに加えて何かいい匂いも…。

 これは多分女性ならではの匂いなのかな? 

 うっ! このままじゃ理性が…! ちゅらいです。


 でもまぁ、こうして改めてみると本当に綺麗な顔立ちしてるな~。

 こんなに間近でアンリさんの顔を見ることなんてなかったから、すごい新鮮。


「えっと…うん。なんか心配掛けたみたいで…ゴメンね?」

「オイ師匠…ココにいるってことは、終わったのか?」


 アレク君が俺たちを気にすることもなく聞いてくる。


「終わったよ。グランドルはもう大丈夫。モンスターの大群は殲滅したから…」

「そうか…流石師匠だな…」


 フッ…と、さも当然といった顔をアレク君はしているが…なんでだ?

 よく分からんな。


「アレクの言ってたことって本当だったんだな。…アンリ、良かったな」

「うん」


 エリック君に対して嬉しそうにアンリさんが答える。


 アレク君の言ったことってなんだ一体? ちょいと気になるけど、それよりも…


 …て、天使や! この顔…まさしく天使やで!


 横からしかアンリさんの表情は見えなかったが、それでもそんな感想を抱けるほどだった。


 くそぅ。エリック君の位置が羨ましい…。

 あの位置は間違いなくベスポジに違いない。俺と頭部だけ交換しませんか?


「先生…ご無事で何よりです。昨日はお礼も言えませんでしたが、助けていただいてありがとうございました」

「あ、先生ありがとうございました!」


 内心で「ぐぬぬ!」と唸っているところに、クレアさんが近くに来てお辞儀をするが、それを聞いたアンリさんもお礼を言ってくる。


「あー、そっちも怪我がなかったみたいで良かったよ」

「ええ、先生のおかげです。…というよりも」


 クレアさんは若干間を空けたあと…


「アンリ、いつまで抱きついてるんですか?」

「取りあえずその~、離れない? 皆の視線が…」

「へ? …あ!? いや、あ、コレはその!!!」


 アンリさんが抱きつくのをやめ、俺から離れて両手を横に振る。


 おおう。遂にツッコミが入りましたな。

 正直他の4人の視線がチクチク入ってたんだよね。流石にこれ以上は俺耐えられない。

 ライフはもうゼロ寸前ですわ。


「やっと離れたか…」

「ですね」

「まぁそのままでも面白いんだけどな」

「~っ! からかうのはやめてよ3人とも!」


 今のアンリさんの顔は真っ赤だ。いつか見たドミニクのトマトみたいな顔ほどではないが、赤いと思わない人はいないほどと言っていいレベル。

 アンリさんの方が恥ずかしいとは思うけど、こういうのはやられる方も十分恥ずかしい。俺の顔も十分赤いだろうな。顔熱いし…。




 そして少し気まずい雰囲気にはなってしまったが、俺たちは場を移すことにしたのだった。




 ◇◇◇




 そして時刻は夜へ…


「ふむ。そんなことがあったんだね」

「ええ」


 学院長と並んで、学院の廊下を歩く。

 あの後皆と話をしていると、あっという間に時間が過ぎて夜になった。

 夜には学院長とヴィンセントの様子を見に行くことになっていたので、途中で話を終わりにしてきた感じだ。

 辺りは静まりかえっており、昼間の生徒達の活気は全く見られない。


「君が随分と生徒と馴染めて良かったよ。学院の雰囲気も随分と変わったし、もう君に対して偏見を持つ人の方が少ないのは事実だ。今回の依頼は文句なしに成功だな」

「そりゃどうも」

「…というより、Sランクの話はやはり出ていたのか…」

「はい。今日ギルドマスターに言われまして、恐らく近いうちに昇格になるだろうって…」

「…だろうね。こんな偉業を達成してSランクになれない人は、よっぽど常識がないのか、もしくは異常者しかあり得ないしね」


 俺の場合、『なれない』じゃなくて『なりたくない』なんですけどねー。


「そういえば、学院長も元凄腕の冒険者で、Sランクに近いって話を聞きましたけど…どうなんです?」

「知ってたのかい? …まぁ近いだけであって、とてもSランクに上がれるような実力はなかったよ」

「なに謙虚になってんですか…。本当のこと言ってくださいよ」

「いや、本当だよ。冒険者として一人前と言われるCランクまでに壁というものがあるように、AランクとSランクにも壁があるんだ。それは壁なんて呼ぶのがおこがましいほどだがね…。私の場合は周りの過大評価が過ぎただけさ」


 学院長が困ったような顔で返答する。


 控えめだな~とか思ってたんだが、どうやら嘘をついているようにも見えないし本当のことなのかな。


「…そうッスか」

「だが君の場合は間違いなくSランクの実力は持っていると断言できるよ。いや…それすら生ぬるいな」


 冗談よしてよ、って言おうと思ったけど…さっきのステータス見たら言えねぇわ。

 確かに逸脱した領域にいるな俺。


「あの…学院長。これはご法度だと思うんですけど、それでもいいなら教えて欲しいんですが…」

「うん? なんだい?」

「学院長のレベルって、いくつくらいなんですか? 俺…基準とかよく知らなくて」


 思い切って聞いてみる。

 こうしないと自分と周りにどれだけの差があるのかの確認ができないからだ。


「私のか…」

「あ、言いたくないなら言わなくて結構ですから」

「いや、別に君に対してだし隠す必要もないだろう。私のレベルだが…450だね」


 あっさりと教えてくれますた。

 学院長レベルたけぇ…。

 普通にやりあったら、ポポとナナよりも強いかもな。


「高いね~」

「…それがAランクの基準ですか?」

「う~ん。まぁ成長度合いに個人差はあるがね…。大体そんなとこだろう」


 う~む、そうですか…。

 じゃあSランクってどんなもんなのよ?


「そうですか…じゃあ、Sランクってどんなもんなんですかね?」

「詳しくは分からないが、想像するにレベルは1000に近い者もいるくらいじゃないかな?」


 Oh…。その話本当だったら、俺終わってるわ…。

 その倍くらいレベル高いぞ、俺。




 俺は自分の存在を、改めて意識したのだった。

申し訳ありませんが明日から来月の13日までの間、不定期での更新になります。

詳しくは活動報告をご確認ください。

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